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日本経済衰退化政策「アベノミクス」~「円安」も「円高」も待っているのは「地獄」しかない~

日銀の黒田総裁が急激な円安による諸物価値上がりに関連して「日本の家計の値上げの許容度も高まってきている」と言い放った。

世論の強い反発を受けて、「表現は適切でなかった。誤解を招いた表現だったということで申し訳ない」と謝罪したというが、与党政治家が失言した時の言い訳そっくりで、「誤解したのは国民側で、自分の言い分は間違っていない。」と開き直っているに過ぎない。

「円の帝王」黒田日銀総裁にとって下々の国民の生活などどうでもよく、円安によって自民党の大スポンサーであるトヨタなどの輸出企業を儲けさせるのが一番の関心事。だから、日銀にとって円安は永久に「よい円安」なのであり、それによって国民生活がどれほど窮乏化しようと、そんな事は眼中にないのだ。

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また、一部の輸出企業だけが恩恵を受ける「円安」は、この10年来、黒田総裁が安部元総理と一体になって進めて来た日本経済衰退化政策「アベノミクス」の「目玉商品」だった。

だから、超のつく金融緩和(マイナス金利政策)による「円安政策」の否定は「アベノミクス」の誤りを認める事になり、即安部の顔に泥を塗る事につながってしまう。黒田総裁が、「円安政策は間違いでした。」などとは口が裂けても言えないのはそういう訳だ。

今年の4月に日経新聞が「資源価格の高騰で2022年度の経常収支が42年ぶりに赤字に転じる可能性が出てきた。」と報じている。

「日本経済新聞の試算では、為替が1ドル=120円、原油が1バレル130ドルなら、22年度は16兆円の経常赤字になる。円安が輸出金額を増やして経常赤字を減らす効果が低下し、資源高と円安で国外に資金が流出する影響が大きくなる。」という内容だが、4月から円が更に12円も暴落しているので、42年ぶりの経常収支赤字はほぼ確定だろう。

インフレに伴う「悪い円安」によって、個人の金融資産が国外に逃避する「家計のキャピタルフライト(資本逃避)」が起きる可能性もあり、海外への支払い額の増加と共に日本の国富の流出が加速する事になる。

余程のボンクラでもない限り、黒田総裁も内心では「これほどの急激な円安は、正直まずい。」と思っているはずだが、だからと言って利上げに舵を切って円高に誘導する事もできない。好景気の米国と足並みを揃えて利上げに踏み切れば、日本の経済不況がさらに悪化する事は自明の理だからだ。

また、金利を上げれば国債の利払い額が増えて、その分、日本の財政を圧迫する。

つまり、「前門の虎、後門の狼」状態で、円安も円高も待っているのは地獄しかない。日本経済をにっちもさっちもいかない詰んだ状況に追い込んだ直接の原因が、最悪の経済政策である「アベノミクス」にある事は間違いない。

制御不能の円安という怪物を生み出したのが、諸悪の根源「アベノミクス」なのだ。

円安による恩恵をたっぷり受けてきたはずの輸出産業だが、その花形だった自動車産業を見ても「円安政策」が既に時代遅れになっている事がよく分かる。

トヨタはホンダや日産に比べれば比較的輸出依存度が高いが、それでも海外シフトが年々進み、2019年の全生産台数888万台の内64.7%が既に海外生産になっている。国内生産台数308万台中輸出台数は58.2%約180万台に過ぎない。

自動車産業以外の各企業も海外シフトが進んで輸出が減少しているので、日本企業全体の中で円安メリットを受けられるのは3割以下と以前より大幅に縮小している。従って過去はともかく、現在は円安と輸入資源価格高騰のデメリットを受ける企業のほうがはるかに大きい。

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「アベノミクス」によって日本を三流衰退国家に落ちぶれさせた元凶安部元総理は故意による「失政」の責任を取らないどころか、自民党の最大派閥「清話会」の会長におさまってふんぞり返り、院政よろしく岸田政権にあれこれ指図するなど権力を誇示している。

自民党議員が安部政権の経済政策の問題点にほんの少しでも触れようものなら、「アベノミクスを否定するのか!」と激高して居丈高に威嚇する始末。

日本を腐敗した三流後進国にした安部や自民党に鉄槌を下す事もせず、未だに漫然と支持し続けている日本国民もどうかしている。それだけでなく、自民党の「悪」を凝縮したような最凶新自由主義政党「維新」までが大幅に勢力を伸ばしているというディストピア。

自分で自分の首を絞めている事に気付かない、まさに「茹でガエル」か「肉屋が大好きな豚」状態の日本人。それともいじめられたり、虐待されたりするのが大好きな「マゾヒスト」なのか?

賃金が全く上がらない不況下でインフレが起きているのだから、「正真正銘」世界最悪の「スタグフレーション」状態。

まさに踏んだり蹴ったりの状態に置かれてもなお、怒りを忘れ、自浄能力のない「長いものには巻かれろ」式の日本国民は、次の参院選でも自公維新を大勝させてしまうのだろう。その先には、地獄が口を開けて待っているとも知らずに。

嘆いていても仕方がないので、話を元に戻そう。

そもそも論から言えば、日本のGDPの約6割が内需によるもので日本は米国に次ぐ世界有数の内需大国なのだ。日本が「輸出立国」だの「貿易大国」だのといううたい文句は事実ではなく、GDPの輸出依存度は15%前後に過ぎない。

その上、企業の海外シフトらよつて貿易構造が大幅に変わっているのに「アベノミクス」で「円安政策」を漫然と進めてきた。その悪政のツケを、賃金が上がらない環境下、円安と輸入品価格の高騰で物価だけが上昇する「スタグフレーション」という形で日本国民が支払わされているのだ。

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