【②お仕事編】ICT立国を目指すアフリカの小さな内陸国「ルワンダ」で2週間すごして気になったことメモ
神戸市が企画した「アフリカ」での起業体験プログラムに参加するため、2020年2月末からルワンダで2週間すごして気になったことのメモの第2弾「お仕事編」です。
なお、同じようにルワンダに訪れた方でも、違う意見を持たれる部分もあると思います。ここに記すのはあくまで私の主観に基づくメモなので、ご参考まで。
▼第1弾の生活編はこちら。▼
ホテルのwifiつながらなさすぎ問題
以前暮らしていたベトナム・ホーチミンでは、ホテルはもちろん、どこのカフェでもレストランでもwifiを使わせてくれるし、遅いときもあるとはいえ、それなりにちゃんとつながるので、現地SIMがなくても、まぁまぁなんとかなる感じでした。
ルワンダも、ICT立国を目指すと言っているし、ネット環境は同じ感じかなーと期待していたのですが、今回宿泊したそれなりのホテルでもwifiがほぼつながりませんでした。現地SIMを購入して、ちょっと高い4GのプランにしてやっとSNSがチェックできるように。
※壁に大きなオカピが描かれている建物が、今回お世話になったオカピホテル。
「ホテルのwifi環境が悪すぎて予定していたskype会議をすべてキャンセルした」と、私が訪問する数ヶ月前にルワンダへ出張された方も言っていたので、私が泊まったホテルだけが悪いわけではなさそうです。
カフェやレストランでwifi貸してくれるところもありましたが、ホーチミンみたいにどこでも必ずwifiあるってほどの感じではなかったので、より快適に過ごすには現地でSIM購入したほうが便利です。
現地スマホや現地SIMについては、プログラムに同行してくださったCNET Japan編集長・藤井涼さんの記事をどうぞ。
月1-2万円のシェアオフィスが入居待ち
そんなwifi環境じゃ、お仕事できないなーと思い、ルワンダ在住の方々に「wifi環境がよくて、いま一番イケてるコワーキングスペースはどこ?」と聞いたところ、複数の方から名前が挙がったのがWesterwelle Startup Haus Kigaliでした。
キガリ中心部にあるこのコワーキングスペースで固定デスクを契約するには、月額1-2万円かかるとのこと。ルワンダの物価を考えるとかなり高額だと思うのですが、大人気で満席となっていて、新規申し込みは断っているそうです。
写真を撮るときは、なるべく人が映らないようにしたので空いてるように見えるかもしれないですが、人は多かったです。
一日だけのドロップイン利用は可能とのことだったので、何時間か滞在してお仕事してみたところ、たしかにwifiは普通にお仕事するのに問題ありませんでした!ストレスなくインターネットにつながれるって、ほんと幸せ…。
人は多くても騒がしくはなく、お仕事がはかどる雰囲気で快適。
ただし、料金は一日1500円。やはり、ちょっと高いかな…。ルワンダでお仕事をするとなったら、いいwifi環境をいかに整えるかが重要になりそう。
人件費の安さを活かせるビジネスの可能性
第1弾のメモでお伝えしたとおり、ルワンダでは大卒でも初任給が100ドルに満たないことが珍しくないとのこと。つまり、人件費が安い。
であれば、その人件費の安さを活かして何かできないだろうか、って考えたくなりませんか。
突然ですが。
アフリカの布が、かわいいらしい。
キミロンコ市場では、たくさんのカラフルな布が売られていました。キテンゲ、とか呼ばれていたりするそうです。アフリカの布。
これらの布でお洋服を作ってくれるのですが、ルワンダ人の方々も、そんな布で作られた服を着こなしていて、かっこいい。
※この方の場合はドレスより頭上が気になってしまいますが...。
だったら、アフリカ布でお洋服や小物を作って、日本で売ったらどうだろう?って考えたくなるところ。
しかし、色々と聞いてみて驚いたのは、実は市場で見かけるアフリカ布はほとんどが中国製!
