文庫本頭陀袋

坪内祐三さんが「週刊文春」で連載していた「文庫本を狙え!」。
毎週1冊、直近で刊行された文庫本を選んで紹介する書評コラムだ。
取次から出る1ヶ月分の刊行予定をチェックしつつ、出版社・著者の絶妙なバランスで組まれたラインナップは、誰にも真似できないものだった。

毎週、熱心にこの連載を読んでいた頃は、書店の新刊文庫コーナーに行って、来週のお題本はどれだろう?と予想するのが楽しかった。
毎週、この連載をチェックするような熱心な読者ではなくなってしまった後でも、書店で新刊文庫コーナーを眺めていると、「あ、これは『文庫本を狙え!』で取り上げられそうな本だな」と思うことはあった。

もう新しいお題本を坪内さんから与えてもらうことはないのだけれど、それでも、文庫の新刊案内を見ると、「あー、これはきっとお題本になっただろうな」という本には反応してしまう。

坪内さんのように、毎週、3冊も4冊も新刊文庫を読んで何かを書く、というのは私にはとうてい無理なのだけれど、これは坪内さんも選んだのではないかな?という本を見つけて、なぜその本を選んだのか、について書くことならできるかもしれない。買った文庫本についての備忘録、といったところだ。

タイトルは、その連載を単行本化したシリーズの1冊のタイトル「文庫本福袋」(文春文庫)にちなんで「文庫本頭陀袋」。この袋がいっぱいになる頃、少しだけでも進歩していることを願いつつ。

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