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わたしの履歴書(7)私にとっての仕事とは?


会社情報

 業  種:設計監理事務所(歴史的建造物の再建プロジェクト)
 職  種:事務・経理・庶務
 規  模:3名
 在籍期間:6か月(期間限定)

これまでの経緯

 システム開発会社を退職後、ミュージアムのおねえさんを経て、学芸員補助に。非正規かつ期間限定の仕事が続き、阪神淡路大震災で被災し、これではいかん!と一念発起。オーケストラの正社員として広報を担当するも、心身共に参ってしまい、あえなく退職。古巣のミュージアムに運よく出戻れたものの、またもや任期の壁により終了。そして無職に。
 
 私の仕事人生、一筋縄ではいきません。 

すっかりモラトリアム

 「モラトリアム」それは「猶予期間」。そう言えば聞こえはいいけれど、平たく言えば「家事手伝い」。実家暮らしだからこそ、そんな優雅なことができたわけで、ありがたい限りです。無職であることに大した切迫感もなく、母の買物に付き合ったりしつつ、呑気に過ごしていました。
 
 3か月ほどそんな時を過ごしていたでしょうか。就職活動もしていたはずなのですが、あまり記憶がありません。職歴を振り返ってみると、自分から獲りに行った仕事はうまくいかず、人から紹介された仕事の方が身に合っているように思え、完全に待ちの態勢になっておりました。
 
 仕事に熱中するでもなく、結婚するわけでもなく、大人になりきれない。しかも自分から動かない。まさに「モラトリアム」です。

待てば海路の日和あり

 そんな時、旧知のミュージアム関係者から、急ぎ人を探している。任期は半年だがどうか?と声をかけられました。やはり待ってみるものです。

 阪神淡路大震災では多くの歴史的建造物が倒壊しましたが、そのひとつが巨額の予算を得て再建中と聞いていました。その設計監理事務所の事務担当者が産休を取るため、交替要員が必要とのことなのです。またも非正規、期間限定の仕事ですし、特に事務職希望ではなかったのですが、すこしでも関心のあることに関わることができればいいか、これで首もつながることだしと思い、引き受けることにしました。

 再び公の仕事です。民の仕事が、どんどん稼ぐぞ!という攻めの仕事であるならば、公の仕事は、予算内でどうやりくりするかという守りの仕事。どちらも経験した結果、公の方が合っているということは、薄々分かってきていました。 

さまざまな出会い

 事務所メンバーは3人。男性所長と女性建築士と私です。仕事内容は事務全般。庶務から経理から雑用から、何から何まで。現場写真の現像に写真屋さんへ行ったり、報告書の原稿を整えたり、専門家の先生方が集まる会議の準備をしたり。現場に隣接する事務所から、建物が完成に近づいてゆく様子を垣間見るのも一興でした。

 設計監理事務所の隣には、建設を請け負う大手ゼネコンが建築事務所を構え、建物を所有する老舗企業の本社も傍らにありました。大企業の方々と久しぶりにお付き合いをすることになったわけですが、どことなく鷹揚で余裕を感じるというか、品があるというか。新卒で入社した会社に出向してきた、財閥系社員の面々が懐かしくなりました。
 
 同じ会社の人はタイプが似てくるのか、そもそも似たタイプを採用するのか、どちらが先か分かりませんが、業界の傾向や会社の規模に基づく社員の特色というものは確実に存在します。それがカラーというものなのでしょう。
 
 忘年会に参加したときのこと。大手ゼネコンの部長が、宴会芸として小唄を披露されたのには驚きました。大手ゼネコンの社員ともなれば、こういう「粋」な芸が求められるのかと。出席される宴会の場や雰囲気が想像されます。今は昔。いい時代です。 

プロジェクト終了

 さあ、竣工式は無事に終わりました。プロジェクトは終了、私は無職。
 私の仕事人生も、線ではなく点、プロジェクトの連続のようなものではないかと思えてきました。

 一つの仕事を終えてからでないと、次の仕事を考えたり探したりできないという、いつものパターンです。仕事と就職活動を同時進行する器用さが、いつになっても身につきません。でもそれは、その時取り組んでいる仕事に対し、どうしても手が抜けず、他に目をやることができないため。
 これは性格だから仕方がないと、今ではあきらおりますが。

 思えば私は、仕事そのものにダイレクトに楽しみを見い出すというよりも、仕事の周辺で起こる出来事や出会う人を観察し、何かを考えたり分析したりすることに、どうも喜びを感じるようです。
 私にとって仕事とは、自分を知る手段なのかもしれません。

 私の仕事人生、まだまだ続きます。

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みのむし庵主の1K日記
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