幻の梨「かおり」を、どうしても食べてみたい!
週末は愛菜家。 vol.24
世の中にはさまざまな果物がありますが、その中でもダントツに好きなのが梨✨
梨の記事を書きたいと思っていろいろ調べていると、幻といわれる梨があることを知って心がソワソワ。調べを進めていくうちに愛知県でも栽培されている梨農家さんがいらっしゃるということで緊急取材をさせていただきました!
安城市で「ごっちゃん農園」を手がける後藤祐司さん
お忙しい時期に取材に応じてくれた後藤さんは、安城市で長年梨づくりを手がける梨農家の4代目。約1.8ヘクタールの広大な梨畑を管理して年間16トンもの梨を出荷しています。
後藤さんが育てている梨は約30種。今年からごっちゃん農園オリジナル梨「15号さん」の販売も始めたそうです。「15号さん」はなんと7月に収穫できる超早生品種。こちらも食べてみたいですね♪
収穫した梨はごっちゃん農園の直売所で購入できるほか、安城市の産直マーケットでも買えるそうです。
梨を見守る後藤さんの目が優しい!
安城の梨栽培は明治時代から120年以上も続いています。長野出身の松坂啓蔵という方が苗木を持って安城に移住したのがその始まりだそう。
現在ではおよそ80軒の梨農家さんがおいしい梨を育てています。
案内いただいたのは田んぼの隣にある梨畑でした。いいロケーション♪
農園内は作業が行いやすいよう160センチほどの高さで枝を横に伸ばしています。
後藤さんは農業大学で果樹について広く学んで家業を継ぎました。
ちなみに梨は1本では実をつけることができず、別の樹からの受粉が必要だそう。
ごっちゃん農園では受粉専用の梨「松島」を栽培してそこから花粉を集め、それを他の梨に人工受粉するんですって。農業ってサイエンスの世界だなぁと改めて感じます。
そうこうするうちに、お目当ての幻の梨「かおり」の樹に案内してくれました!
落下も多くデリケートな「かおり」は、1つ1つ袋に包んで育てます。
熟れ具合をていねいにチェックしながら、収穫する実を選ぶ後藤さん。
いよいよ選んだ「かおり」をもいで・・・
袋から取り出します!
幻の梨と対面する時がきました!
きたーーーーーーーー!!
ずっしり。手に持ってみるとなかなかの重さです。
最近見慣れている「幸水」や「豊水」のような赤梨ではなく、自分にとっては懐かしい「二十世紀」のような青梨ですね。
子どもの頃は「梨といえば二十世紀」でしたが、いつの間にか「幸水&豊水」が一世を風靡していました。なかでも「幸水」は梨のニーズがピークになるお盆前に収穫できるため、今や全体の約40%ものシェアを握っています。
「かおり」はその「幸水」に「新興」という梨を掛け合わせて生まれた品種。「幸水」も「新興」も赤梨ですが、「かおり」はなぜか青梨。品種改良というのは、なかなかに不思議なものですね。
幸水の親「菊水」と新興の親「二十世紀」は青梨のため、その性質が「かおり」に引き継がれた様子。ちなみに梨は弥生時代からすでに日本で食され、江戸時代ですでに100種以上の梨があったみたい。すごい・・・
「かおり」は神奈川県で生まれましたが、栽培が難しいために品種登録を断念。しかし味と香りはピカイチのため、関東の農園でひっそりと育て続けられていたそうです。
そして近年、その味が再評価され知名度が上がってきたのですが、栽培量が少なくわずかな期間しか収穫できないので「幻の梨」と呼ばれるようになったんですね。
日持ちも短いため、産地周辺にしか出回らないのも幻と呼ばれる所以です。
幻の梨「かおり」を実食してみます!
実は、収穫を撮影させていただいた「かおり」は別のお客さまの予約分。この日収穫した別の梨も午前中で完売ということで購入が叶わなかったのですが、商品にしない小さめサイズ&少しだけ傷がある「かおり」を特別の特別に分けていただくことができました。
後藤さん本当にありがとうございます✨
「かおり」と呼ばれるだけあって香りが強い!
青りんごにも似た爽やか系のフレーバーを感じます。
包丁を入れると断面がテッカテカ! みずみずしさも充分ですね。
保水量が多いので包丁もぬらぬらと光っています✨
見るからにおいしそう・・・
皮も薄めでスムーズに剥けましたよ。
いよいよ実食!
期待どおりのみずみずしさで、甘みもすごいです。
外見からは酸味がありそうに見えましたが、この「かおり」は酸っぱさを感じません。
とにかくジューシーでおいしい梨という感想でした。
感動。おいしゅうございました!
せっかくなので、他の梨も食べてみます。
せっかくの実りの秋ですので、八百屋さんに走って他の梨も食べてみました。
左から、次に天下をとると噂されている「あきづき」、取材させていただいたごっちゃん農園の「かおり」、鳥取限定ブランド梨「新甘泉(しんかんせん)」。
いざ見比べてみると、赤梨と青梨って別の果物みたいですね。興味深いです。
「あきづき」は人気が高まっているとあって安定のおいしさ。“梨界の優等生”というイメージでした。「新甘泉(しんかんせん)」は名前のとおり、甘さと果汁感がすごい! ブランド梨としてなかなかのお値段がするのも納得です。芯のまわりも梨独特のえぐみや酸味を感じることなく、果実全体が甘いイメージでした。
「幸水&豊水」の2種で梨の生産シェア65%ほどを占めているのでふだんはそれらに出会うことが多いと思いますが、八百屋さんに行ったらぜひいろいろな品種を食べ比べして楽しんでみてください✨
“秋の味覚”というイメージが強い梨ですが、実は出荷のピークは8月上・中旬ごろだそう。しかし、これから収穫期を迎える品種もあるのでご安心を!
取材したごっちゃん農園直売所での梨販売は終了していますが、安城の産直マーケット「でんまぁと安城北部」で入手可能とのことです。
10月上旬から「歓月(かんげつ)」「豊月」「新興」「愛宕(あたご)」などが販売予定ということですので、ぜひHPやインスタグラムで出荷状況を確認してみてください✨
とくに「愛宕(あたご)」は子どもの頭ほどもある大きな梨なので、びっくりすると思いますよ♪