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suzumuraxxxjun
人生の栞 【詩】
「パパはいつになっても子どもだね」
と、君は言う
君はよく知っている
私が君を知っている以上に
「さみしい」
と、君が言う
眠りにつくまで頭を撫でていると
涙がこぼれて止まらなくなった
「どうして泣いてるの」
「大好きだからだよ」
と、頬を撫でる
「いやだ! いやだ! いやだあ!……」
と、君が言う
大泣きして必死に抱きつく
この姿を
一生、私は背負っていく
そう決めて、目に焼き付けた
私が泣いてはいけない
笑いながら
「大丈夫だよ」と背中を擦る
自分よりもずっと大切な
「幸せの象徴」の君が
これから、私の知らない毎日を送っていく
私の知らない君が、どんどん増えていく
事情も何も知らない
罪のない無垢な姿を見ていると
心を引き裂く音がする
君は教えてくれた
愛することや愛されることに
信じることや頼ることに
条件など要らないのが
親子なんだって
だから、親子は
うつくしくて
はかない
あたたかくて
せつない
「ここはずっとパパとKちゃんの部屋だよ」
と、君が言う
空になった私の書斎で
いつか君が、少し難しい本を開いている
そんな姿を想像する
私がそこに置いてきた栞を
いつか、君に見つけてほしい
それは、私の人生の欠片
いまもいちばん大切にしている
君との時間
かけがえのない
際限のない
私の愛のすべてなのだから