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新型コロナウィルス感染症の状況の変化に伴うECでのマスク市場の変化
皆さんこんにちは。データストラテジストの山田です。
2020年以来、我々の生活に大きな影響を及ぼしてきた、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)ですが、2023年3月にマスク着用が個人の判断に委ねられるようになり、2023年5月には5類感染症への引き下げがなされました。今夏も各種夏祭りや花火大会などが開催され、「通常通り」の生活に戻ってきたのかなというのを実感しながら生活された方も多いのではないでしょうか。その中でも変化のあったのがマスクの着用状況と言えるでしょう。筆者は都内在住ですが、都内の電車内などを見てもマスク着用者の方が明らかに少数派になっているという感覚があります。実際に直近の調査でも、「常にマスクを着用している方」は、全体の3割程度であることが分かっております。
一方で、コロナ禍に実施された、「アフターコロナでマスクを着用したいか」の調査では、7割強の方々がマスク着用を続けたいと回答していることから、マスク着用に関する消費者心理はコロナ禍、コロナ後で変化があるのではないかと考えられます。
そこで本note記事では、定量的にECモール上でのマスク購買状況を見ることで、消費者心理の変化に迫っていきます。
分析要件
利用データ
ソース:Mineds for EC Data
期間:4年間(2019年9月~2023年8月)
サイト:2サイト(楽天市場、Yahoo!ショッピング※PayPayモール含む)
指標①:月別での全体売上対比マスクの売上金額割合、全体購入人数対比マスクの購入人数割合、全体購入件数対比マスクの件数割合
指標②:指標①のマスク任意化の直前(2023年2月)との対比での変化割合
本分析では、2019年から2022年にかけてEC市場規模が大きくなっていること(約1.3倍ほどの成長)に着目し、純粋な金額、人数、件数の比較ではなく、全体の売上に対するマスク売上の割合を指標として採用しております。
また、マスク着用が任意になったことでの影響を図るため、EC全体に占める割合の変化を、マスク任意化直前の2023年2月と比較し可視化します。
検証①:コロナ前後でのEC購買に占めるマスク割合変化から概況を把握したい
弊社保有のECモール上のデータを月別に集計し、「EC全体での売上」に占める「マスクカテゴリ」の売上の件数占有率、人数占有率、金額占有率の推移を可視化しました(図1)。どの結果を見てもコロナ本格化に伴い、マスク市場が大きく伸びていること、並びに、コロナ終息に伴い、マスク市場は2023年2月をピークにして大きく縮小しているのが分かります。日常生活での肌感覚や日々のニュースなどでの情報と、購買実績に大きな乖離がないことが確認できました。
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次に示す図(図2)は、2023年2月の占有率を100とした際の2023年8月までの占有率の推移のグラフです。ここで注目したいのは、件数や人数対比で見た時よりも、金額対比で見た時の方が市場が縮小している点です。
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この結果は、以下の図3に示す結果から考えて、マスクの着用の任意化によりマスクのまとめ買い需要の低下から、1購買あたりの単価が低下していることが原因といえるでしょう。
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ここまでをまとめると、市場概況としては
コロナ終息により大きく縮小
まとめ買い需要の低下から、購入1回あたりの購入金額が低下し、購入人数や購入件数に比べて、金額が大きく低下している
と言えます。
検証②:性別毎に見た時の占有率変化推移から見る、性別による購買傾向
検証①と同じ手法で性別を集計軸に加えて集計を実施しました(図4)。全体を通して、コロナ初期は男女ともに同じ傾向で占有率が上がっているのに対して、徐々に女性の方が占有率が高くなっていく傾向が認められます。件数、人数に関しては2023年3月を境に急激にその差が縮小していきます。件数、金額の占有率は、男性が3分の1程度まで縮小するのに対し、女性は3分の2程度を維持しています。男性と女性でコロナ終息を受けた後のマスク購買状況の変化が認められます。
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検証③:年代毎に見た時の占有率変化推移から見る、年代による購買傾向
同様に年代を集計軸に加えて集計を実施しました(図5)。全体を通して、コロナ初期からコロナ終息までの占有率の変化には年代による差は小さいと言えます。2023年3月以降もその傾向は変わらず、基本的には年代におけるマスク購買の占有率傾向には差がないことが分かります。
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検証④:地域毎に見た時の占有率変化推移から見る、地域による購買傾向
同様に地域を集計軸に加えて集計を実施しました(図6)。全体を通して、コロナ初期からコロナ終息までの占有率の変化には地域による差は小さいと言えます。2023年3月以降もその傾向は変わらず、基本的には地域におけるマスク購買の占有率傾向には差がないことが分かります。
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まとめ
これらの結果から、マスク購買状況はコロナ前よりは大きく市場を伸ばしているものの、コロナ禍と比較して、大きく縮小していることが分かります。また、検証①で見た市場概況と、年代別、地域別では大きな差はなく、「性別」で見た時の差が大きいと言えます。こちらの調査などでも調べられているように、周囲の視線を気にする傾向が男女で変わることに起因していると思われます。購入商品傾向には男女差が薄いものの、コロナ中期以降の男女での占有率の差異やコロナ後の金額ベースでの男女差を見ると、女性の方には「政府発表で必須だから」という理由以外にマスクに求める要素が大きいと推測されます。
現状でいえることはマスク会社各社は「男性」より「女性」に焦点を当てて商品開発やマーケティング活動を実施した方が反応率が良いという傾向値が伺えます。
具体的に「女性」向けにどういう商品やマーケティング活動が効果的なのか?については残念ながら、オンライン購入商品傾向からだけでは「オフライン購買で購入している可能性」や「購買商品の選定理由の定性面」が不明瞭のため、より深掘りした内容を出すには少し情報が不足している状態です。
そこで、弊社が保有している別サービスでのアンケート配信/インタビュー調査を実施することで、より「マスク市場」の変化を鮮明に捉えるようにしていきます。具体的には、「女性」で「コロナ後も継続的にマスクを購買している」ユーザーに対して、インタビューを実施することで、マスク市場への深掘りを実施した上で、別記事としてご報告いたします。
最後に
マインディアでは、ユーザを軸としてオンラインアクションデータを蓄積、分析可能なサービスを提供しています。これによってユーザ単位の購買全体からインサイトを得ることができます。サービスにご関心をもっていただけた方は、ぜひ一度こちらからお問い合わせください!
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