日本語見直そうキャンペーン〜YO!と言わないラップ音楽〜
こんばんは。服飾大学で出会った「みっぽ」と「キキ」がサブカル的な態度でコンテンツについて対談形式で語る「サブカル女子って呼ばないで」です。
今回は最近よく二人で話している、「日本語見直そうキャンペーン」が今まさに音楽業界を中心に起きているのでは?ということについて、改めて思案してみました。
■「日本語見直そうキャンペーン」とは?
キキ これ、私たちが最近よく話している、ちょっと前まであった音作りや雰囲気に比重を置いた音楽から、フリースタイルダンジョン、日本語ラップやなんかにブームが移行している今の空気感を表して使っている言葉だよね。
みっぽ そうそう、私たちが勝手に作って勝手に使っている言葉。笑
音以上にリリック部分に、それも「日本語」に重きを置いている音楽が今見直され始めているんじゃないかというお話。ラップに限らずね。
キキ ちなみにいまこれを書いているカフェで掛かっている音楽が『唾奇 × Sweet William / Made my day』だったりなんかして。笑
みっぽ ね、ちょうどいい感じ。笑
■キャンペーンはいつ始まった?
キキ キャンペーンがまだ始まる前の頃、前段としてあるのは個人的にはボカロブームなんじゃないかと思うんだよね。
みっぽ ボカロって、実はメッセージを伝えるのには最適な音楽だったりすると思う。
キキ 人間性を出さないことでメッセージを婉曲せずに伝える効果があって、そのブームが言葉そのものの格好良さを評価する今の流れの下地を作ったんじゃないかな。
みっぽ じゃあ具体的に日本語見直そうキャンペーンってどこから始まったのかっていうと、3.11からのアイドルブームがずっとあったけれど、今その揺り戻しとしてフリースタイルダンジョンブームがきているんじゃないかっていうのはちょこちょこ聞く話よね。
キキ それ、しっくりくるなぁ。3.11から数年と今とでは明らかに世間の空気感って変わっていて。
みっぽ 3.11直後の空気感にはTHE アイドル音楽みたいな手放しで自分を応援してくれる存在が重要だったと思うのね。でも今はその空気感は薄れていて、「主張」としての音楽がじわじわと戻ってきている感覚。
■言葉そのものの価値で勝負する
みっぽ ボカロに見られた人間性を持たないものが感情的なリリックを歌うことによる、リリックへの共感しやすさは一個の節目。そこから徐々に評価の比重がリリックへ傾いていて、言葉を詰め込みやすいラップ的音楽の流行に繋がったわけだ。
キキ 過去にもラップブームってあったけれど、それと今の「日本語見直そうキャンペーン」とでは何が違うのかって考えたら、「YO!って言わなくなった」ことじゃないかと思うんだけど。
みっぽ YO!って言わなくなったね。笑
YO!って、ラップ的音楽の中で「雰囲気」とか「空気感」を担っていた部分だと思うの。
キキ そう。だから、「いわゆるラップ音楽−雰囲気の部分=日本語見直そうキャンペーン的表現」なんじゃないかなって。
みっぽ 伝えたいことをダイレクトにぶつけられるのが今のラップの1番の魅力で、今ブームになってる要因なのかな。
■YouTuberは日本語見直そうキャンペーンを加速させるか?
