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わたしの履歴書(12)経験を重ねることで強くなる


会社情報

 業  種:イベント
 職  種:パビリオンの運営ディレクター
 規  模:約30名
 在籍期間:1年(契約社員) 

これまでの経緯

 新卒でシステム開発会社に入社したものの、システムというものが理解できず2年で退職。その後は美術・音楽・建築といった芸術系の仕事に携わりましたが、非正規の期間限定だったり、正社員で採用されても心身の調子を崩したり。

 その後、カード会社のコールセンターでオペレーターをするも、思い立って行政書士の勉強を始め、合格を目指し退職。試験に合格したものの、実務に携わってみると想像とは大きく異なり、行政書士にはなりませんでした。

 うつうつと過ごしていたところ、銀行の社内システム開発会社で事務をすることに。収入も安定しついに実家の出て一人暮らし。そんな矢先、親会社の銀行に公的資金が投入され、派遣切りに遭いました。

 一人暮らしが続けられる仕事をせねばと探した結果、予期せずイベント運営ディレクターに。未経験の職種で、管理職も初めてです。浜松にも居を構え、半年間のイベント期間、パビリオンの運営に奔走した結果は大成功。私ってサブよりトップに立つタイプかもと、自信をつけたのでありました。

浜松から可児へ

 浜松での充実したイベント仕事を終え、そのまま万博(愛・地球博)の運営ディレクターを勤める予定でしたが、諸事情あって岐阜県可児市で仕事をすることになりました。バラをテーマにした公園で開催される、緑化イベントのパビリオン運営ディレクター。今度は地元と岐阜の2拠点生活です。

 パビリオンはバラの歴史などをテーマにし、元々公園に常設されていたもので、イベント開催期は特別な展示や催しが行われることになっていました。そのパビリオンで元々働いていたスタッフと、今回のイベントのために雇用されたスタッフを管理し、運営一切を取り仕切ります。

 展示物の管理、パビリオンの運営、スタッフ約30人の業務管理、主催者とのやり取り、VIPやマスコミや傷病者の対応、という業務は浜松のイベントと同じです。ただ今回は会場運営にも携わっていたため、パビリオンの中だけでなく、会場内で事件が起これば飛んでいかねばなりません。無線を4台扱うこともありましたが、刑事やボディーガードのドラマみたいと、自分にちょっとばかり酔いました、うふふ。 

ディレクターも2度目なら

 今回はもう、立派な経験者。気持ちに余裕がありました。浜松のイベントに比べると小規模ですが、会場運営を担当する10人ほどのディレクター軍団に加わり、パビリオンだけでなく会場全体の運営にも携わります。

 ディレクターも2度目なら、イベント内容は違えども、臨機応変に応用が効くようになります。宮様の御成りの当日になって、打合せとまったく異なる対応を求められ困惑したこともありますが、混乱もなく滞りなくご視察いただくことができ、また一つ自信を持ちました。

さらに新たな自分を知る

 このパビリオンは入場ゲートを入ったすぐの、お客様がまず立ち寄る場所にありました。そのため休日は長蛇の列。この適切な対応が課題です。スタッフはイベント仕事の経験はない、地元の老若男女。開幕当初はクレームが入るとすぐに無線で泣きつかれたというのに、日々鍛えられ成長を重ね、きちんとした対応でお客様を納得させることができるようになった姿を見て、何度も胸が熱くなりました。人の成長する姿を見るのは、本当にうれしいもの。ディレクターという仕事の醍醐味だと思います。 

 パビリオン近くで急病人や迷子が出れば走り、無線で連絡を取り合い、適切な処置をする。会期が進むにつれ、ディレクター軍団との連携も板につき、チームで一つの仕事をすることのおもしろさを満喫できたことも、ありがたいことでした。 

 イベントの現場では、日々何が起こるか分かりません。ある程度のことは想定して備えていますが、想定のはるか上を行くことが発生します。私は想定外のことが起こると、パニックになる性質だと思い込んでいましたが、この場をなんとか収めなくてはと思うと、頭に上っていた血がすーっと下がり、冷静に対応できるようになっていました。経験を重ねたことで強くなれた、ということなのかもしれません。

La vie en rose

 この公園では至るところでバラが育てられ、様々な色や形のバラが咲き乱れます。バラは開花の朝に強い香りを放つと聞き、開場前の早い時間によくバラ園に駆け付けました。色とりどりのバラの中に佇むと、かぐわしい香りに包みこまれるという、なかなか味わうことのできない、贅沢な経験をさせてもらったものでした。

 人の成長を見守る喜びを味わい、チームを組んで仕事をするおもしろさを知り、自分の新たな能力に気付くことのできた、まさに「バラ色の日々」でした。

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