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【読書】憧れの世界。

確かに生きづらいのに
変わりはないのでしょうが、
強烈に惹かれる世界です。


自分の境遇を
恨むことをせず、
いえ、だいぶ恨んだとしても、
かなりの制約のある中で
居心地良く生きようと努力し
美しく生きている。


千早茜さんの
「透明な夜の香り」を読みました。

今日はジュニパーベリーの
バスオイルを持って帰るといい。
むくみが取れるよ

「透明な夜の香り」千早茜 著 より抜粋。
以下、抜粋は全て同様。



私は少し食に敏感で、
子どもの頃
調子が悪いときに
牛乳を飲むと吐きました。



カップラーメンは
食べると必ず
途中で気持ちが悪くなりました。



油ものにも弱くて
外食すると
お腹を下したり
嘔吐したりしていました。



臭いにも敏感で、
柔軟剤や掃除用洗剤の香りで
頭痛や吐き気を引き起こします。


肌も同様で
一般的な化粧品や
シャンプーや食器用洗剤は
使えません。


チビが生まれてからは
食過敏のこの子のために
食もだいぶ変えました。


私は子どもの頃
毎日のように
スナック菓子を食べていました。


私の母は買い食いは
禁止していたけれど、
家にはたくさん
ポテトチップやらチョコレートやらを
ストックしていて、
好きなときに欲しいだけ
食べることが出来ました。



スナック菓子を食べる習慣は
大人になってからも
なかなか消えなくて、
健康な方ならともかく
身体に比較的気をつけるべき私としては
悩みの種でした。


だからチビには
赤ちゃん用のスナック菓子は
あげませんでした。
幼児期にもスナック菓子は
ほとんどあげた記憶が
ありません。


その一つ一つが身体に悪いと
言うのではなくて、
スナック菓子を食べる「習慣」を
つけることが怖かったから。

「習慣」になることが
一番怖い。
後になって頑張ってもなかなか
変えられないから。


私はやめるのに本当に苦労したから。


私はいつからか少しずつ
スナック菓子を食べるのを
やめられるようになって

まずこの欲はだいぶ前に
消えました。


それから、最近
チョコレートへの欲が
なくなりました。



友人に教えてもらいました。
スナック菓子やチョコレート、
簡単に言えばお砂糖は
中毒になるんだって。


私、完全に中毒だったんだと思う。



それが身体から消えて、
だからと言って調子が
すこぶる良いか、と言えば
そんな自覚はないのだけれど、

健康診断は
持病の部分を除けばオールAで、
朝から嘔吐することも
なくなったし、
肌に限っては
とても調子がいい。


ユーカリ、タイム、ラングワート、
レモンバーム、南天、マロウ、カラミント。
精油はベルガモットとサイプレスで


じゃあ食生活も
普段身に纏うものも
この本のように
気を遣った美しいものか、と言えば
そうではなくて、


例えば洗濯洗剤は
一般的に売られているものの
比較的香りが少なめの
粉洗剤ですし、


食に関しても
自然派の安心なお店でしか
買い物しないんじゃなくて、


ただスナック菓子や
チョコレート量の多いものを
選ばないだけで、

スーパーで普通に
売られている
ナッツ類やお煎餅や
和菓子なんかだったりする。


服も基本的には
化学繊維のものは
避けるけれど、
100%ではありません。


こんな中途半端な私を
強烈に惹きつける、世界観。


モンシロチョウの翅は
レモンの香りって聞いたことない?


「紺色の声」が問う。



最後がニクい。

また新しい薔薇が咲いたよ

これで終わる。


この2人が
離れてしまいそうにも、
また距離を縮めて行きそうにも、取れる。



社会問題の提示はあれど
他の小説とは異なって
様々な香りが、美しい情景が、音が、
その陰鬱さを
曖昧なものにさせている。


私にしては珍しく、
明らかにお勧めの一冊となったのに
泣きながら読むこともなく、

この一貫して美しく
強烈に惹かれる世界に
ただ2人の存在が
際立って見えて、

今後2人はどうなるんだろう、と
クリムゾンスカイの薔薇の描写を
何度も読み返しました。


憧れが分かることは、幸せ。
自分が行きたい道が見えるから。



憧れには一朝一夕には辿り着けない。

この身からスナック菓子や
チョコレートの中毒が
長年かけて少しずつ消えていったように、
数ミリずつ
出来ることから
こんな世界への距離を詰めていきたい。



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