まさかアフリカの市場に並んでる布が、はるばる中国から運ばれてきてるなんて。驚きました。
実際にAlibabaでちょっと調べてみただけでも、たくさんの中国サプライヤが見つかりました。中国ってすごいですね...。
ちなみにキミロンコ市場では、100%コットンの布が1ヤードあたり約350円。観光客も多く訪れる市場なので、これはおそらく外国人向けの価格かと思います。
一方で、Alibabaに掲載されてる卸売の情報だと、1ヤードあたり100円くらいでしょうか。これもサイトに記載してる価格なので、実際は量とか交渉次第で変わりそう。
とにかく、かなりの量の布が中国からルワンダに入ってきて、その圧倒的な安さに、現地生産者が作った布は、いつからか中国製のものに置き換えられるようになったのかな。
そんな事実を聞いて、アフリカ布で何か作って日本で売るなら、わざわざ遠回りするより中国から日本へ直接仕入れたほうが早いじゃん…と思ってしまいました。
というのも、ルワンダで作ったものを日本で売ろうと思った場合、どうしても問題になってしまうのが物流コスト。遠い上に、さらにルワンダが内陸国なので港がないんです。
一番近い港が、タンザニアのダル・エス・サラーム。その距離は、1400km以上。
なので、物流コストを踏まえると、極限まで原価をおさえつつも、かなり高い付加価値をつけて販売できるものじゃないと厳しそうな感じがしています。
ルワンダにおける、とあるハイブランドの挑戦
おそらく女性なら「ケイト・スペード」というファッションブランドを知らない人はいないのではないかと思います。しかし、ケイト・スペードがルワンダに工場を持っていることはあまり知られていないかもしれません。
私も知らなかったのですが、以下のBBCの記事でどのような活動をしているかを知りました。
途上国で作られたから、ではなく、あくまでデザインに惚れて購入してほしい。そんなバッグを、電気や水の供給さえ安定せず、しかも出荷するには他の輸送手段よりコストのかかる航空便で運ばなければならないルワンダの地方都市で作っているそうです。
2017年に書かれた記事によると、ケイト・スペードの工場で働く職人さんのお給料は、中国(月$700)と比べ、ルワンダでは6分の1程度の平均$113とのこと。
そんなルワンダで作られたバッグがいくらで販売されているかというと、デザインによるものの6万円くらい。(いま私がケイト・スペードのサイトを見てみつけた価格なので、もっと高いのも、もっと安いのもあるかもです。)
例えば私が現地で頑張ったとしても、単価6万円で販売できるバッグを生み出すのは、かなりかなりハードルが高いであろうことは、アパレルビジネスに携わったことのない私にも容易に想像がつきます。
そう、ケイト・スペードくらいの知名度や人気があってこそ、できること。
だよなー、こういうのは高価格で販売できる力をすでに持っている有名デザイナーさんじゃなきゃできないよなー、頑張ってもらいたいなーとBBC記事を読み進めると、最後に現地責任者の方のこの一言が。
(まもなく同じようなプロジェクトを別の国でも立ち上げることについて聞かれたのに対して)
"This time we'll make sure it has access to a port," laughs Ms Beech.
「次は必ず港へのアクセスがあることを確認します(笑)」とのコメント。つまり、ケイト・スペードでさえ、港へのアクセスなきゃやっぱ厳しいわ、ということですよね。
港から離れた内陸国だってことは、モノを動かすビジネスにとっては、かなり厳しい環境のようです。
ルワンダには、たくさんのチャンスがありそう。でも知れば知るほど、そんなに甘い話なんてあるわけがなく、厳しそう。でも、だからこそ何か出来ることがあるはず…!
そんなふうにルワンダでの滞在中は、常にぐるぐる考えていました。
続きます!
追記:アフリカ布を活かしたビジネスを展開されている方もたくさんいらっしゃいます!
私は難しそうだな、と感じましたが、すでにアフリカ布を活かしたビジネスに挑戦されている日本人の方もいらっしゃるので、興味がある方は以下もどうぞ!