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ギブミー ハムスター 【短編小説】扉②

キーワードでつないでいく連載短編小説。
小説と小説をつなぐのは何かのキーワードと人物です。
2話目のキーワードは、1話目からクリスマスツリーと部屋。ハムスターを次につなぎます。
主人公 優羽→1話目にも出てきます。
基本1記事読み切りで、次の主人公にバトンを渡していきます。
お楽しみください。

となりの扉②

ぜいたくな悩みだと思うわ。



指にはめた結婚指輪をながめながら、

私ははため息をついた。



友達の茜には少なくとも帰りたい部屋がある。



私は…

部屋をながめて、言葉につまる。



「帰り、たいかな?」



6年前に結婚した。


その半分は残業続きと休日が合わずに、

すれ違いの日々が続いた。


これではいけないと、仕事の調整をして、

彼の仕事に合わせたはずだった。



だった…。


なぜか半年と待たず、彼は転勤となり、

今は年に数回しか会わない。



ライトに照らされて、結婚指輪が青く光る。


贅沢な悩みだと思う。

けど、浮気してるって言われた方が

スッキリするって、たまに考える。







考える時間が欲しい。



ダイニングテーブルにつっぷしたまま

ゆっくりと気持ちをかみしめた。



ブルーのクリスマスツリーどころか

何もいらないかも

この部屋のもの。


たまに思う。

ハムスターでも飼おうかな?って。


なにか生きているものを、この部屋に置きたくて。


でも、向いてないだろうな。

結局、生きてるものの相手とか、向いてないのかも。

うっすらと浮かんでくる涙に、悲しさがこみ上げる。


バカみたい。

ほんと、バカみたい。



「今週末会える?」

ふいに着信したメッセージに戸惑う。

「クリスマス前に旅行行こうか?って言ってたじゃん、その話しようと思って」



そう言ってた。
たぶん人からみれば、すごく優しい旦那さま。


きっと私の考えすぎだって、みんな言う。



「家に帰るのもいいけどさ、この前行きたいって言ってた駅前の喫茶店で待ち合わせしない?」


「うん、そうだね、そうしよう」

迷わず返した返信に、頭の中が少し混乱する。





幸せって、なんなんだろう?



sub title 優羽の幸せな部屋


🔚




前作↑ 優羽もでてます。

mintから一言。

ささいなことがささいなことでつながっていく。
そんな世界観がすき。

つながれるうちはつなげてこうかと思ってる。

あっちからみれば、こっちからみたらってなるから、人間っておもしろい。

続き


優羽 旦那さんのお話

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