手づくりの味わいを大切にする町の判子屋さん
会津美里町の高田地区には、昔ながらのレトロな雰囲気が残る商店街があり、その商店街の中で50年以上商いを続けている『丸山印店』。
現店主である湯田佳子さんにお話を伺いました。
他にはない自分だけの1点モノ
丸山印店は佳子さんのお父様とお祖母様がご自宅に店舗を構え、現在は佳子さんひとりで経営をされています。
「いまの判子づくりはパソコンにデータを取り込んで専用の機械でつくるのが一般的だけど、父の時代は1点1点すべて手彫りだったのよ」
そういって当時の下絵を見せてくださいました。
これらは紛れもない1点モノ。
当時は印鑑もゴム印も、どんな細かい文字でも、すべて彫刻刀でひとつひとつ手作業でつくられていたそうです。
考えただけでとても気が遠くなる作業。
要望があれば、文字だけでなく絵と文字を組み合わせた独自のデザインも手掛けており、その仕上がりは手彫りとは思えないほど芸術性のある仕上がり。
他のお店でつくった判子では満足できず、いまでもお父様の手彫りを求めて来る方もいらっしゃるそうです。
佳子さんはそんな父親の姿を見て育ち、いくら便利なツールであふれていても、自分も父親のような手づくりの味わいを感じてもらえる判子づくりを目指しているとのこと。
依頼者の要望とイメージをしっかり聞き、その想いをくみ取り、満足のいく形に仕上げることを大切にしていると話してくださいました。
判子屋だけに留まらない、幅広い手しごと
佳子さんは本業の傍ら、自分の特技を活かして小物づくりや篭づくりなどもされており、店内での販売の他、近くのセレクトショップに卸したりしています。
「母は手先が器用で手芸・クラフトをやっていて、小さい頃からその手伝いをしていたから『手わすら(会津弁で「手遊び」の意味)』が好きな子どもだったの」
家業柄、様々な工具が揃っている環境だったので、それを使って何かつくるということが一つの遊びになっていたそうです。
またお子さんが保育園に通っているときには、イベントに必要なフェルトのおもちゃを手芸が苦手な親御さんでもつくれるように手助けを行ったそうで、頼りになる存在だったことが窺えます。
そんな器用な母を持つ子どもたちは「お母さんは何でもつくれる」と思っていて、何か欲しいモノがあったときは「買って」ではなく「つくって」とリクエストされるんだそうです。
おもちゃのネックレスが壊れてしまったときも、お母さんなら何とかしてくれると言って持ってくるとか。
佳子さんがアクセサリーなどを趣味で製作していた際に友人の誘いでイベントに出店し、それらを販売したことが判子以外のモノを販売するきっかけになったそう。
別の友人が近くでセレクトショップを営んでいたので、いろいろとリクエストを受けるうちにバリエーションが増えていったそうです。
相手を思いやる気持ちを大切にするお店
こういったモノづくりは佳子さんの相手の要望を叶えたいという気持ちから生み出されているのですね。
使う人を想いつくり出された1点モノ、きっとその方にとって大切な思い入れのあるモノになり長く愛用されることでしょう。
<店舗情報>
丸山印店
〒969-6264 福島県大沼郡会津美里町字高田甲2767-1
TEL : 0242-54-2236
FAX : 0242-54-6748
営業時間→10:00~17:00(配達のため午前中不在時あり)
定休日→土・日・祝
※手話での対応可能
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