『星の王子さま』が教えてくれる、世界がちょっとだけ輝く秘密。
この物語は、ある1枚の絵から始まります。それはちょっとつばが長い、帽子のような絵。
皆さんは、何の絵に見えますか?
王子さまが教えてくれる、たいせつなこと。
世界中から愛されるフランスの名作、『星の王子さま』。日本でも絵本や映画になったことで話題になりました。
絵本のようなタイトルと、ファンタジーなストーリー。登場人物の愛らしいキャラクターに、心をくすぐる可愛らしい挿絵。
一見子供向けの本のように見えますが、実は「大人のための童話」と題されるほど、多くの大人たちを魅了しています。
私もこの本に出会ったのは子どもの頃ですが、大人になってから何度も読み返し、その度に胸を打たれています。
なぜこの本は、それほど多くの大人を魅了するのでしょうか。
物語の中で王子さまは、大人になった私たちが忘れてしまった世界の見方を教えてくれます。
読み終えた後はまるで童心に帰ったような気持ちになり、世界がちょっとだけいつもと違って見えるのです。
私たちは、気づいたら「大人」になっていた。
王子さまはとても小さな星に住んでいて、ある日星を出て地球にやってきました。
そこで出会ったひとりのパイロットに、地球に到着するまでの星々を巡る、冒険のお話を聞かせてくれます。
地球にくる途中、王子さまは色々な大人に出会ったと言います。
しかし、王子さまは出会った大人たちのことを皆「変」だと言うのです。
なぜ王子さまは、大人のことを変だと言ったのでしょうか。
王子さまが出会った大人たちは皆、自分のことばかりに夢中になり、周りが見えなくなっていたのです。
そして数字や権力といったどうでもいいものと、本当に大切な愛や絆といったものとを、ごちゃ混ぜにしてしまっていたのです。
その話を聞いたパイロットは、ハッとします。
王子さまの話す「変な大人」と自分を重ねて、いつの間にか自分も、そんな大人のひとりになってしまっていたことに気づくのです。
そして私たちもまた、物語を読みながら同時に、大人になってしまったことに気付かされるのです。
「子ども」と「大人」の違い。
皆さんは、子どもと大人の違いとは、何だと思いますか?
なんだか急に大きなテーマになってしまいましたが、この本ではキャッチーな物語を通して、まさにそのような深い問いを投げかけている気がします。
解釈はさまざまだと思いますが、私はこの本では「物事をどう見るかの違い」が挙げられているのではないかと思います。
大人になるとつい、数字や事実など、目に見える情報ばかりで物事を判断してしまいがち。
例えば人と初めて会ったとき、「年齢」や「勤めている会社」などの外側の情報で、その人がどんな人かを判断してしまう…なんてことはないでしょうか。
しかし、子どもの頃を思い出してみてください。
例えば友達や幼馴染に対して、「好きなものは何か」や「どんなことをしたら喜ぶか」など、目に見えないその人の内側を見ようとしていませんでしたか?
つまり、子どもの頃は「心の目」で、目に見えないたいせつなことを見ようとしていたのです。
冒頭の、帽子のような絵を思い出してみてください。
皆さんは、下の絵のように「蛇の中にいるゾウ」を想像できましたか…?
私たちが今も子どもであったなら、もしかしたら想像できていたかもしれません。
パイロットも、私たちも。誰もがみんな、昔は子どもでした。
王子さまは、私たちがいつの間にか忘れていた子どもの頃の心の目を、そして目に見えないことを見ることの大切さを、冒険の話を通して教えてくれるのです。
そんな心の目を取り戻す事ができたら、いつもの世界もちょっとだけ輝いて見える気がしませんか?
明日から、世界がちょっとだけ輝いて見えるような一冊。
物語のエンディングに、私が好きな一節があります。
王子さまが星に帰ってしまったあと、パイロットが星空を見上げながら王子さまのことを想うシーンです。
大人になってしまった私たちは、毎日を自分の力で生きるのに精一杯。
日々を過ごしていると、楽しいことばかりではなく、もちろん辛いことや、悲しいこと、悔しいこともたくさんありますよね。
毎日同じことの繰り返しだったり、時には「嫌だな、やりたくないな」と思うこともあったり。
そんなときこそ、王子さまが教えてくれた、今までと違った視点で物事を見てみるのはどうでしょうか。
同じことの繰り返しは「毎日続けられてえらい!」、嫌なことは「むしろ楽しんじゃおう!」と。
そうすると、ちょっとだけ毎日が楽しくなる気がしませんか?
『星の王子さま』は、「いつもの世界をちょっと違った角度で見ることで、物事はまったく違って見える」という大切なことを、私たちに教えてくれるのです。
明日から、世界がちょっとだけ輝いて見える。そんな素敵な1冊を、ぜひ手に取ってみてください。
k u r u m i
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