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稲垣えみ子、大原扁理共著『シン・ファイヤー』を読んでの感想。

稲垣えみ子さん、大原扁理さん共著の『シンファイヤー』という本を読みました。
はやりの「FIRE(経済的に自立して早期にリタイアするの訳)」について彼ら二人の独自の切り口で話された本なのですが、そのメインの話ではなく、大原さんが自分の父の介護について話されていた箇所から得た気づきについて、今日はお話したいと思います。

身体が寝たきりになる前に、心が寝たきりになる人

『シン・ファイヤー』で大原さんは、自分の父親の介護をしている中で、こんなことを思ったそうだ。

親本人の意志があれば、そのためにこっちも頑張って介護しようって思うんですけど、本人にやりたいことが何もない。(中略)「この介護、何のためにやってるんだろう?」って思っちゃう自分がいるんですよね。身体の介護は出来ますけど、心の介護は出来ない。(中略)身体が寝たきりになる人って、身体が寝たきりになる前に心が寝たきりなんだな~って

『シン・ファイヤー』

この話に対して、稲垣さんは、

寝たきりになってもハッピーでいることって究極の目標じゃないですか。
身体がどうなっても「心の介護」は全然必要ない状態を、自分で保てる人間になること。
お金とか会社とかに頼らずに自分で自分をハッピーにできる方法を積み重ねていく(中略)寝たきりでも毎日超ワクワクしていられたら、それは最終的な人生の勝者!

『シン・ファイヤー』


「身体が寝たきりの前に心が寝たきり」とは、大原さんらしい細やかな表現だなあと思いましたね。
大原さんや稲垣さんは、一般的な社会生活を送る日本人からしたら、おそろしく「消費」が少なく、消費が少ないのに、自分の心を喜ばせる手段を人一倍持っている「達人」「仙人」のような人たちだ。
でも、彼らですら、親は「心の介護」が必要な状態だというわけだから、切ないなあ、と他人の私ですら思ってしまう。

お金があってもなくても、自分の心を自分で満たせる方法を持つことの大切さ

高齢者に日々接している私も、老後一番大切なことは、自分の内面を満たす手段を持っていることだ、という話を以前noteでしました。

稲垣さん、大原さん、お二人とも、会社に縛られず自由に生きるために、「経済的な」自立、お金の心配というとことに重きをおかず、それよりももっと大切なことは、「自分の内面が自立できているのか、自由になっているのか」、お金や他人に頼らず、自分で自分を満たしてあげることができるのか、ということをこの本を通じて問いかけてくれているのだと思う。

それは、これから「FIRE」を目指す若者に向けた問いでありながらも、若者だけに向けられた話ではない。
大原さんが親の介護をしながら感じていたように、人生100年時代の老後、身体の自由がきかなくなるときにこそ、お金があっても、他人に頼っても、解決できないことが、内面の世界の充実、自分の心を何で満たすことができるのか?という問いなのだと思う。

お金にも物にも他人にも頼らず暮らす中で見つけることができたこと

稲垣さんは家電製品をまったく使わない、という生活をする中で日々の暮らしの小さな喜びを見出していく過程をご自分の出版された本の中で紹介している。
大原さんも、週休5日、月7万円の収入で「20代で隠居」などの生活をしたりしながら、人間関係や嫌な仕事をばっさり切り捨てていき、平穏な生活の中で充実した毎日を著書の中で紹介している。

子育て中で家族のいる私にはここまではマネできない、と思いつつも、私は彼らの考え方や方向性、暮らしぶりが本当にすきで、なんとか少しでもマネできないかな、とときどき妄想したり、いつか一人暮らしとか夫婦二人暮らしになったらこうしたいな、などと考えたりするのがすきだ。

暮らしを小さくして自分にとって必要なもの、コトを選別していく

物はわりと少ない方ではあると思うけれど、もちろんまだまだ多いし、断捨離できそうなものは私もたくさんある。
夏休みで旅行を終えたばかりなのも影響してか、旅感覚で、もっとフットワーク軽く、旅先でもいろいろなシーンで使いやすい服にしようかな、とか、一つ一つのアイテムを軽さで選ぼうかな、とか、家の中でもトランク一つに自分の持ち物をまとめてみようかな、とか、考えているところである。

モノをできるだけ減らして、身の回りをコンパクトにしていきたいなとも思うし、生活コストを下げる方法をもっと真剣に考えようかなと思ったり。

私が彼らと違う点は、やはり子育て中だということ。自分のことだけなら私はもともと欲がなく、質素なことが好きなのだけれど、今は収入の多くを子どものことに費やしている状態。
でも、ここにももう少し切り込んでいかなくては、本当の意味で「暮らしを小さくする」ということは達成できないと思う。

完璧にはムリでも、今のコストを半分にする努力を、積み重ねていこうかなと思っている。


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