読書メモ:方条遼雨さん・甲野善紀さん「上達論」_20211020
上達の条件は「全ての行為をいかに実験にできるか」だそうです。
この本では、反復で動作を植え付けるような練習について「同じ情報を繰り返し引き出すだけ」「得られる情報が死んでいる」と評しています。
それに対して、新しい事を試していく練習を「実験」と言っています。この場合、常に新しいことをやるので、新しい情報が入ってきます。
上記の結論は、この本の真ん中あたりに書いてあるのですが、ここに至るまでの思考過程が、この本の一番面白いところです。
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私は身体の動きに関する本が大好きです。自分の身体を自由自在に動かすことに興味があるからです。
自分は毎日ギターを練習しています。でも、プロがやるような技が、なかなかできるようになりません。
どうやってやるんですか?と先生達に聞いてみますが、簡単に説明できるモノではないようです。
でも、そのような神業をもつ演奏者が共通して言うことがあります。
「脳と手はつながっていないとダメ」ということです。
どんなに速く難しい動きになっても、最後まで、自分で動きをコントロールすること。
だから「考えずに手が自動で動くまで、フレーズを弾く」という練習は、一番やってはいけないそうです。
だから私のギターの練習では、自分の身体がどうやって動いているかを観察するようにしています。そして、思い通りの動きになっているかを確認しながら弾いています。
練習しながら、いつも心配になることがあります。
私の手は、ベストな状態で動いているのだろうか?
根本的に良くないことがあるのではないか?
「上達論」には、この私の問いを解く、ヒントが詰まっていました。
「上達論」では、ベストな状態について「自由自在に、あらゆる状況で、あらゆる対応ができる状態」としています。
このベストな状態を邪魔するのが「癖」なのだそうです。
偏見、ということもできます。
偏見には「肉体の偏見」と「心の偏見」があります。
心の偏見は分かる気がします。「認知バイアス」とも通じそうです。
心の偏見を解消する方法は「許すこと」。
すごいですね。
例えば「年長者はえらい」と思うヒトは、若い人が意見することを許せない。「女性は仕事に向いてない」と思うヒトは、女性が仕事で成果をあげるとモヤッとする。
偏見をもつことで、思考の柔軟性がなくなり、新しいアイデアがでてこなくなり、「実験」ができなくなってしまいます。
偏見をもたず、多様な考えを「許す」ことで、新しいアイデアを生みやすい心の状態を保つことができそうです。
そして「許す」は技術なので、手順を踏めば、誰でもできるとのこと。
「肉体の偏見」は「心の偏見」よりも直すのが難しそうです。
「上達論」でも、あらゆる視点から「肉体の偏見」が発生する過程や、その修め方について説明しています。
その中から一つだけ、覚えておきたいことを共有します。
ヒトの動きには必ず「癖」があります。
例えば、楽器を練習するとき、私達は自分の「癖」も含めたまま、動作や技術を積み重ねていきます。
練習をすることで、動作は手慣れたものになっていきます。
この手慣れた動作が、一番、効果を発揮します。楽器でいえば、一番スムーズに演奏ができると、自分が感じている状態です。
ところがこの「癖も含めた手慣れた動作」が「ベストな状態、自由奔放な状態」かどうか、分かりません。
実は「癖」を解消して、新たな動作を試すことで、もっといい弾き方ができるのかもしれません。
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「上達論」は、これまでの甲野さんの著書とは、ちょっと違います。
お弟子さんの方条さんから見た甲野さんについて書かれています。
身体の動かし方について、新しい考え方を知りたい方におすすめです。
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