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手段と目的を混同しない
こんにちは、「笑顔工学」の専門家、木村光範です。
笑顔工学って何??という方は、ぜひ自己紹介をご覧ください!
「手段と目的の混同」は、企業経営において陥りがちな落とし穴です。
先日参加したYEG(商工会議所青年部)全国大会のある方の挨拶で、「研鑽と交流は目的ではなく、あくまで自企業の発展と豊かな地域経済社会を築くことが目的である」というような話がありました。
YEGの活動では若手経営者同士の勉強や交流を行なっていますが、それ自体が決してゴールではなく「自社の成長」と「地域経済の発展」という本来の目的を達成するための手段にすぎないというわけです。
「勉強会に参加すること」や「人脈を広げること」そのものよりも、その結果得られる自社の発展や地域への貢献こそが大事だ、という意味です。
まさに手段が目的化してしまうことへの警鐘と言えるでしょう。ビジネスや組織運営でも「何のためにやっているのか」を忘れて、プロセス自体に満足してしまう場面は少なくありません。
私のまわりでも、「新しいLP(ランディングページ)を作ること」や「パッケージデザインを刷新すること」がいつの間にか目的になってしまい、必要性の無いことに延々と時間とお金を使ってしまっているケースが多々ありました。
作ること自体が目的化してしまうと、根本的な課題の解決に至りにくいのは、その通りだと思います。手段と目的を取り違えると、本来解決すべき課題を見失い、時間やコストを浪費してしまいます。
では、組織マネジメントの視点から、どうすれば手段と目的の混同を防ぎ、本来の目的を見失わずに運営できるのでしょうか?具体的なポイントを解説していきます。
手段と目的を混同しないためのポイント
組織の目的・理念を明確にして共有する
まず何より大切なのは、「私たちのゴールは何か?」を組織の全員が理解し共感していることです。
目的や理念があいまいだと、各自がバラバラの方向を向いて手段に走りがちです。ある企業では社員に企業理念を浸透させるため、繰り返し勉強会を開き時には抜き打ちテストまで行っているところもあります。
そうやって繰り返し学ぶことで社員がビジョンを「共有し、深める」ことができ、理念が単なるお題目ではなく一人ひとりの「自分ごと」になっていきます。このあたりは、以前書いた記事にも取り上げているのでご覧いただければと思います。
「なぜそれをやるのか?」を常に意識する
日々の業務やプロジェクトで何か新しい施策を導入するとき、「それは何のためか?」と自問する習慣を持ちましょう。特にITツール導入支援の現場で、この点を意識することが大切だと実感しています。
どんな場合でも、「導入する技術の目的」を明確にすることが重要です。
例えば最新のシステムを入れること自体が目的化して、「とにかく流行りのテクノロジーを入れれば満足」では本末転倒です。組織文化や人材育成まで考慮したうえで手段を選ばないと、ただ技術を入れただけでは持続的な成長につながらないのです。
常に「それをやる目的は何だっけ?」と立ち止まって考えるクセをつけることで、手段の暴走を食い止め、本来のゴールに軌道修正しやすくなります。
手段はあくまで道具:人や目的のために使う
手段そのものがいつの間にか聖域になっていないか、チェックしてみましょう。会議や資料作成、ルールやツールなども、「やること自体が目的化」しやすいものです。
「やらないと落ち着かないからとりあえず毎週会議を開く」
「高価なシステムをせっかく入れたから何でもそれで管理しよう」
といった状態に心当たりはありませんか?もしそうなら、一度「その手段は本当に目的達成に貢献しているか?」と見直す必要があります。
デジタルツールの位置づけは、あくまで「それ自体が目的ではなく、人の創造性を高めるための支援ツール」なのです。
例えば情報共有のためのITツールを導入した結果、メールや会議での確認作業が減り、「報告するだけの会議」が削減できたというケースもあります。手段に過ぎなかった会議を、ITツールにより削減し、本来すべき建設的な議論に時間を割けるようになった、ということです。
このように手段をあくまで目的達成のための道具と位置づければ、ツールやプロセスは組織の生産性や創造性を高める助けになります。逆に言えば、「道具の使い方に振り回されて肝心の目的が果たせていない!」という事態は避けたいところです。
日々の活動を本来の目的と結びつける
どんな仕事でも、「それが最終的に組織の目的にどうつながるか」を意識できると、やりがいと方向性がぐっと増します。
社員一人ひとりが自分の仕事が企業や社会にどう貢献しているかを実感できることが企業の活力源になります。
ある職場では業務フローを見える化し、自分の担当がチーム目標のどこに貢献しているか明確にしたところ、「自分の役割がチーム全体の目標にどう寄与しているか実感できた」といった声が上がりました。この話は下記の記事をご覧ください。
