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登ったから学べたこと~日吉大社 八王子山~

 再び日吉大社へ行ってきました。もうすっかりおなじみの坂本の町。落ち着いていて、出会う人がみな穏やかで、ほんとうにいいところです。日吉大社という大いなる神様に守られているからかもしれません。

 日吉大社と私のご縁については、ぜひこちらをお読みください。

 さて今回は、日吉大社の奥宮のある八王子山へ登ってみました。
 私は登山がとても苦手。だって登ったら、下りなきゃいけないんですもん・・・。登るつもりはなかったものの、西本宮と東本宮にお参りし、清々しい木立の中を歩いていると、せっかくの機会だから登ってみようと一念発起。

 登山装備ではなかったため心配で、「こんな格好で登れるでしょうか?」と巫女さんに尋ねたところ、「スニーカーなら大丈夫ですよ。」とのお言葉。ただし、下り道で石につまづかないようにとのこと。ま、なんとかなるでしょと、足を踏み入れたのでありました。

 いざ、神様の元へ参らん。
 しかし山道に入るまでの階段の段差がかなり大きくて、「むむむ、これは大丈夫か?」といきなり心配に。想像していたより厳しい勾配。登ることはできても、果たして無事に下りられるのかと、少々不安になりました。でもここまで来て、引き返すわけにはいきません。標高およそ380m、往復でほぼ1時間とのことですが、ご神水で喉を潤しつつ、転ばないようゆっくりゆっくり歩を進めます。

こんな山道が続きます

 そしてついに、山頂に到着!
 中央に磐座である金大厳が鎮座され、その両脇の崖に牛尾宮と三宮宮の神殿が。ああ、なんと神々しいこと。残念ながら牛尾宮と三宮宮には入ることができませんが、ただそこにいるだけで、畏れ多くもご神山の気に包まれている気がします。

眼下に小さく鳥居が見えます

 ヒーヒー言いながら登ってきた身としては、よくこんな山の崖に社殿を建てることができたものだと、ただただ感心するばかり。また山王祭では、御神輿をここまで担ぎ上げ、担ぎ下ろすのは夜だそう。あの急な山道を!夜に!しかも御神輿担いで!と、想像するだけでクラクラします。山王祭の動画を見ていると、山道を駆け上がる氏子の方々の姿に鳥肌が立ちました。御祭神の大山咋神様は山の神様だもんなぁ。まさに山の王、山王だわと、あらためて恐れ入りました。

 そういえば松尾大社も磐座のお祀りが起源で、本殿の背後には松尾山の岩が控え、日吉大社と情景が似ています。御祭神は同じく大山咋神様ですし、やはり通じるものがあるのでしょう。

 磐座や神殿は畏れ多くて、撮影は憚られましたが、振り向けば琵琶湖の絶景が。
 こんなところまで登ってきたぞー!

絶景かな、絶景かな

 行きは良い良い、帰りは恐い・・・って、行きも十分恐かったんですけど、帰りはさらに恐かった。気を抜けばゴロゴロ転がる石に足を取られてひっくり返り、ズリズリ滑り落ちてしまいそう。慎重に、慎重に、余計なことは考えず、集中、集中と言い聞かせつつ下っていると、行きは誰にも会わなかったのに、数人の方に出会いました。みなさん一様に「この坂、まだ続きます?」「あと何分ぐらい登ります?」と聞いてこられるのですが、「まだまだ続きますよ。なかなかキツいですよ。」とも言えず、「山頂からの琵琶湖の眺めが最高ですよ!気を付けて登ってくださいね。」と励ますことしかできません。

一歩ずつ慎重に
紅葉で疲れを癒します

 この山道を登り下りできるのは、今の年齢が限界と思い知りました。八王子山に登るのはおそらくこれが最後でしょう。でも今日のこの日、登ることができて本当によかった。

 目指すところにたどりつくには、一歩ずつでも確実に歩を進めなければならない。そして山に登れば、下りなくてはならない。そう、自分で始めたことには、自分で決着をつけなければならない。

 八王子山の厳かな気とともに、今の自分に必要なメッセージをいただけた一日でした。

追記
 2日前にこの山道で倒れて亡くなっていた方がおられた、という記事を見つけて愕然。頭に傷を負われていたそうで、転倒されたのでしょうか・・・。
 ご冥福をお祈りいたします。合掌。

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