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初めてのインバスケットグループ討議


こちらでは初めてご紹介するキーワードかと思います。

昇進昇格アセスメントではお馴染みの演習(ケーススタディ)ですが、評価の現場ではあまり重要視されてこなかった経緯があります。

内容は演習の名前がそのままに表していますが、インバスケット演習やインバスケット方針立案演習を終え、受講者の方それぞれが自身で作成した案件処理、方針立案をテーマにグループ討議を進めるといったものです。

2日間の日程であれば通常、2日目の午前に設定される演習で、1日間の日程であれば通常のグループディスカッションの代わりに設定されることになります。

コンサルティングファームによって様々な位置づけがあり、「グループディスカッションは対人のコンピテンシーを中心に観察・評価すべきであり、インバスケット演習など思考の良し悪しによってアウトプット(演習行動)が左右されるグループディスカッションはいかがなものか」と考えるコンサルティングファームは、このインバスケットグループ討議を補完的なものとします。

一方、オンラインでの昇進昇格アセスメントが主流となり、カリキュラムの自由度が高まる環境下、大手コンサルティングファームでは、インバスケット方針立案をテーマにインバスケットグループ討議を実施する場面が増しているようです。

私たちアセッサーにとって、「思考・対人・資質」の各領域を同時に観察、評価できるインバスケットグループ討議は、受講者の方のレベル決定、プロフィール把握に有益である一方、受講者の方の動きは比較的、自由度が高く、場面展開の予測も困難で、言動の担保も難しいといった側面もあり、現状、主力の演習(グループディスカッション、部下面談演習、インバスケット演習、方針立案演習)の補完といった位置に落ち着いています。

ただし、主力の演習で明らかにした受講者の方のレベル感、プロフィールから大きく乖離することはなく、この演習の中での受講者の方の演習行動は、想定の範囲内に落ち着くことがほとんどなので、補完の位置づけで問題ないと考えています。

また、4人~7人程度でグループを組んで進められる討議の中での結論、つまり、インバスケット演習のある案件についてのベストアンサーであるはずのものは、4人~7人の案件処理の内容をただ丸めたものとなることがほとんどで、「主力の演習のマイナスの補完」にしかなっていないといった現実もあります。

すると、このインバスケットグループ討議で輝かしい活躍、キラキラする最終結論を導くことによって、「主力の演習のマイナスをプラスに補完する」といったことが可能になるのかもしれません。

では、輝かしい活躍、キラキラした結論を導くためには何が必要でしょうか?

当然、個人で取り組むインバスケット演習や方針立案演習で、確かな結論を導くことが必要であり、インバスケットグループ討議では、確かな結論を他の受講者の方に納得してもらうことがポイントとなります…。

あまり参考にならないアドバイスでしょうか…。

ただし、これまで数多くのインバスケットグループ討議を観察してきた中で間違いなく言えることですが、「グループの結論がしょうもないものになる原因」は既に明らかになっています。

「受講者同士の足の引っ張り合い」

斬新なアイデア、鋭い着眼、深い分析、緻密な論理、これらをもとにしたAさんの見解が出てくると、負けず嫌いのBさん、何とかして昇進昇格アセスメントで合格したいCさん、何となくデキる人に反発したくなるⅮさん、この3名、口を揃えて…。

「そこまで考える必要ないんじゃないかなー」

つまり、インバスケット演習は仮の状況設定ですから、「そこまで考えなくても」と言われると、「どこまで考えるべき」が明確になっていない以上、まともな議論にはなりません。言われた側は「あー、そうかもね」と不貞腐れるしか…。

このように、「そこまで考える必要ないんじゃないかなー」と言われたとき、言われた側の受講者の方が、もう少し頑張ればベストアンサーに付近するのにと地団駄踏んだことは数知れずでした。

ということで、「そこまで考える必要ないんじゃないかなー」と言いたくなった受講者の方は、その後、黙っておいたほうがグループとしての結論は高まります(本人の評価はどうなるか疑問ですが…)。

反対に「そこまで考える必要ないんじゃないかなー」と言われた受講者の方は、最後まで食い下がり、グループとしての結論をより確かなものにしてください。

ただ、「そこまで考える必要ないんじゃないかなー」と言われたとき、言った他の受講者の方の表情、そして周りの全体の雰囲気、ここには細心の注意を払ってくださいね。

「そこまで考える必要ないんじゃないかなー」

実は「ゴメン、何を言っているのか全く理解できない」かもしれませんね!

ということで、本日の記事はここまでとなります。またまた狭いニーズに対応する記事でしたが、お付き合いいただきありがとうございました。今後もよろしくお願いします。

あ、前回の「インバスケットに正解はあるのか?」の中でご紹介したインバスケットの案件の例題、その案件のベストアンサーとか相対的にダメな解答は、もう暫くお待ちくださいませ。

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