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【第7話】私と猛犬ケルベロスの冒険の記録【創作長編小説】

第1話はこちらのマガジンから読めます。

砂漠に集まる飛空艇

人間界の上空を私はケルベロスに乗り、飛んでいる。冥界の王ハーデスに渡された地図をみると目的地の時空の歪みまではあと50kmの距離がある。森や町のある地上側と比べると、今飛んでいる空の雲の上は、障害物がなく移動がしやすいのでかなりケルベロスはスピードを出せている。このスピードならあと1時間以内には目的地につきそうだ。この目的地は人間界に本来あるべきではないとされる時空の歪みで、そこが疫病の発生源になっている。私は悔しいけれどその疫病にかかり17歳という若さで亡くなった。私の人間界での生命を奪った無慈悲な疫病を、私は冥界の遣いとして蘇り、冥界のハーデスから渡された魔法の弓を使って制圧するために今時空の歪みを目指して空を飛んでいる。

今は時刻0時頃だろうか。朝日が昇るまでに私の仕事を終わらせて、私の生まれた故郷の町に戻りたい。ケルベロスは今日は頭3つ全員起きていて、私の相棒としてしっかり目的地に向かって余所見をせずに飛んで偉い子だ。

「そろそろつくね。目的地を目で見て確認したいから飛行高度を下げようか。ケルベロス、雲の下に行って!」

ケルベロスは私の指示を聞いて、体を斜め3°下に傾け、夜の雲の中に突入した。風の抵抗がさらに強くなったのと雲の水蒸気が冷たく顔に当たるのが辛くなり、私はケルベロスの首元に顔を埋ずめ頭を低くした。雲の下側に飛行高度が下がったあたりで、小さなザラザラした硬い物体が皮膚に当たるのを感じるようになった。高度が下がるにつれ段々とその物体の感触が強くなり、ピリピリとした痛みが服から露出している肌に走る。痛みに耐えながら、瞼をギュッと瞑り風圧に耐えた。

ケルベロスは斜め3°の下降の飛行態勢から、体を上側に傾け空中に止まった。そこには一面に砂漠が広がっていて、ヒューーーーッ。ヒューーーーッと砂嵐が起きている。見渡しが悪いが巨大な飛空艇が20機も砂漠の上を低空飛行しているのが確認できた。ミキラ帝国軍のが8機とゲイン帝国軍のが12機。ゴウンゴウンゴウンゴウンっと飛空艇のエンジン音が鳴り響かせながら並んで、不穏な空気を漂わせている。こんな砂漠の僻地に私と同じタイミングで飛空艇20機が集まる理由はなんだろうか。飛空艇の軍隊に見つからないように私はもう一度雲の上に行き身を隠すことにした。

戦争の勃発を止めるために

私はケルベロスに乗って、ミキラ帝国軍とゲイン帝国軍の20機の飛空艇から身を隠すために砂漠地帯の雲の上にいる。ミキラ帝国軍は私の故郷のゲイン帝国軍領地の町に5000の兵を送り火を投げ入れて侵略してこようとしたのに、今、何故その2つの国の飛空艇が砂漠の上に並んで集まっているのか。状況を考えても私はわからないし、死神を召喚して何か知っているか聞いてみようと、私は冥界のハーデスに教わったお臍に小指を入れて念じる方法で死神を人間界に呼んだ。すると死神が空の空間を鎌で引き裂き、
「汝、我に何の用で呼んだ?」と現れた。
私は死神にミキラ帝国軍とゲイン帝国軍がなぜ私と同じ時空の歪みを目指して飛空艇を飛ばしているのか聞いた。さすが死神。人間界と冥界を行ったり来たりしているだけあり、もう情報を持っていた。ミキラ帝国軍とゲイン帝国軍の其々の国王に疫病の原因が時空の歪みから来ていると報告をした私とは違う者がいた、と死神は言った。その報告をうけた国王は疫病制圧に軍を動かし、時空の歪みの偵察に飛空艇を出し、今の状況が起きていると。そういえばハーデスは、私に後から人間界に援軍を送るって言っていたのを思い出した。
「死神さん。その報告者って誰なの?」
きっと私よりずっと歳上の政治に強い大人なんだろうなと思って死神に聞いてみたの。すると死神は残念そうに答えた。
「報告者は汝の会いたがっていた父と母。そしてアリサとやら。その他にも大勢。死因は疫病ではなく、町の火事だ。」
ミキラ帝国軍が松明の火を使って侵略してきた後の町の光景を私はこの目で見てきたばかりだし、その侵略の被害に私のお父さんとお母さんそして親友のアリサがあって亡くなってしまった事実はなんとなく可能性としては有り得ると心の中にあったけれど。直接死神から話を聞くと、あまりにも事務的な連絡に感じて私は何も返事ができなくなった。ただ哀しくて涙で視界がグニャアと歪んだ。

一一其方に送る冥界の遣いの援軍の大半は火事の死者の魂。疫病だけでなく戦争の死者まで増えた。エリーよ、早く時空の歪みの行き、其方に託した弓を放て。これ以上、犠牲は出すな。

冥界のハーデスが私の頭の中に声を送ってきた。
私のお父さんとお母さんと親友のアリサは亡くなった後に、「安息の無」の螺旋階段は拒み、眠りを望まない生命の灯火を再び燃やしたいものとして冥府の扉の中に入って、私と同じように冥界の遣いになることを選択したんだ。その後に冥界からの臍の緒を使ってミキラ帝国軍とゲイン帝国軍の国王のもとに行き事情を説明してくれたみたい。ミキラ帝国軍のせいで亡くなってしまったのに憎しみを我慢して戦争の勃発を止めるために頑張ってくれたの。その他の冥界の遣いはもうすでに時空の歪みに向かい私の到着を待っているとハーデスに言われて、私はケルベロスと雲の上から一気に目標の時空の歪みにまで攻め込んで弓を放つ任務を遂行すると決意が固まり、闘志が湧き上がった。

一続く一【不定期配信予定】

続きの第8話はこちらから

見出し画像は稲垣純也様にお借りしています。夜の砂漠を飛行する帝国軍の飛空艇はお写真みたいなイメージです!

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最後まで読んでくださってありがとうございました。いつの間にか第7話まで書いていました。1話2部構成にして書く型が自分の中で1番しっくりきています。そっちの方がアニメっぽく、テンポが良くていいかな?って試行錯誤してます。

▼小説を第1話から読み返したい方はこちらから💁‍♀️

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