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文庫本頭陀袋

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2020年6月の記事一覧

喫茶店の時代 林哲夫 ちくま文庫



喫茶店という言葉からまず思い出すお店は、表参道にあった大坊珈琲店だ。記憶をさかのぼっていくと、建て替え前の東銀座の文明堂、アリス、移転する前のYOU。学生時代に入り浸っていた名前が思い出せないけれど店の内装やオーナーの顔は思い出せる2軒の店。
これらの店には、そこへよく一緒に行った人との思い出の場所という面、店のマスターやママさん、常連さんと行った人との思い出の2種類がある。いずれにしても、人

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銀座アルプス 寺田寅彦 角川ソフィア文庫



以前から寺田寅彦の随筆を読みたいなと思っていたのだけれど、岩波文庫はどうも紙面に馴染めなくて、書店で岩波文庫の棚から寺田寅彦随筆集を抜いてはまた元に戻す、ということを繰り返していた。

寺田寅彦といえば「科学随筆」というイメージが植え付けられていて、その「科学」というワードにひるむものもあった。
これは、中谷宇吉郎や岡潔といった”理系”の作者に対しても持っているのだけれど。

紀伊国屋書店新宿

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つげ義春日記 つげ義春 講談社文芸文庫



3月31日、紀伊國屋ホールで開催された紀伊國屋寄席を聞きに行った。
会場がある4階に上がる前に、2階の文庫と新書の売り場の棚をぐるぐるとみて回った。
その時に買ったのは、ちくま学芸文庫の『東京の昔』、『表徴の帝国』と岩波新書の『老人読書録』。講談社文芸文庫の棚も、新刊コーナーもチェックしたはずなのだけれど、講談社文芸文庫の表紙カバー、タイトル部分が銀の箔押しになっているのには気づかなかった。

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シェイクスピア&カンパニー書店のやさしき日々 ジェレミー・マーサー 河出文庫

Twitterで河出書房さんの新刊案内を見て「あ!」と思った。
『シェイクスピア&カンパニー書店』というのは、雑誌「鳩よ!」2001年12月号「僕の滋養となった100冊の本」坪内祐三に確かあったぞ!と。

で、自分でScrapboxに作った、その100冊のリストを確認したら、やっぱりあった!!ということで、ネットでポチした。

届いたところで、Scrapboxに書誌データを登録したが、著者名も署名

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文庫本頭陀袋

坪内祐三さんが「週刊文春」で連載していた「文庫本を狙え!」。
毎週1冊、直近で刊行された文庫本を選んで紹介する書評コラムだ。
取次から出る1ヶ月分の刊行予定をチェックしつつ、出版社・著者の絶妙なバランスで組まれたラインナップは、誰にも真似できないものだった。

毎週、熱心にこの連載を読んでいた頃は、書店の新刊文庫コーナーに行って、来週のお題本はどれだろう?と予想するのが楽しかった。
毎週、この連載

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