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詩『量産型社会』
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私を大量生産するために、わたし、は産み落とされた。わたし、でありつづけることに、息が切れる上り坂。後ろ向きに転がり落ちないように、爪先にちからを充填してゆく。両足のブレーキを踏みしめながら、ぐっとこらえる。ご機嫌ななめな爪をなだめるためのフットネイル。曲がった足の親指。外反母趾が疼く。じり、じり、汗が時計に滲んでいる。手首に革ベルトの痕跡。押し返す弾力のある肌。生きている証明の生中継(L・I・V・E)パレットの上で、呼吸が破裂しそうだ。真っ黒なアスファルトに、モノクロの過去からの道に、colorfulな絵の具の破水よ、弾けて、ぶちまけろ。晩夏の息継ぎを束ねたブレスレット。しゃら、しゃらん、ひかり、の振動音。鼓動に寄り添って、固い心臓を揉みほぐしている。ホワイトアウトーーーーー一時心肺停止、蘇生、再始動。
(i was born………三番目の眼よ、グッモーニン!)
朝からわたし、を煮出した産湯のロイヤルミルクティーを啜る。飲み干したあとのカップがまだ唇の熱を記憶している。わたし、がたくさんの私に呑みこまれて、消費されてしまいそうだ。ぱくり。冷凍庫の氷が流れていったシンク。ルビの足音もゆっくりと溶けてゆく。まるで雪崩のような日々のほころび。スポンジの角をくしゃくしゃにマッサージした。泡がたくさんのおつりを吐き出してくれる。ありがとう、今日、まだ心臓があたたかいことを確認する。震えている(いのち)の音楽に感謝して、アカウントを切り替える。きょう、という時間のフレームのなかで、朝を彩る挨拶とひと言、そして足早にシェア。
(Good-bye………じゃなくて、倍×倍、虚像のフィーバー)
わたし、玄関で、あたらしい靴を履いた。
(きのうも、きょうも、あしたも、闘うために、)
高鳴る鳩胸に手を当てて、
大きく腹式呼吸してから、
手の平を挙げて選手宣誓、
『行ってきます!』
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自己紹介の代わりに、即興で書いた詩です。
よろしくお願いします。
(加筆修正しました。2023.4.28)
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