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仲介は賛否両論だけれども|M&Aアドバイザーのつぶやき
こんにちは。かきもとみさです。私は世の中に少ない女性M&Aアドバイザーとして仕事をしています。
最近、案件が立て込み過ぎていて本当は「M&Aアドバイザー超初心者向け基礎知識!」をちゃんとまとめて更新したいのですが・・・体系だって記事を書く時間がなく、「M&Aアドバイザーのつぶやき」の軽めの雑談回ばっかりになってしまっています。もし、読んで勉強してくださっている方がいらしたらすみません・・・。
ちなみになぜトップ画がワインばっかりなのかというと、ただ、吞兵衛だからです(笑)。辛口白ワインがとにかく好き。
このまま忙殺されたら、一生私のnote記事はワインのトップ画で埋め尽くされるのではないか・・・。
さてさて、今回は、先日成約したM&Aの買手企業へのインタビューの記事ネタを抜粋したいと思います。
売主⇔買主で分かれてアドバイザーはつくべきなのか?
M&A界隈の人ならご存じの通り、「M&A仲介」というのは、その存在自体が悪者にされることがあります。
まず「M&A仲介」の意味がよくわからない人には補足しますと、「仲介」というのは売主とも買主とも契約をしているアドバイザーのことです。中には、仲介人の役目だけ果たして、「あとは双方でどうぞ」と言って身を引き、アドバイスはさっぱりしないこともありますが。。
M&Aという交渉の場面で、売主と買主の両方と契約していると、どういうインセンティブが働くかというと、例えば「譲渡対価が高ければ高いほど、成功報酬としてもらえる金額が上がる」という契約だと、恣意的に双方の意思疎通を捻じ曲げてでも譲渡対価を上げようとする輩が出てきてしまうんですよね。
本来は、買手にとっては対価は抑えたほうがメリットが大きいし、売手にとっては対価は大きい方が良い、という相反するインセンティブが健全に交渉の場面で働いて、健全な譲渡対価や条件で着地すべきはずなのに。
これがM&A仲介の問題点で、お役人も危惧しているポイントです。
なので、最近は国としても「仲介NG」という意思表示をする傾向があるため、上場企業やそれなりに大きな会社は「M&A仲介と契約するのはNG」だったり、M&Aを事業として手掛けている会社もそこそこの規模だと「うちは仲介は絶対にやらない」という会社が結構あります。
さて、この仲介は本当に悪者なのかどうか。
結論から言うと、個人的には、案件によってはアドバイザーは「仲介」として関わるべきだと思っています。
線引きは難しいですが、1桁億円規模くらいの譲渡対価であれば、「仲介」でやったほうが良いのではないかなと私は考えています。
繰り返しの補足ですが「仲介でやる」というのは、売主のアドバイザーと買主のアドバイザーがそれぞれ分かれてついているということではなく、売主のアドバイザーが買主のアドバイザーも務める、という意味です。
前置きが長くなりましたが(長すぎ)、先日の買手インタビューは、この仲介の価値というのを改めて感じた機会になったので、残しておきたいなと思い書きました。
売主に会ったこともない買手アドバイザー
先日成約いただいた買手企業の役員さんは、私が案件紹介をする直前までずっと、2年以上の時間を費やして首都圏でM&A案件を探してきました。
なかなか着地せずに時間が流れていき、もう案件対応に疲れ切っている様子でした。その当時の様子をこんな風に語られています。
良いと思った売主と出会えて、トップ面談の内容からしても、先方もうちのことを魅力と思ってくれていると感じた。
だけれども、売主にはアドバイザーがいて、うち(買手)にも別のアドバイザーがいて。
トップ面談の後、買手アドバイザーに「うちへの印象、どうだった?」「金額的に、勝てそう?」と聞いても「売主アドバイザーに聞きます」と言ってばかり。実際の温度感が全くわからない。
結局、「金額で負けた」と聞いて、諦めかけていたのにも関わらず、しばらく経ってから「やっぱり金額ではなくて、御社にお願いしたいようです」と連絡がきて、「もう遅いよ」という感じで。。
買手のアドバイザーは、売主に会ったこともないという話だし、これじゃ良い話もまとまるわけがない。
こんなようなことを仰っていました。
売主に会ったことも無い買手アドバイザー…。
私的には「たとえ成功報酬が大きくてもそんな仕事はしたくない」と正直思ってしまうのですが、これ、めちゃめちゃ世の中に多いんですよね。
私も1年間だけ、M&Aの会社にサラリーマンで勤めていたことがあるので、この体制にならざるを得ない状況があることは理解はできます。
