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【感想文】動物農場

もう何年も、ずっと自分のそばにある本だ。
不朽の名作という言葉がよく似合う、きっとこれから先もずっと語り継がれていく作品だろう。今までこの本を知ってる人にあまり出会った事はないが、知ってる人のほとんどはこの作品に対して特別な印象を抱いている気がする。

幾度となく読んでいるが、ここ数年は読んでなかった。もう正直、読まなくても大体のストーリーは覚えているし、結末も分かりきっているのでわざわざ読み返そうという気持ちにはあまりならなかった。

だが、羊飼いの仕事が決まり、本の選別を始めた時、この本は必ず持っていこうと思った。牧場で勤務して新しい経験を積む中で、読むこの本はきっと今までと違う意味を教えてくれそうな気がしたから。

案の定、その予感は的中した。

久しぶりに読み返すと、なんて面白い小説なんだ。僅か150ページほどのボリュームだが、やはり物凄い読み応えがある。そして何より、羊飼いという職業を選んだ自分にとって、この本の中で繰り広げられる様々な騒動は、今自分が目にしている情景と色々重なる部分も多々あり、昔読んだ時に感じることのなかったハラハラ感を強く感じることができた。

この小説のストーリーはものすごくシンプルだ。舞台は牧場で、人間の仕打ちに耐えれなくなった家畜たちが反乱を起こし牧場を乗っ取る。人間がいなくなった後、家畜たちで牧場を切り盛りし繁栄していく様を描いている。

これだけ聞くとまるでおとぎ話のようだろう。そう、この本の情景の描写は紛れもなく「おとぎ話」なのだ。その空気感こそが、この本の最大にして凶悪な魔力でもある。

・支配
・独裁
・権力

一見、おとぎ話に似つかわしくないこの三つのキーワードがこの作品の中でとても重大なテーマになっている。

あれやこれやを考察し詳しく解説するには、既に多くの書評の中で語り尽くされている作品の為、僕が多くを語るつもりはない。だが、間違いなくこの本は僕自身に大きな影響を与えていて、多くの事を考えるキッカケを与えてくれている。

全ての動物は平等だが、一部の動物は更に平等である。

さぁ、もし読んだことがないなら、ぜひ手に取ってみて読んでみて。不安定な情勢が続く今だからこそ、多くの人に触れてもらいたい作品だ。

漫画もオススメ。小説と若干違う箇所はあるがほぼ同じ内容。

どう足掻いても、歴史はきっと繰り返される。歴史のスパイラルから抜け出すためには、大衆の意識統一という名のマインドコントロールがいちばん近道なのだろうが、そうすると1984年の世界にきっとなる。我々人類はもう、破滅の未来から抜け出せないのかもしれない。

せめて、自身の豊かさを守る為にも、欲望の渦にハマらないよう気をつけて生きていきたい。久々に読んでそれを凄く強く思ったんだよ。

このノートは一人前の羊飼いを目指す見習いの日記。

よく本を読んで過ごしてるので、ちょくちょく感想文があがります。

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それでは今日も良い1日を。めぇ。

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