【真夏のちょっと怖い話】真夜中に聞こえる声
今回は、お盆も近くなった真夏の時期ということで子供の頃にあった、ちょっとだけ怖かった話をしようと思う。
子供の頃、夏休みのお盆と冬休みの年末の時期になると、必ず私は母方の祖父母の家のある山梨に両親と一緒に1週間ほど遊びに行っていた。
そのイベントは子供の私にとっては、ずっと大好きな祖父母と一緒にいることができることから、それは心待ちにしているものだった。
性格には何年生だったか覚えていないのだが、私が小学生のある夏休みのことだった。
いつもの夏のようにお盆に祖父母の家のある山梨に1週間泊まりがけで遊びに行った。
祖父母が家庭菜園として使っている小さな畑がある場所まで行っていろいろ収穫したり、お墓参りに行ったり、お盆の準備をしたりと、昼間は母の故郷の夏休みという感じでいつものように楽しく過ごしていた。
しかし、その夏は夜になるといつもの夏の楽しいこととは違うことが待っていた。
その夏は酷く暑かった。
そのため、いつもは泊まりに行った時にエアコンのない2階で寝ていたのが、エアコンのある1階で寝ることになった。
普段は1階の居間でおばあちゃん、その居間の隣に襖一枚隔てた和室の8畳間でおじいちゃんが寝ていた。8畳間は寝る時は襖を閉めてしまうものの、襖の上に欄間がありエアコンの空気が流れるので涼しい。
遊びに行った私たち家族はおばあちゃんのいる居間の方に布団を敷くことになった。大好きなおばあちゃんと一緒に寝られると思って嬉しかったのを覚えている。
寝る時間になり、布団に入り、昼間のはしゃいだ疲れでうとうとしていると、突然どこからともなく人の声のような何かの不気味な鳴き声が聞こえてきた。
「ほーっ。ほーっ。」
私ははっとして目を覚まし隣に寝ているおばあちゃんや両親を見た。
しかし、全員静かに寝ている。
「もしかしたらこの声が聞こえているのは自分だけかもしれない。こんなに大きい声なのに誰も起きないなんておかしいし…。隣の部屋のおじいちゃんは大丈夫だろうか。」
そう考えてるうちに私はどうしようもなく怖くなった。
ふと静かになったかと思うとまたそれが聞こえてくる。母を起こして確かめようにも声の主に気づかれたらと思うと怖くてできなかった。
「きっとフクロウがいるんだ。そうに違いない。」
どうしようもできない怖さから私はそう自分に思い込ませ、布団に隠れるようにして寝た。
その出来事は1週間のうち3回ほど起きた。
そんなに頻繁に起こっている出来事なら昼間に誰かに確かめればいいと思うが、不思議と昼間はその怖さは消え、そんなことは忘れてしまっていた。
そしてそのまま1週間が終わり、その後もその出来事を忘れたままだったので、結局それがなんだったのかわからないまま私は大人になってしまった。
大人になったある時、不意にそのことを思い出し、母に話した。
すると「ああ、あれはうなされた時のおじいちゃんの声だよ。」と返ってきた。隣の8畳間に寝ていたおじいちゃんの夢にうなされた声が、子供の頃の私にはただ不気味に聞こえていただけだったのだ。
あまりにも「なあんだそんなことだったのか。」というような答えに拍子抜けしてしまった。
意外な方向から怖い話が解決してしまって、少しだけ不思議と残念な気持ちになった自分がいた。
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