とくに、売主側が「入札」っぽくプロジェクト管理していれば、買手アドバイザーが直接売主に会う機会は無いし、買手アドバイザーだって、買手企業を見つけてきた以上は買手からしか報酬をとれないのだから、買手アドバイザーとして動くしかない。よく理解はできるし、気持ちはわかります。うん。うん。
でも、ぶっちゃけ、その体制で、買手アドバイザーとしての価値を出すのってめっちゃ難しいんですよね。
何度でも言うけど、同業者ですから、気持ちはわかります。そういう状況になったら、買手アドバイザーとして動くしかない。そりゃそうです。
だけど、それで売主と買主が意思疎通がままならなくて、案件の成約の機会を逃すくらいなら、変にアドバイザーが介さない方が良い。本質を言ってしまうと、正直、そう思います。
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買手企業の役員からは、今回成約につながった経緯として、私が仲介アドバイザーとして、最初に売主の意向をきちんと伝えてくれたことが良かったと言ってくれました。インタビューでお話していただいた内容はこんな感じでした。
最初のアポイントで、面談冒頭にアドバイザーさんが(←私のこと)言ってくれたんです。
「先にこれだけは伝えておきたいんですが…。売主社長も実は御社のことをすごく魅力に感じていて、他の買手候補には情報開示すら進めさせてくれていないんです。このように売主が御社に対して魅力を強く感じていることを素直に伝えてしまうことが良いかどうかも、初対面の買手企業様なのでリスクもあるとも思ったんですが、あまりの売主社長に熱意があったので『これは熱意を伝えないままに機会を逃してはいけない』と思って、今日は急でしたが直接会いに来たんです」と。
その当時はもう、M&Aの商談がうまくいかなくて疲れていて、「ドライにどんどん案件の数をこなしていこう」という気持ちでいたんですけど、売主アドバイザーが売主社長の熱意を正直に伝えてもらったから、すぐにトップ面談を申し込んだし、その後スムーズに話が進み、売主社長の意向もブレることなく、こうして良縁に結び付いた。
だから、売主とも距離が近くて気持ちがわかっていて、温度感もちゃんとわかっているアドバイザーの存在は本当に大事なんです。
最初のアポイントでの会話が買手企業の役員さんにとってすごく印象に残っていたようで、改めて「仲介としてのアドバイザー」は大事だなと感じました。
仮に、私が買手アドバイザーにしかなれない立場だったらこんな発言はできなかったし、売手アドバイザーだけしか務められなかったらこの温度感は伝えられませんでした。
特に中小規模の売却案件であれば、オーナーが社長で、家族経営の会社が多いです。そうすると、交渉に占める「気持ちの問題」の割合が非常に大きい。だから「気持ちに寄り添う」とか「温度感を性格に伝える」とか、そういう部分が非常に大事になってきます。
ここが私が得意とする部分だし、仲介アドバイザーとしての立場でないと本領発揮できない部分でもあります。
これが数百億円規模のM&Aでは話は違います。大規模なM&Aでは、金額も含め、様々な要件や、業界全体への影響なんかを考慮して、売手アドバイザーと買手アドバイザーが分かれてついて、それぞれの要望を聞きながら、対立しつつも協力しながら着地点をみつけてまとめあげていくことが必要になるでしょう。
ですが昨今の国内の事業承継問題に対する解決としての第三者承継=M&Aについては、私が扱うような中小規模の案件が圧倒的な数があるでしょうから、すべての案件に対して「売手アドバイザーと買手アドバイザーは分かれてつくべき」というのは推奨できないと感じています。
もしそれを強制してしまったら、成約でき得る案件も、成約機会を逃すこともめちゃくちゃ多くなると確信しています。ポンコツアドバイザーも世の中にたくさんいますし(あ、失言)。
だから、結論としては、変に「譲渡対価を吊り上げよう」なんて低レベルな発想の無い、きちんとした倫理観のあるアドバイザーが介入する前提であれば、「MA仲介」はこれからも活躍するべきだと考えています。
「つぶやき」なのに、つい熱くなって、長くなってしまいました!!
このテーマは賛否両論なので、あくまで個人の見解ということでとらえてくださいね。
本日はここまでです。
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ではまた♪Adiós❤
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