【本】「あやうく一生懸命生きるところだった」過程を楽しんでこそ人生☆
「あやうく一生懸命生きるところだった」ハ・ワン(文・イラスト)作、岡崎暢子訳(ダイヤモンド社2020年)を読んだ。
イラストも文も面白かった。
文も、イラストも、すごく合っている。当たり前か、両方とも同じ作者がかいているのだから。
文に書いてあることをイラストで描写してる、というのではなく、文だけでも面白くイラストだけ取り出して見ても面白いような、それぞれが独立しても通用するような面白さだけれど合わさると面白さが倍増するようなよさだった。
また、翻訳本のはずが、もともと日本語で書かれた本のように読みやすかった。「孤独のグルメ」等の日本の文化にもごく自然に触れていて、使われている言葉遣いも日本人のくだけた言い回しのようで読みやすく、もとから日本語で書かれた本のようだった。翻訳が上手、ということももちろんなのだろうけど、そもそものネタとして日本人なら知っているような話を取り上げているということもあるので、作者が日本に詳しいということも、面白くなっている原因になっているのではないか、と思った。
内容も、面白かった。ほんそれ~と思うことだらけだった。
特に「いつかはみんな会社を辞める」って、ホント、「そう思っていた!」ということ。永遠に会社に勤め続ける人なんていない。定年までか、その前か、はたまた定年の後も勤め続けるか…の違いはあっても、何年かの違い。その後も絶対に人生は続く。
教員をしていた頃、退職した後にも再雇用で働き続ける教員達を見て、「いつかは教員を辞めなくてはいけないのに、続ければ続けるほど、他の仕事をしにくくなるのではないか」と思っていた。教員の仕事はハードなので、「現役教員」と「無職」の間には差がありすぎて精神的にダメージが大きくなりすぎるような気がしていた。私は、もう少しソフトランディングに職業を変えていきたいと思っていた。
「いつかはみんな会社を辞める」=「いつかはみんな教員を辞める」。教員を辞めた自分が薄々感じていたことを、キッパリハッキリ言いきってくれて、なんか「自分は間違っていない」と思えた。当たり前のことではあるのだけど。
また、例としてあげられていた、「名作の主人公の人生も結果だけ言うと味気ないダメな人生。人生は過程こそ面白い。」というのも、観点が面白いし説得力がある。確かに、「源氏物語」は「女たらしな男の話」だし、「平家物語」は「源氏と平家が戦って平家が滅ぶ話」と、味気ないことこの上ない。ホント、人生は、過程を楽しまないと面白いわけがないもの、だ。
限りある人生、長いようで短い人生、私も「過程」を楽しみながら生きたいものだ、と思った。