キキ 個人的に最近思っているのは、日本語見直そうキャンペーンを加速させるのはYouTuberなんじゃないかってこと。
みっぽ YouTuberがラップ動画とか、ラップ的な表現を使った音楽動画を出すのって最近増えてきたかも。
キキ 今って子供達のヒーローが、一発ギャグの芸人から喋りの達者なYouTuberに移行しつつある時代だと思うのね。YouTuberの特徴って、言葉と言葉の間にカットを入れまくった流れるような喋りで、それがラップ的表現と親和性があるんじゃないかな。
みっぽ YouTuberが子供に受け入れられた要因って色々あると思っていて。その中でも視覚的な効果って大きいんじゃないかな。音楽的な言葉だと聴覚からしか情報が入ってこないんだけど、YouTuberって言葉を動画にテロップとしていれるじゃない。
キキ 映像内でのYouTuberの言動に対してテロップで突っ込んだりっていうのもよく見るね。
みっぽ そうそう。聴覚だけでなく視覚から文字情報が入ってくる、言葉を受け取りやすい状態をデフォにした感じというか。
キキ テレビと違ってYouTuber自身が動画編集していることも多いから、喋りもテロップの文字も本人たちの言葉なんだよね。
みっぽ テレビを見ていて「昨日のあの番組の編集良かったよね〜」みたいな会話ってあまり生まれないけど、YouTubeだとそういうコメントが飛び交っていて。視聴者の受け取り方にも変化を起こしているよね。
キキ そう考えると確かに視覚から受け取る言葉っていうのは1つキーワードかもね。それでいうと、アーバンギャルドの松永天馬さんが、過去にYouTuber、動画と音楽について語ってたよ。
アイドルブーム終わりましたねとよく言われます。今は何が流行ってますか?と訊かれたら、ユーチューバーと答えています。それ音楽じゃないじゃないですか!と返されますが、歌う人も多いし、動画が音楽を包括してしまった時代だ、音楽が時代を象徴してるって前提も烏滸がましいぜと考えています。
■女の子とラップと映像と
キキ 冒頭にアイドルブームの揺り戻しとしてのフリースタイルダンジョンという話をしたけれど、今は更にそこから、いわゆる子供達のスターであるYouTuberにまでキャンペーンの波が来ているんじゃないかな?
みっぽ 子供だけでなく、女の子にも波及している印象もあるなぁ。女の子でラップやる子って増えたよね。アッコゴリラ、泉まくら、DJみそしるとMCごはん、MCウグダダとMC i know、DAOKO、、、。
キキ DAOKOはこの前ライブ見る機会があって。ラップ以外の曲も色々やっていたんだけど、彼女の表現こそ日本語見直そうキャンペーンの分かりやすい例だったかも。
みっぽ なにそれ!DAOKOのライブ見たことない…!
キキ 歌ってるDAOKOの前に薄い幕が下ろされていて、そこに歌詞とかが映写されるの。歌ってる歌詞がリアルタイムで流れてて。
みっぽ それ、YouTuberのテロップとも近いものがあるね。
キキ そう!聴覚に視覚からの情報がプラスされて、よりメッセージ性が強くなるんだよね。
みっぽ 最近ライブでもVJに注目集まることも増えたね。
キキ サカナクションではバックスクリーンに移されていた映像が、文字情報をふんだんにしてアーティストの前に出てくるようなね。
■キャンペーンの向かう先は?
みっぽ 「日本語見直そうキャンペーン」っていう表現をしているのは、これがただの「ラップブーム」に留まることじゃないと思っているからなんだよね。
キキ そうだね〜。例えばこの前、今とても勢いのあるコミックバンド四星球とDOTAMAのセッションなんかを見てもそう感じた。
みっぽ 今後で言うと、今のWANIMA的なポジションの日本語ラップの新星が今後出てくるんじゃないかなっていう期待というか予感、あるんじゃないかな。
キキ ラップに限らず今の流行にはネット、SNSの影響力って絶大じゃん。
松永天馬の言う「動画が音楽を包括してしまった時代だ」ってその通りだと思うの。視覚としての文字も上手く利用できる新星でてきたら面白いなー。
みっぽ それか新星じゃなくて、今すでにいる人たちがキャンペーンに参加してきたらそれはそれで面白いよね。
キキ あ、この前のRADWIMPSの新曲聞いた?
みっぽ あれ!あれは確かに日本語見直そうキャンペーンだった!笑
主張としての音楽を彼らみたいな人たちがやってくれたのはキャンペーンを加速させるきっかけになったかもね。
キキ 今回はこれで締めましょか。