2024年の読書録。
今日は大晦日。新月です。
今月は朔日も新月でした。
月というのはどうも心が惹かれてしまいます。
星より月が好きです。理由は特にないですけど、夜空を見上げるとつい探してしまうのは月な気がします。
新月は月はでませんが、あります。
はい、
青山美智子さん「月の立つ林」の受け売りです。
今年は読んだ本は21冊。
去年の半分以下でした。
少々心を病んでしまったので一時期本から遠のいてしまったのが要因ではありますが、11月後半あたりからは隙間時間を縫うようにずっと読んできました。
ずっと考え事をしてしまって脳が疲労してしまうわたしは本を読むことで自身の思考停止し、憧れの世界に連れてってくれるので、その時間だけは心地よくいられるんですよね。
なので、満遍なくいろんな作家さんを読もうとか、普段読まないジャンルを読もうとか、そんなのしない。今読みたい本を読むのがわたしの鉄則。今のわたしには「好き」の感覚が大事だと思っているので、ジャンルはかなり偏ってしまうのですが、それでいいんです。
たまに手に取った本が期待外れだったってこともありますけど、それは経験値ということでご愛敬。
さて、今年の読書録を抜粋していこうか。
まずは今年一番手にした
寺地はるなさんの作品をば。
わたしの良い子
出てくる男の子の名前が「朔」そうです。うちの子の名前の一部。ただそれだけに惹かれたのですが、最後の方でどうして朔って名前をつけたの?と聞いていて「いつでも最初からやり直せるって意味なんだって」って。そうやってわたしも我が子に名前をつけたんだったって思い出しました。
雨夜の星たち
感情移入しないというのがこの物語の主人公。なんにでも感情移入してしまうわたしはそのあらすじに興味を持って読みました。
いつか月夜
夜に歩くんですよ。そしたらどんどん歩く仲間が増えてくんです。夜に歩くっていいなって純粋に思いました。
"「誰それの幸せのために行動する」と「誰それが幸せになったら、自分が嬉しい」は、そうだね、混ぜるな危険ってやつかな"
心の奥の複雑な部分をうまく表現できちゃうのが寺地作品の好きなとこ。人の思いが丁寧で、人がいい人過ぎなくてちょっとブラックな部分も丁寧。
水を縫う
完全にタイトルに惹かれました。きっかけは心理学者・河合隼物語賞の受賞作だったということ。それに図書館の人のあらすじの書き方が素敵だった。可愛いものが苦手な娘、裁縫が好きな息子、そして"愛情表現が豊かでない母親"その一言にかえって愛情を感じたわけです。人の絡み合いというのは必ずしも仲良しばかりではないし、言葉で表現できるだけが愛情でもないんですよね。
夜空に浮かぶ欠けた月たち/窪美澄
"これからは自分のことを加点方式で褒めてあげてね"
心療内科が舞台の作品。"生きてるだけで愛されるに値する"そんな愛情ある言葉をまっすぐに読者に向けられたら、響くしかなかった。
リラの花咲くけものみち/藤岡陽子
リラとはフランス語。英語ではライラック。日本名(北海道)は紫丁花。とにかく表紙がきれいだった。物語としては今年一番気に入ったかもしれない。図書館で借りてきて読んだのですが、その中に花柄のメモ帳が挟まっていました。前に読んだ人が付箋代わりに使っていたのでしょう。これもひとつの出会いだなあ、なんてちょっとロマンチストになっちゃいました。
新源氏物語/田辺聖子
流行に乗っかって今年読み直しました。昔2週間入院したことがあってその時に一度読んだのですが、大河ドラマにオマージュされて読み直し。いろんな人が訳してる源氏物語ですが、田辺さんの訳は原文に近いのか、一部古文体が残っている。それもあってか、読むのに少し時間が掛かりました。古典文学の良さを実感しました。言葉一つ一つに重みがある。しれっと伏線回収しちゃうところがまたいい。伏線回収してます感がなくていい。来年はちょくちょく純文学とか手に取ってみようかなって思いました。
この子はこの子のままでいいと思える本/佐々木正美
もう育児書読むならこの一冊でいいんじゃないかと思える本でした。佐々木先生の本は全母のバイブルになりそうな本ばかりなのですが、佐々木先生の母と子への愛を一番感じられた気がします。タイトルがすべて物語ってますもんね。
7.5グラムの奇跡/砥上裕將
「線は、僕を描く」の原作を書かれた方。映画気になっていたけど、ずっと見れずにいて、別の作品で出会いました。きっと知る人の少ない視能訓練士さんのお話。同じコメディカルとしては共感せずにはいられなかったです。新人時代を思い出してしまいました。砥上さん自身が水墨画の画家ということもあってか文章にも芸術を感じました。
月の立つ林で/青山美智子
それぞれの物語の繋ぎ方が絶妙に温かいのが青山さんの作風。特にこの作品は一番好きかもしれません。
"新月がなぜ見えないかというと、月と太陽が同じ方向にいるタイミングなんです。つまり太陽が明るすぎるんです。「見えない」けど、ちゃんと「ある」"
キラキラ共和国/小川糸
今年は大好きな小川さんのシリーズ作で締めました。1作品めの「ツバキ屋文具店」が好きで、その2作目。代書屋が物語。手紙なんてもうこの世から消えかけているんじゃないかと不安にもなりますが、わたしはやっぱり未だ手紙を書いてます。手で紙に書く手紙。鳩子、つまりポッポちゃんの心の温かさと時間の流れの穏やかさが読んでて心地いいんです。文章が本当にいい。もう好きに尽きる。
お気づきとは思いますが、本の紹介記事ではありません。ただの一言読書感想文みたいな個人的なまとめ記事。
今年読んだ本のテーマって
「月・新月」「夜」「不器用な母」
だったんじゃないかなって思います。
この勢いで来年はもっと読めそうな気がします。
現実を生きるのって今のわたしにはとても残酷で、試練で、逃げてしかないのだけど、本に逃げると助けてくれる気がするんですよね。まだ大丈夫っていう根拠のない救いをくれるというのかな。自分の思うがままに手に取った本って自分の本能とうまくマッチングしてる気がするんですよね。
だから、おすすめとか人に聞きません(笑)
それに今まで読んだ本ももう一回読みたいなって思うこともあって、再読もありかもしれませんね。もう10年以上前に読んで本棚に眠っている本も手に取れるタイミングで手に取れるかもしれません。ある種の再会ですね。
ではでは、よいお年を。