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【読書】足を延ばせば。

「阪急電車」を読んだのは
妊娠中だったかな。


その頃あまり小説を
読まなかったこともあって、
新鮮で感動して
私にしては珍しく
Amazonプライムで
同作の映画まで見ました。


作者は有川 浩、改め
有川 ひろさん。


例えば同じ植物、特にハーブ系の
文章を書くにしても、
私が最近大好きな
千早 茜さんが書くと
とても女性的な文章になります。


ほんの2〜3行読んだだけで
女性が書いた文だと分かる。

↑この続編
 「赤い月の香り」も読んだのですが、
 忙しい時で、また好きすぎて
 心がいっぱいになって
 記事が書けませんでした。



有川さんは女性の文なのか
男性の文なのか
分からないところが面白いです。


平成時代の本だからかな、
「料る」とか「あんた」とか
使う語彙がどことなく
男性っぽい。

最初に出てくる
植物の名前からしてそうです。


素敵な話なのに
入り込ませすぎない
ユーモアがある。

あまりうっとりした描写を
していない。



この本を読みました。

「植物図鑑」 有川 浩 著


トピックが上記の
「透明な夜の香り」に似ているほかにも、

やたら蘊蓄が出て来て
ただの恋愛小説じゃなく
勉強になるところ、

今すぐ野草を摘んで
それを料理したくなるところも
同じなのですが、

かたや
ロマンチックな世界に没入して
抜け出せなくなるのに対し、
こちらは入り込もうとしても
どうも現実世界に
しっかりついた足が上がらないまま
話が進みます。


男性も読みやすい
本なんだろうな。


こんな風に生きていたいよね。

お休みの日に
季節の野草を愛でて、摘んで、食して。


私の家の
向かって右隣さんは
最近引っ越してしまいました。


チビもよく懐いた
優しいおじいさんとおばあさんでした。
音楽がお好きで
私やチビがピアノを弾いていると
よく褒めてくれました。


おそらく年季の入った
お隣さんの家は
解体されて
新しい何かが建つでしょう。


この辺りは
代替わりするたびに
庭や花壇が潰されます。

代わりに土地いっぱい、ギリギリに
アスファルトが塗られて
植栽スペースなど何もない
新しい「箱」が建ちます。



私だって共働きだから
植物の世話がこんな時代に
難しいことはよく分かります。

仕方ない。

だけど、
さみしいよね。

お隣さんの大事にしていた
蜜柑の木も、薔薇も潰されて
代わりにグレーのアスファルトが、
いや、白いコンクリートかな、
とにかく青々と豊かだった緑のスペースを
ぎっちりと占領するのかと思うと。

この辺ではSDGsだか
地球温暖化だか言うことばなんて
まるで誰も知らないように
緑がどんどん少なくなっていて
やるせなくなります。


我が家はそれに
反抗するように
柚子やら薔薇やら
プランターでやら
いろいろ育てていますが、

現代の忙しい生活に
そぐわないから、
居住区域はやむを得ないのかも
しれません。


だけど、
少し足を延ばせば
いつまでもこの本みたいな生活が
ちゃんと出来るような街で
あって欲しいなと思うばかりです。

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