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すべてのカタ子たちへ

テレ東で「やわ男とカタ子」のドラマが始まった。

実はこのドラマの原作の漫画が好きで読んでいた。

女性としての自信がまったくなくて卑屈で恋愛偏差値が低すぎるカタ子こと藤子に共感しまくって藤子を見ていると20代〜30代の自分の黒歴史を見るようで辛くもなる。「私もやってた! 周りの男性からブサイクキャラみたいな扱いされるから、それがウケるのか? と思って自ら自虐ネタをかまして引かせてた!」と見てて落ち込んだりもする。そこも含めてめちゃくちゃ刺さるのがいい。それにこの漫画のいいところは藤子の描写だけではなくて、可愛いを絵に描いたような藤子の友達の久美ちゃん、藤子と同じ喪女で藤子以上に拗らせてるきよ香、藤子を変えていく小柳さんの抱えている悩みや想いも丁寧に描かれているところ。可愛くてモテる久美ちゃんがあざとい訳じゃなく、素のまま可愛く、抱えているものもしっかり描いてくれてるのが嬉しい。

8月7日に放送された1話で、藤子の意識改革をしようと小柳さんと久美ちゃんが付き添って美容院に行ったり服を選びに行った時、女らしいものが似合わないと思っていた藤子が可愛い花のモチーフのイヤリングを自分で選んでしみじみと喜んでいたら、久美ちゃんが同じものをつけて「藤子ちゃんとお揃いのが欲しかったの〜」と屈託なくはしゃぐ姿を見て卑屈な嫉妬心が沸点超えてしまう場面は胸が痛かった。

「こうやって私だけがどんどん顔も心もブスになっていく! 久美が隣にいるせいで!」と、可愛い久美ちゃんの隣に居ることでいつも周りの男性から比べられて、いつの間にか自分も比べて卑下してきたことに耐えられなくなって当たり散らしてしまう藤子。わかる。わかるよ、藤子。私はアンタより、もっとひどかったよ。

男性からモテて、バイトしながらも自分の夢にまっすぐ着実に向かっている友達がいた。私のことも好きで居てくれて、大切な友達として接してくれていた。お互いに励まし合う手紙やファックスを送りあったり、よく電話もした。でも私が何もかもうまくいかなくて、どんどん歯車が狂って卑屈になっていた時に、彼女の存在が辛くなってきた。言葉では彼女を応援していても、何だか虚しかった。ふたりで会うつもりでいたら友達の男の子を連れてきて、男の子の友人としか通じないような話ばかりして嫌だったり、小さなモヤモヤが溜まっていた。自分が何もかもうまくいかない苛立ちも混ぜこぜになり、「こんなに周りから愛されて男性からもモテる人に、私ひとりくらい居なくなっても、私から嫌われても大丈夫だろう。だって、この子はみんなから愛されてるんだから!」というドス黒い気持ちが蔓延してひどいことを言った。

それでスッキリするかのかと思ったら、そんなことはなかった。「自分は悪くない! 周りが私を貶めるからだ!」みたいな想いや、コレ以上傷つきたくない想いに支配された私は、悲しんだ友人の気持ちを直視することができずに余計に自分が惨めになって自分を嫌いになった。

20代は本当に辛かった。女性としての価値を見いだせない自分が恋愛市場に身を置かないといけないのが嫌だった。

そもそも中学や高校の修学旅行で夜に同部屋の人たちで「好きな子誰?」って聞き合うとか、修学旅行でカップル成立させる為に告白! とか、急に何かみんな色めき立つ感じが気持ち悪くてサッサとひとりで寝た私だ。

林間学校の肝試しでくじ引きでカップルになった男子に「あそこに何かいますね」「あそこに驚かそうとしてる人が潜んでます」と冷静に指摘しながら歩き、まったく怖がらずにゴールを迎えた時に相手の男子に「つまんねー女」と吐き捨てられた私だ。

小6の時に男子が密かにランクづけしていた「嫌いな女子ベスト3」の3位に「デブでブスだから」という理由で選ばれた私だ。

短大の時に夏休みに海の家でバイトしてみたいと面接に行ったら「アンタが? 鏡見てから来たら?」と言われて即追い出された私だ。

そんな様々な経験から、「恋愛市場に出たら死ぬ!」としか思えなかった。低い評価しか与えられずに惨めな想いしかしないと思っていた。もう傷つきたくなかった。初めて彼氏ができた時は有頂天になったが、「嫌われたくない!」とか「いい彼女にならなくては!」とか「相手が喜ぶには?」ばかり考えて変な方向に突っ走った挙句、疲れて不機嫌になる典型的なメンヘラになって3ヶ月で別れた。

恋愛も仕事への夢も謳歌して、周りからも愛されて、彼氏も途切れずにいる友人の話を聞いてると自分が惨めな気持ちになって辛かった。辛いけど、それを友人には言えなかった。そんな風に我慢をしてたら、何が引き金になったかわからないけど嫉妬心が止められなくなった。

そんなこともあったからか、あのシーンはグサグサと刺さる。漫画読んでた時も、「わかる!」という共感で嬉しくなるより、わかりすぎて辛くなった。小柳さんが言うように、「あんたがモテないのは性格がブスだからよ!」そのものだった。本当にブスだった。

何であんなに自分の価値を他人に預けていたのだろう。しかも私にネガティブな価値付けした人の意見ばかりを鵜呑みにしていた。人の好みは千差万別なのに、自分は女性として見られないし価値がないと思っていたし、逆に女性として見られたら何か怖いしキモいと感じていた。私を貶めた男性への不信感や怒りから反応的に攻撃的になったりする反面、怨念に取り憑かれたような私を変えてくれるような誰かに出会いたいと思っていた。

女の価値とか、美しさの価値とか、人間の価値とか、そういうものに振り回されていただけで誰が悪いということではないのだろうけど、それでもやっぱり容姿をバカにされたりからかわれたりするのは悲しかった。嫌われてるんだと実感せざるを得ないことが辛かった。傷ついてるとバレたら余計にバカにされそうで絶対に弱みを見せたくなかった。「このくらい言われても普通なんだ!」と思い込ませて自分が傷つかないように武装してカタくなる。私の繊細で柔らかな部分に誰も踏み込ませたくなかった。

私にも小柳さんみたいな人が欲しかった。だけど、もしそんな人に出会っていても、私がその頑なにカタくした心を開かなければ何も変わらない。結局は自分なんだな。

現実に小柳さんみたいな人に出会えたら嬉しいけど、自分をしあわせにしてくれる誰かを待つのではなく、私が私をしあわせにしないと何も変わらない。誰かがしあわせにしてくれるんじゃない。悲しくて傷ついてた自分の気持ちを私が受け入れていくところから始めるしかないんだよなぁ。

そうして死ぬまでに、この人の隣で生きていきたいと思える人に出会えたらいいな。そのくらいの気の長さで、好きなことして楽しんで喜んでいよう。どんな自分も受け入れて好きでいる頭お花畑なご機嫌野郎でいよう。自分なりの良さや可愛さは、そういうところに隠れていると思うし、自分に見えてないだけで人からは見えるもんなんじゃないかな。


↑気になる方はTVerで視聴できます。


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よしだみねこ
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