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【アンガーマネジメント】アンガーログで自分を知る:怒りをコントロールする簡単な方法

怒りの自然さとコントロールの重要性

 怒りは誰にでも生じる感情であり、それ自体は決して誤ったことではありません。むしろ生物としての自然な反応であり、自分を守り、周りに影響を与えるための大切な感情です。重要なのはその怒りを、どのようにコントロールして、属させるかという点です。



生物学的視点から見た怒り

 怒りは、生存本能に基づく防衛反応の一種です。怒りが生じる時、体内では以下のような変化が起こります:

  1. アドレナリンとノルアドレナリンの分泌

    • 脳の扁桃体が刺激され、ストレス反応を制御する視床下部や交感神経系が活性化します。

    • 心拍数や血圧が上昇し、筋肉が緊張し、身体が「闘争または逃走(fight or flight)」モードに入ります。

  2. 進化的背景

    • 怒りは危険や不公平に対処するための生存メカニズムと考えられています。この反応が即座に行動につながることで、外的な脅威に立ち向かう準備を整える役割を果たしてきました。


心理学的視点から見た怒り

 怒りは第二感情(セカンダリーエモーション)とされます。これは、第一感情(プライマリーエモーション)である恐怖、悲しみ、羞恥心などが引き金となって生じる感情です。

  1. 第二感情とは?

    • 第一感情は瞬間的で反射的(例:悲しい、怖い)であり、第二感情はこれらの感情をもとに自分なりの解釈や評価が加わった結果として生まれます。

    • 例:自分が無視された(第一感情:悲しい)→「自分を軽視された」と考える→怒りが生じる。

  2. 怒りの背後にある感情 怒りは「表面的な感情」であり、その裏には以下のような感情が隠れていることがよくあります:

    • 恐怖(自分が傷つけられるかもしれない)

    • 悲しみ(期待が裏切られた)

    • 不安(自分の価値が否定された)

    • 恥や罪悪感(自分が不足していると感じた)


怒りをコントロールするための具体的な方法

 怒りをコントロールすることは、感情的な健康だけでなく人間関係の改善や問題解決能力の向上にもつながります。以下に、具体的な対策をいくつか挙げます:

1. 衝動のコントロール

  • 深呼吸や6秒ルール:怒りを感じたら6秒待つことで、衝動的な行動を防ぎます。

  • その場を離れる:怒りのピークを越えるまで物理的に距離を置きます。

  • クールダウンの時間を確保:冷静になるための環境を整えます。


2. 思考のコントロール

  • 客観的に状況を捉える:自分の認知が現実に基づいているかを見直します。

  • 他者の立場を考える:相手がどのような意図や背景を持っているかを想像します。

  • ポジティブな視点を意識する:出来事を成長の機会と捉えるよう努めます。


3. 行動のコントロール

  • 非攻撃的に感情を表現する:アイ・メッセージ(「私はこう感じた」)を使い、自分の気持ちを伝えます。

  • 建設的な行動を選ぶ:怒りをエネルギー源として、問題解決や目標達成に活かします。

  • 怒りを記録する:アンガーログを活用し、感情の傾向を把握します。


アンガーログの活用

 アンガーログ(怒りの記録)を付けることは、怒りをコントロールするための効果的な方法です。以下の項目を記録すると役立ちます:

  1. 怒りを感じた日時

  2. 怒りを引き起こした状況

  3. 怒りのトリガー

  4. その時の身体的反応(例:心拍数が上がった、手が震えた)

  5. 思考や感情

  6. 取った行動

  7. 結果と影響

  8. 振り返りと改善点

記録を定期的に振り返ることで、自分の怒りのパターンを分析し、改善に繋げることができます。


【無料で活用できるワーク】

conoteのアンガーマネジメントワークシート
「conote」では、ストレスや怒りへの建設的な対処法を習得するためのワークシートが無料で提供されています。A5サイズでデザインされており、印刷して手軽に使えますできます。

ことばSTのアンガーログプリント教材
「ことばSTブログ」では、自分の感情を見える化するためのアンガーログ教材が無料でダウンロード可能です。 怒りのトリガーを特定し、健全な対応方法を見つける手助けとなります。

スクールカウンセラー養成所のアンガーマネジメントワークシート
中学生向けに作成されたアンガーマネジメントのワークシートが無料で提供されています。学校の授業や家庭での学習に活用できます。



怒りを「味方」に変える

 怒りは、私たちに「何が大切か」を教えてくれる感情です。そのため、怒りを完全に否定するのではなく、次のように活用するのが理想です:

  • 怒りの原因を深掘りする:何が自分の価値観や期待に反したのかを明らかにする。

  • 前向きな行動につなげる:怒りをエネルギー源として、問題解決や成長に活かす。

  • 他者との共感を広げる:怒りの原因を共有することで、相手と理解を深める機会にする。


まとめ

 怒りを感じることは生物として自然なことであり、それ自体は決して悪いことではありません。しかし、適切にコントロールしないとネガティブな影響を及ぼす可能性があります。

 怒りを受け入れつつ、自分の感情や行動を冷静に振り返り、建設的な方向に活かすスキルを磨くことが重要です。アンガーログなどのツールを活用しながら、怒りと上手に付き合うことで、より穏やかで充実した日々を送ることができるでしょう。

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