モノづくりということへの憧憬。
弊社は日本橋の地で239年間商いを続けてきた紙屋です。創業は江戸時代まで遡り、現在の新潟県柏崎市から日本橋小舟町にきた初代中村庄八が和紙や竹製品を扱うお店での奉公人を経て、今の中庄本社ビルのある馬喰町の地で「紙屋庄八」をスタートしました。
そこから239年間、和紙等を取扱う小売店から卸売業へ、そして和紙から洋紙へと時代の流れに合わせて業種・業態を変化させてきました。
そして、230年以上の時を経て、未来をつくる部を開設し、昨年4月から紙の遊園地プロジェクトもスタート。
長い歴史の中でも、きっとあったであろう239年間の歴史の中で、大きな転換点の一つにきていると僕は思っています。
僕自身は経営者でもないでもないし、ただのサラリーマンです。でも、10年以上お世話になっている中庄という会社に何かしらの貢献をしていきたいし、長い人生の中でこれだけはやったと誇れるようなものもつくっていきたい。
卸売業という商いにおいて、「新しいことへの可能性を探していきたい、そのためには今までにないものをつくらなければ…」と考えてみても、我々はモノづくりができるわけではありません。でも世の中に今までになかった価値をつくることはできる。
「モノづくりができないからこそ、できることがある。そんな皆さまの余白のような存在になりたい。」
未来をつくる部を開設した当初から心に刻んでいるこの言葉。
そして開設から2年以上経過した今、ずっと憧れだったモノづくりというアプローチによる価値創造にチャレンジすることができました。
こんにちは!
未来をつくる部 刑部渉です。
今回は、現在開発中のボードゲーム「サカッソ」の誕生にいたるまでの経緯とオモイについてお話していこうと思います。
ボードゲーム「サカッソ」。
サカッソは紙の手触り感や温もりが伝わり、且つインテリアにもなりうる美しさを兼ね備えたもの。
そして、紙の魅せ方としての新しいアプローチに挑戦しようという、紙の遊園地プロジェクトにおける3本の柱の1つです。
ボードゲームとしての楽しさはもちろん、遊びながら紙の手触り感を楽しめ、見た目としての美しさも追求しました。
サカッソ(SAQASSO)という名前の由来は、
咲く+Quality(質/品質)+ASSO(イタリア語で素晴らしい)といった言葉からなる造語です。
このサカッソにいたるまで、全く違った姿形の試作品も考えてみたり、サカッソの形が確定してからも何回作り直したか分からないくらい作り直して、ここまできました。
強度の問題や見た目の美しさの問題、紙の手触り感の伝わりやすさ、ゲームとしての楽しさなどあらゆる観点から試作し続けてようやく現在の形にたどりつきました。
完成にいたるまで、努力と妥協を惜しまずに協力して下さったプロデューサーのアトリエヤマダ代表山田龍太さん、アートワークやデザイン全般を担当して下さったデザイナーの高畑慧さん(コロコロ堂)、ルールデザインを担当して下さった佐藤雄介さん、ルールデベロップ兼撮影を担当して下さった深瀬雅央さんには感謝しきれません。
他にも多くの方や企業さんの協力を経てサカッソを完成間近までもっていくことができました。
モノづくりはできないけど、できるモノづくりがある。
「刑部さんはきっとモノづくりへのリスペクトがあるんですね。」とある方に言われたことがあります。
何だかとっても嬉しい言葉だったのですが、本当にただただ憧れているということだと思います。
未来をつくる部を開設し、紙の遊園地プロジェクトを始めたことで、和紙職人さんをはじめ、デザイナーさんや作家さん、あらゆるモノづくり企業さんと出会い、作品や素材に触れてきました。
本当に皆さんすごい方達ばかりで、ただただ憧れの眼差しを注いでいました。その中で僕自身ができることってなんだろう…をずっと考え続けてきました。
紙の遊園地プロジェクトをスタートさせたことで、出張チョキペタスや紙の遊園地イベントなど僕自身も何かを生み出すプレイヤーの1人となって、今まで悶々と考えていたことが、次々とカタチになっていく不思議な感覚。
この活動を通して「面白そうだね!」「一緒になんかやりましょう!」と言ってくれる方たちに対して、「そんな方たちにとっての余白になりたい。」「その中で一緒に何か新しい可能性を生み出していきたい!」と改めて思います。
サカッソという存在もそんな方たちにとっての余白の一つになってくれたら嬉しい。
サカッソは紙の可能性を開く新たなアプローチだと思っています。さまざまな素材や紙、産地とのコラボもどんどんしてみたい。
商品としてのサカッソの良さはもちろん、ワークショップとして展開させていくことで楽しさが広がっていくのではないだろうか?
色んな種類の花びらのコマを用意しておいて、紙の違いを楽しんでもらいながらお気に入りの花びらを選んでもらっても楽しいのでは?
などなどアイディアは尽きることがありません。
新しい可能性は今まで出会うことのなかったものの中からしか生まれてこないと身をもって体感しています。
卸としての可能性、紙そのものの可能性を広げるために紙の遊園地プロジェクトもスタートさせました。
作家さん、デザイナーさん、自治体や商業施設、あらゆる企業さんを巻き込みながら、
「日本橋に新たな想像拠点となる発信地をつくる!」
を掲げ、紙の遊園地という存在が、皆さまの余白となって、想像をつなぎ、新しいを育める場所でありたい。
そう在れたら嬉しい。
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