やりたいことがない!
ついにチャンスが来ました、積んでいたスキルを使うチャンスが!
趣味がなくて寂しいので、娘が大学のフランス文学科に入ったのをきっかけに、フランス語の勉強を再開したのは一昔前のこと。
朝は登校前の娘と朝食のテーブルで、NHKラジオのフランス語講座を聴いていました。近所の教室でフランス語のグループレッスンも始めて、結果はこちら↓です。クラスメイトとは語学メイトではなく、折々フレンチを食べにいく仲間に……。
渡米直前まで2年ほど続け、NYではDuolingo(語学学習アプリ)もやってたのに……一向に上達はせず、使う機会もありませんでした。
ところが! 昨年末、ついにフランス語を話すチャンスが!
おかげ様で大盛況だったこちらのコンサート↑の終演後、指揮者のグレゴリーに紹介されたスタイリッシュなご夫婦が、なんとフランス人。で、フランス語で話しかけてみたのです。嬉しいことに、ちょっとだけ会話が繋がりました。
その場にはフランス語のわかる人が他にいなかったみたいで、みんなポカンとしてるのがおかしかったです!
「やったね」と言いたいところですが……。ただでさえ「やりたいこと」がない人間なのに、フランス語で会話してみられたために、いよいよ#今年やりたい10のこと がなくなってきた――ということ。
確かに、音楽の仕事関連でやってみたいことなら、ひとつふたつあります。けど、noteお題では「10」。(そんなにいっぱい、どうしたら思いつくのか)
またフランス語を勉強する?といっても、才能ないのは見えているし。じゃあなぜ続けていたのかといえば、食を始め、文化に触れるのが興味深かったからかもしれません。
フランス語教室の先生は、ニコラというイケメンのフランス人。甘い顔だちに似合わず指導は厳しく、返答に間違いがあれば容赦なく直されました。だから、宿題のドリルは毎回必死にやっていったなぁ……。
そのニコラから聞いて一番驚いたのは、フランス人の出世に対する考え方です。「あなたの仕事は何ですか?」の会話を習っているときに、ニコラが困惑の表情で話したことは衝撃的でした。
フランス人は、人を押し除けることになる昇進を「悪いことだと思っている」というのです。すぐには意味が理解できなくて、ニコラの日本語が間違ってるのかと思ったほど。なので、「promotionのことを言ってるんですよね?」と念を押してみたら、「Oui (そう)」だと。(ニコラは英語も話せる)
Z世代が台頭してきた今であれば、すんなり納得できた価値観かも。ですがそれは3.11前の、まだまだ日本経済がマシだった時代。
今現在でも「やりたい10のこと」とは、自分を高めることや生活改善、目標達成などを暗に歓迎するお題なイメージがあります。
私がいるアメリカでも、ノリは同じかそれ以上。アメリカン・ドリームのためには、Set your goal and Go!
例えば、瞑想のマントラでは ”I am doing enough. I have enough. I am enough“(この私でじゅうぶん)と言わせておいて、シメの言葉はやっぱり “Working hard, setting your goals, chasing your dreams”と来た……
とはいえ、流れは少しゆるめに変わってきてはいるよう。ネトフリ・ドラマの”Emily In Paris”を見ても、それは感じます。
シカゴの広告業界でバリバリ働いていたエミリーが、パリの小さな支部に移動に。最初戸惑っていたパリジェンヌ・パリジャンの同僚たちは、インスタのインフルエンサーでもあるエミリーのユニークな発想に触発されて変わっていきます。
エミリーも、ランチ休憩を長く取るなどのフランス流儀に順応。プレゼンもパワーで勝ち取るのではなく、悪知恵と人情で切り抜けるアルセーヌ・ルパン(フランスの探偵小説シリーズ)っぽい価値観に。
いつまでもフランス語が上達しないエミリーには自分が重なるし、ファッションもヘアメイクもいつもキュートで真似したくなります。
パリでのエミリーは、公私ともに相変わらずエネルギッシュ。「やりたいことがない」なんてことはなさそう。
こちら↑は娘と私のお気に入りシャンソン。「働きたくないよぉ〜♪」の歌詞がサイコー。余暇を楽しむために仕事をするフランスでは、やりたいことといえばバカンスの予定とかでいいのかもしれません。
でも私がやりたいのは、向上でもオシャレな余暇でもなく、飽きないように新しいことを試したいだけなのです。それ以外はタラタラと遊んでいたいかな。「やりたいなら何でもいいじゃない」とは思えど、日本語環境ではどうも書きづらく。結局「やりたいことがない!」って心境。
やりたいこと、ありますか?