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せいかつの軌跡(9)
こどものくに
夕食のカレー(もちろんナスとキュウリ入り)を食べ終えた後、二歳のトモシが私を指差し夫にこう尋ねた。
「コノコ、スキ?」
「好きだよ〜」
との返答にニッコリしながら、一言呟く。
「コノコ、アカチャン、ダカラネ〜」
ええー!!!
何で分かったの、わたしがコドモだってこと、、。
彼のあまりの洞察力の高さに、思わずのけぞってしまった。
確かに私は一応親になってるらしいけれど、大人にはなれていない。
最近ようやく少しだけ諦めがつき始め、「大人になりきれなかった人」として開き直っている最中。
それでも本音と建前を使いこなせる人の器用さを、しょっちゅう羨ましく思う。
私は自分の思いと違うことをしているとすぐに心身の調子を崩すし、しにたくなってくる。
嘘をつくのがとても苦手だ。
例えそれが、自分を守るための嘘であったとしても。
そういう性分は夫も持ち合わせているようで、コンプレックスが似ているカップルだと思う。
私も夫もこどものまま、二人のこどもと暮らしている。
我が家は小さな森を背負った、こどもの国のよう。
それにしても二歳児からアカチャン呼ばわりされる日が来るとは。
嬉しいような、切ないような、誰かに感謝したいような、不思議な感情が湧く。
彼はかみさまの世界とどこかで、まだ繋がっているような気がする。
これからも、その瞬間のお互いを
どうぞよろしく。
【今日のうた】
花は花どうかこのまま君は君
希みあつめてままごとをせん