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「呼吸法」と「呼吸のマインドフルネス瞑想」の違いを理解している?

「呼吸法」と「呼吸のマインドフルネス瞑想」は同じではありません。言葉もやり方も似ていますが、別物です。

「そんなことは当たり前だ」と思うかもしれませんが、両者を混同して理解していたり、指導する人がとても多いのです。

信頼できる瞑想の指導者を見極める方法として「呼吸法と瞑想の違いは?」と質問することは有効かもしれません。きちんと答えることが出来なければ瞑想の経験も知識も不十分の可能性が高いでしょう。

「呼吸法」は身体へのアプローチです。

呼吸を整えたり、胸郭の柔軟性を高めたり、心肺機能を高めたりと身体機能や身体の問題を改善することが目的です。「呼吸法」によって自律神経が整うと言われています。

「呼吸のマインドフルネス瞑想」は呼吸を通して「心の扱い方」「心のコントロール法」を体得し、呼吸を通して「気づき」「観察」「自分を知る」ことを目的とします。

具体的なやり方として「自分の中で何が起きているか?」に気づき、瞬間瞬間の心の動きを観察していきます。これを丁寧に行うことで心の変容が起きるのです。

「呼吸法」では意図を持って呼吸を行います。

例えば、呼吸に合わせて胸やお腹を膨らませたり縮ませたり。あえてゆっくり呼吸をしたり、物凄く早く呼吸をすることも「呼吸法」の一つです。「呼吸法」の種類は無限にあります。

「呼吸のマインドフルネス瞑想」では、このように意図を持って呼吸をすることはありません。自然な呼吸に任せて「気づき」と「観察」を行います。

「呼吸法」と「呼吸のマインドフルネス瞑想」に取り組んでいる人を見ると同じように見えますが、心と身体の中で起きていることは全然違うのです。

これは脳科学の研究でも確認されているので、興味がある方はご自分で論文などを調べてみると良いでしょう。


「呼吸法」でも心が落ち着いたり、リラックスすることがあります。そのため「呼吸法」を「呼吸のマインドフルネス瞑想」と混同して理解してしまう人がいるのは仕方がない部分があります。特に初心者の方はそうです。

心と身体は完全に切り離すことは不可能です。

「呼吸法」で心が変化することもあれば、「呼吸のマインドフルネス瞑想」で身体が変化することも当然あります。

しかし「呼吸法」と「呼吸のマインドフルネス瞑想」の違いを理解し、目的に合わせて取り組む必要があります。少なくとも瞑想やヨガの指導者は、その違いを完璧に理解して説明できるレベルにないといけないでしょう。


「呼吸のマインドフルネス瞑想」に比べて「呼吸法」の方がはるかに簡単です。人によっては基本的な「呼吸法」であれば1日でマスターすることが可能です。

基本的な「呼吸法」でもある程度の心の落ち着きやリラックスを得ることが出来るので「心が落ち着くのであれば呼吸法で十分だろう」という考えがあります。

たしかに心を落ち着かせることやリラックスが目的であれば「呼吸法」で十分かもしれません。

面接やプレゼンの場面など、すぐに緊張を解きたい時に「呼吸法」はかなり有効です。いつでも使えるように「呼吸法」はぜひ身に着けておきたい。

しかし抱えている悩みや問題を根本的に解決したい人、心の変容を望む人、性格を変えたい人は「呼吸法」だけでは不十分です。しっかり「呼吸のマインドフルネス瞑想」に取り組んでください。

なぜなら「呼吸法」で得られる心の落ち着きやリラックスは、その場限りのものだからです。頭が痛いから鎮痛薬を飲むのと変わりません。鎮痛薬を飲んでも痛みは一時的に取れますが、頭痛を招いている根本的な原因を解決することは出来ません。現実逃避です。

場合によってはそれも必要ですが「呼吸法」による心の落ち着きやリラックスは現実逃避に過ぎないことを理解してください。多用すると危険です。

なぜ危険なのか?

現実逃避ばかり行っていると逆に抱えている悩みや問題がより深くなるからです。

現実逃避すればするほど、現実を観る力、現実と向き合う力が衰えていきます。現実と向き合えない人は悩みや問題を解決することが出来ません。

現実逃避はクセになります。何かストレスがあれば現実逃避することがパターン化します。現実と向き合えないから、さらに現実逃避にハマるという負のループに陥ります。その末路は悲惨です。そんな人をたくさん知っています。

もちろん心を落ち着かせること、リラックスすること自体は悪くはありませんが副作用があるのです。現実逃避の方法が溢れる現代に生きる私たちはそれを知るべきです。


ここまで「呼吸法」と「呼吸のマインドフルネス瞑想」の違いなどについてお伝えしてきましたが、どちらが良いのか?悪いのか?どちらが効果的か?といった話ではありません。

目的や場面によって使い分けることが必要です。違いを理解して取り組んで欲しいと思います。「呼吸法」も「呼吸のマインドフルネス瞑想」も両方を身に着けてください。

お勧めする取り組み方ですが、まず「呼吸法」に取り組んで、呼吸の感覚と胸郭の柔軟性を養ってください。

呼吸に伴って生じる身体の感覚がわからない人、呼吸に意識を向けるということがわからない人、胸郭が硬い人が「呼吸のマインドフルネス瞑想」に取り組んでもあまり効果がありません。

多くの人はマインドフルネス瞑想に取り組んでも実感がなかったり、よくわからないという感覚に陥りますが、それは呼吸の感覚や柔軟性が乏しいからです。

「呼吸法」に十分取り組んでから「呼吸のマインドフルネス瞑想」に入るのが王道パターン。

どれくらい「呼吸法」に取り組めば良いのか?と質問を貰うことがありますが、これは個人差があるので何とも言えません。人によっては3か月くらい徹底的に「呼吸法」に取り組んでからマインドフルネス瞑想に移行した方が良いでしょう。

私が対面で指導する場合は、「呼吸法」と「呼吸のマインドフルネス瞑想」を同時に行う場合もあります。と言うよりほとんどこれです。

その理由は同時に行う方が良い感触であることが多いからです。具体的なやり方についてはレッスンでお伝えしていますが。


プロフィール
西山 純一 
大阪マインドフルネス研究所
https://www.mindfulness-lab.com/

メンタルトレーナーとして多くのプロアスリートや経営者、アーティスト、医療従事者、教師や心理士、学生やビジネスマンなど幅広い人にマインドフルネスをベースとしたマインドの使い方やメンタルコントロール、食事改善や運動、ダイエットを指導。

指導歴は18年 1000人を優に超える人達に指導してきた。

20代前半でアメリカのパーソナルトレーナー資格を取得して、大手フィットネスクラブや関西のスポーツ強豪大学や高校でスポーツトレーナーとして活動。

同時期に大学で心理学の単位を取り、心理カウンセラーとしての訓練も受ける。専門僧堂や禅寺でも禅や瞑想を学び実践する。

プロアスリートや年商数十億円を超える経営者をクライアントに持ち、うつ病を始めとする精神疾患やガン患者、難病患者のカウンセリングやメンタルケアも行う。

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