【問題解決力を高める「推論」の技術】 -ほぼ1,000字感想文
■ざっくり概要
VUCAの時代であるからこそ、「正解がある」という幻想を早く捨てるべき、という持論から始まる本著。正解がない中でビジネスを進めるために必要なのが"推論"であり、これを使いこなす人材が各分野で求められている。
他の同様テーマの著書との違いは、シンプルさと実践的な点。理論としては、帰納法・演繹法・アブダクション(仮説的推論)の3つのみに絞っており、更に実践を想定した頭の使い方にまで言及。このシンプルな構成により、実践に必要な素地をコンパクトにまとめられている。
問題解決に苦手意識がある人にまず紹介したい一冊。
ーーーーー
○タイトル:問題解決力を高める「推論」の技術
○著者 :羽田康祐
○発行 :フォレスト出版 (2020/1/8)
ーーーーー
■学びポイント
◯「帰納法」「演繹法」「アブダクション」
帰納法とは、複数の事実から共通点を発見して結論を導き出す推論法である。デキるビジネスパーソンは無意識的に、新たな法則性を見つけることを習慣化している。
演繹法とは、前提となるルールに物事を当てはめて結論を出す推論法である。ルールに対してYes/Noという結論が導き出されるため、非常にシンプル。ただし「正しい前提」を置くことが非常に困難。
アブダクションとは、「起こった現象」に対して「法則」を当てはめ、起こった現象をうまく説明できる仮説を導き出す推論法である。仮説はひとつではなく、試行錯誤しながら複数の仮説を導き出し、アプローチの可能性を拡げる役割を持つ。
◯「実体論」と「関係論」
実体論とは、「実体そのものに価値がある」という考え方。対して関係論とは、「価値は関係の中に表れる」という考え方である。
紙幣はまさに関係論に基づく仕組み。同じ一万円札があったとしても、実体論で捉えるとただの紙切れ。額面上の価値を発揮するためには、それが同等のモノと交換できる存在である、関係論が必要となる。
このように、「実体から背景にある価値を見抜く」点において、アブダクションは効果を発揮する。特に情報社会における価値の源泉を見抜くことは、ビジネスの成功を近づける。
◯成功の秘訣は”使える法則のストック量”
3つの推論法を組み合わせて「ああなれば→こうなる」という法則を数多く手に入れることができれば、法則の当てはめにより、さらなる発見を得ることができる。これを繰り返すことが、企画の引き出しをつくる。
この記事が参加している募集
いつもご覧頂きありがとうございます。今後ともよろしくお願いします!