マインドフルネスの視点から、アディクションにおけるHALTについて考える
毎日書くはずが、すっかりご無沙汰しておりました。今日は、アディクションの再発を防ぐ上で、大切と言われている「HALT」(ホールト、ハルト)について見ていきます。
HALTって何?
アディクションの再発を防ぐ上でのキーワードです。アディクション業界にいると、耳にタコができるほど聞く言葉?なのかと思うのですが、一般社会では浸透していない言葉です。説明していきます。
H:Hungry お腹が空いていないか?
A:Angry 怒っていないか?
L:Lonely 寂しくないか?
T:Tired 疲れてないか?
この頭文字をとって、HALTです。再発(お酒をやめている人が飲んでしまったり、禁煙中の人が吸ってしまったり・・)を予防する上で気をつけたいキーワードとして有名な言葉です。
つまり、再飲酒などの再発の危機は、お腹が空いている、怒っている、寂しい、疲れなどに気づいて、自分のニーズに気づき、他の対処法・セルフケアを取ることで、予防できるのです。
夕方が鬼門
気分を変えてくれる何かを求める渇望とはどんな感じでしょうか。10年くらい前までは、夕方になると、「ああ飲みたいな」「疲れたし」「ご褒美に」「とりあえず生!」みたいな思考が湧いてきておりました。喉が渇いて、解放をもとめるあの感じ、あれこそが「渇望」です。
さすがに、お酒などのアディクションを手放し10年経つと、飲むという選択肢がそもそも最初からないので、あまり思わなくはなります。しかし、マインドフルネスを実践する中で、夕方に独特の「気分不快」が生じることに気づいてきました。
夕方って、脳の自己制御機能が一番落ちるタイミングなのではないでしょうか?1日の疲れに加えて、夕飯前で低血糖であることもあります。イライラしやすかったり、不安になりやすかったり、自己嫌悪感が生まれたりします。
あとは、夕方は、お母さんにとってマルチタスクの極みの時間帯。夕方の混んでいるキャンプ場では、「子供に大声で怒っているママ」に遭遇する率が高い気がしております。
そうです、疲労、マルチタスク、低血糖。そして、ワンオペ育児の場合だと、ここに自分しかいないという孤独感も加わります。まさにHALT!
夕方をどう乗り越えるかが?お酒なし、アディクションなしで生き延びる上では非常に重要なのです。
私は特に、15:00-夕飯までの時間が苦手という実感があります。最近では、(在宅なので)ちょっと寝転がって、セルフ・コンパッションの瞑想を聞いたり、この時間にお風呂に入ってリラックスといった、いったんテンションを下げて、「バナナ」「ヨーグルト」「おやつ」といったまずまずしっかりとした間食をとることもあります。
あと、仕事をずっと過集中で続けるタイプの人も、夕方ごろにいったんガス切れになる印象があります。このガス切れにも、本当にガス切れになる前に燃料を補充したいところです。
ガス切れのままだと、人間の本能的な「逃走・闘争反応」が生じやすく、そうでない時に比べて必要以上に敵対的・反応的になってしまいがちです。
インテロセプション(内受容感覚)が弱いアディクト
インテロセプション(内受容感覚)という言葉は、トラウマ・センシティブ・ヨガのトレーニングで習いました。要するに、喉が渇いたから水が欲しいとか、お腹が空いたから食べる必要がある・・など、体のシグナルを読みとる能力のことです。
トラウマ・サバイバーは、このインテロセプションが弱いことが指摘されています。そのため、ヨガやマインドフルネスで、体の感覚に注意をむけるトレーニングをすることで、「島」と呼ばれる脳領域が活性化することも示されています。
微細な身体感覚に気づくことで驚く、アディクトは多いです。「実は腰が痛い」「あれ、歯が痛い」「手が痺れてる」「耳鳴りがする」そういうような体からのサインに気づかず、セルフ・ネグレクト状態になってしまっているアディクトは多いのです。
HALTに気づくためにも、マインドフルネスやヨガといったトレーニングが有効になるのです。体の感覚に急に意識をむけてもよくわからない場合多く、ボディスキャンやヨガを嫌がる方もいらっしゃいます(私もそう・・)。しかし、カバットジンは、このように言っています。
好きにならなくてもいいので、ただやればいいということです。
MBRPでは、HALTへの取り扱い説明書を作って行くイメージ
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自分自身への身体や考えへの気づきが増してくると、再発・使用にいたる際には、独特のパターンが生じていることに気づきます。
例えば、自分の場合だと、夕方→疲れ、仕事での自己嫌悪→気分を晴らしたい!今すぐ!となるわけです。
そんな時に、アルコールは高カロリーで、疲れも吹っ飛ばしてくれて、エネルギーがみなぎる感じがするので、うってつけでした。それが、選択肢から消えるなら、それ以外の方法で、この事態に対応できるようにしていく必要があるし、そもそも夕方にそんなに疲れすぎないようにセーブして頑張りすぎないようにする、小分けのおやつを持っておくなども必要です。
「ほとんどの口論・トラブルは、空腹から生じている。」とどこかで読んだことがありますが・・夕方の疲れには、アディクションにおける再発予防的にも取り組みたい課題です。
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