外で上手にサボれないのも、玄関で電池が切れるのも、私の…
私は学生時代における長期バイトの経験があまりない。
学生の本分は勉強だと言う思いがあったし、それなりに学びたいことを学べる環境に身を置いていたし。
お金に関しても、奨学金を借りられるだけ借りていたのでそんなに困ることもなかった。
唯一長期で契約したアルバイトであるクロワッサンの美味しい、人もまばらで、ゆったり過ごせるカフェは、勤め始めて、半年ちょっとで閉店してしまった。
ほかにも、サッカーの派遣アルバイト、百貨店の短期アルバイト、新聞社の選挙速報アルバイト、街頭イベントの短期アルバイト、民放サッカー中継の字幕入力アルバイト、知り合いのお茶屋さんのイベント手伝い、知り合いのカフェの皿洗い…。
思い返してみるとそれぞれにそれぞれの世界や、見える景色があって、そこでしか学べないこともあって、楽しかった。ただ、1つのところに長くいると言う事は少なかったため、元来コミュ障なのもあって、そこで後に繋がる人間関係の構築機会を作れなかったことは今でもちょっと後悔している。
とは言え、これらの経験の中で共通して、ずっと言われてきたこと。それが「真面目だね」と言う言葉だ。
なぜ真面目と称されるのか?
それは「私がじっと立っている」ということができないからだ。
と言うのも、働くと言う事は時給が発生している。
だから、「とりあえずやることがないから、立っていてくれたらいいよ」と言う言葉が、私はどうしても言葉の通り受け入れることができないのだ。
ただ立っているだけでお金をもらうということが、私にとっては、どうしても承服しかねる。そこに金銭が発生しているのであれば、私はその場において何かしらの役に立ちたい。だから、じっと立っていると言うことが、私には何より難しい。
少しでも次の仕事が楽になるような整理整頓をしたり段取りを考えたり、お客様が触れる物は常にきれいにしておきたいし、万が一汚れがあればその掃除をしたい。じっと立って手だけ動かしているよりも、大道具を運んだり、人を呼びに行くために走ったり。お客様に笑顔を向けて、姿勢正しく挨拶をしたり、手を振ったり。
もっと言葉を付け加えるなら、おそらく、第三者から見て、あの子は何もしていないと思われる瞬間ができることが、ただ、何よりも怖いのだ。
だから、常に仕事を探してしまうし、誰が見ても動いている自分でありたいがため、じっとしていると言う事は無い。それを見た周りからは「真面目だね」といつも言われてきた。
でも、それは私が思う真面目ではない。
少なくとも、ただ怖いから。何もしていないと思われることがただ怖いから。
何もしないでいる自分と言うのはストレスだから。
お外では良い子でいたい。良い子だと思われたい。
本当に、ただそれだけ。
その反動か何か知らないが、家に帰ると玄関で電池が切れて、野垂れ死んだように倒れ込むことは多々ある。外での良い子の自分に反して、家では掃除もろくにしないし、ご飯もめんどくさいからといって作らないし食べないし、休みの日は布団の上で過ごして1日の3分の2をひたすら寝て過ごすことだってある。そして頭が痛い、体がだるいと嘆く。ズボラで干物女そのもの。
逆に、突っ立っているだけでいいよと言われて、ほんとに突っ立ってていることができる。そうできることの方が、言われたことを忠実に守っており、真面目なんじゃないかと思う。
だって、私は言われたことすら守れない。
こういう自分の性格は、長期アルバイトを経験していないからなのかな。上手にサボると言うことができないのは、学生時代に社会と言うものに接してこなかった社会不適合者だからなのかな。
そんなことを社会人10年以上経った今でもずっと考えていた。
これまで1度も、そんな私の性格を理解してくれる人はいなかったし、すべて「真面目だね」と言う言葉でラベリングされてきたから。私がおかしいんだと思っていた。
2021年6月15日。
小学校からの友人のTwitterを見ていた時に、まさかの投稿があった。
「じっと立っているだけでいいといわれる仕事はストレスを感じるし、それができる人はそういう才能だと思う」と。
びっくりした。
「いた!」と思った。
言葉の奥にある根本は異なるのかもしれないけれど。
自分以外にも、同じ思いを持つ人がこんな身近にいたなんて。
同時に、私がおかしいわけじゃなかったんだ。
これは、性格の1つで、ある種諦めてもいいもので、私の過去が悪かったわけでもなく、仕方がないものなんだ。そう思えた。
すごくほっとした。涙が出た。
2021年6月15日は、天赦日らしい。
本当に許された気分だった。
しかも、一粒万倍日でもあると。
うん、1人同じ仲間がいると知っただけで、何万倍も強くなれた気がした。
真面目じゃないのに、真面目と言われること。
本当はずぼらなのに、真面目と言われること。
上手にサボれないこと。
上手に生きられないこと。
これも仕方ない、私の性格で個性らしい。
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