日々のタスクと会社のビジョンがつながっていると分かれば、社員のモチベーションも上がり、主体的に動いてくれるものです。
トップがいくら「うちの目的は◯◯だ!」と叫んでも、現場がそれを実感できなければ絵に描いた餅ですから、現場レベルで目的意識を持てる工夫が肝心です。
必要に応じて手段を柔軟に見直す
一度決めた計画ややり方でも、「どうも目的に合っていないぞ?」と感じたら変更を恐れない姿勢も重要です。状況に応じて手段を見直す柔軟性が求められます。
課題解決の現場では「本当に解くべき課題は別のところにあった!」なんてこともよくあります。成長する企業は、根本課題が別にあると気づいた時点で見直すことをためらわないのです。
目的達成のためには時に当初のプランを大胆に変更したり、無駄な施策をやめたりする決断力も必要です。「最初に決めたから」と意地になって手段に固執すると、かえって遠回りになりかねません。状況の変化や新たな発見に応じて、常にベターな方法を模索する柔軟さを持ちましょう。
手段と目的を混同しないための3つのチェック項目
手段と目的の混同は、気づかないうちに誰でも陥りがちな問題です。「何のためにやっているのか?」を見失わないために、日々の業務や組織運営で使える3つのチェック項目を紹介します。
「本来の目的は何か?」
☑ 「やることリスト」をひたすら消化しているだけになっている
☑ 「この施策を続けること」が目的化している(例:「毎週会議を開くこと」が目的になっている)
☑ 「なぜやるのか?」と聞かれると明確な答えが出てこない
手段が目的化していないか確認するために、定期的に目的を再確認する時間を設けるのがポイントです。例えば、会議の冒頭で「このプロジェクトの目的は何だったか?」を振り返る時間を取るのも有効です。下記を常に意識します。
そもそも、この施策や業務は何のためにやっているのか?
もし今の手段をやめたら、本来の目的は達成できなくなるのか?
手段を変えても、目的は達成できるのではないか?
「今やっていることは目的達成に直結しているか?」
☑ 「とりあえず流行っているから」や「前例があるから」といった理由で手段を選んでいる
☑ 多大な時間・リソースをかけているのに、成果が出ている実感がない
☑ 「この作業、本当に必要なの?」と疑問を感じるメンバーが増えてきている
「やらなければいけない」と思い込んでいる手段を疑ってみることが重要です。例えば、「最新のツールを導入すれば解決できる!」という発想に陥っている場合、本当にそのツールが最適なのかを一度立ち止まって考えてみることが必要です。下記を常に意識します。
この手段を選んだ理由は、本当に目的達成のためか?
目的に対して、もっとシンプルな方法や別のアプローチはないか?
もし今の手段をやめたら、本来の目的にどんな影響があるのか?
「成果を測る指標(KPI)は目的に合っているか?」
☑ 成果指標(KPI)が形骸化している(例:「資料作成件数が多いほど良い」といった評価基準)
☑ 目標を達成しても、実際にはビジネスの成長や顧客満足度につながっていない
☑ 「指標を達成するための努力」が主目的になっている
「KPIを達成すること」が目的化しないよう、定期的に成果を振り返り、指標が目的と一致しているかを確認することが大切です。
例えば、SNS運用で「フォロワー数の増加」を目標にしている企業が、フォロワーが増えても売上につながっていなければ、それは手段と目的がズレていることになります。下記を常に意識します。
設定したKPIは、本当に目的達成につながる指標になっているか?
もしKPIが達成されたとして、それは本当に成功といえるのか?
目標の設定が「手段の成功」ではなく「目的の成功」になっているか?
本来の目的に立ち返ろう
手段と目的を混同しないことは、組織の生産性向上や持続的な成長に欠かせない視点です。
一見当たり前のようですが、忙しい日々の中ではつい忘れてしまいがちなポイントでもあります。だからこそ折に触れて「そもそもの目的は何だっけ?」と自問し、チームで確認し合うことが大切です。
研鑽や交流、最新ツールの導入など魅力的な取り組みも、すべては目的を達成するための手段。そのことを意識していれば、日々の活動に迷いが生じても軌道修正が効きますし、組織全体が同じゴールに向かって進み続けることができます。
ぜひ皆さんの職場でも、「手段の目的化」にハッと気づいたら、本来の目的に立ち返ってみてください。そうすることで、きっと自社の発展と豊かな地域社会づくりという本当のゴールに一歩一歩近づいていけるはずです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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