”たたみいわし”と日本初”たたみもやし”の開発秘話&笑話
料理を食べる事も作る事も、楽しい。あえて開発しようと思わず、食材と向き合っていると、このような食べ方をしたらおいしいかも?と瞬間的に脳裏に浮かぶ事が多い。今回は、埼玉県深谷市のメチャクチャおいしいブラックマッペ”もやし”の開発についてです。
”たたみもやし”と言う商品は、日本初だと思います。
商品開発のネタは周りに転がっている。
実は皆さんが気付かないだけで、ネタはたくさんあります。それを商品開発に結びつけるのは、脳内に蓄積したデータと好奇心と楽しさの追求が主なファクターだと思います。
まず、好奇心が無いとネタだとは思えない。そして脳内データベースとのアクセスが必要不可欠。データーベースにあるのは、好奇心が集めた過去の気になった商品や食材そして開発にまつわる話(これは中々聞けない)
”たたみいわし”と”もやし”が結び付く要素は、細い(使用対象はブラックマッペもやし)、そして辛うじて色があるだけかも知れない。決定的な要因は、この"もやし"を乾燥させたら、”たたみいわし”と見間違えるだろうと言う面白さにワクワクしてしまったから、フルスロットル!で商品化しようと思った。
”もやし”を知る
埼玉県深谷市で生産されている飯塚商店の深谷もやしはギャバとミネラル分の多い、某大学の分析結果をいただいた。これは実際に開発を進めて行く時に方向性を決める一助となる重要なデータとなりました。
多く含まれる主なミネラルは、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ヨウ素。また、40種のアミノ酸を含有している。
例えば、グルタミン酸。
グルタミン酸といえば、昆布!利尻昆布 1,985mg/100g(乾燥時)、トマト 223mg/100g(生)、深谷もやし 7.1/100g、たたみもやし 71mg/100g(推定)
ギャバ(ガンマーアミノ酪酸)
トマト 62.6/100g(生)、玄米 10mg/100g、深谷もやし 33.3mg/100g(生)、たたみもやし 333mg/100g(推定)
このデータから、”たたみもやし”の派生商品として、出汁として使えると思い”もやしパウダー”も開発した。
この”深谷もやしの粉”を使うと出汁として使えるので、スープ(写真はタイ風スープ)やお好み焼きを作る時に便利だった。粉末出汁だから色々と応用できます。
食品生菌検査
商品開発で欠かせない検査は生菌検査。これが賞味期限や消費期限の基本データとなる。また、実際に食する官能検査をする。販売するには、商品が該当する製造許可等の取得が必要で、無許可で製造販売する事は、食品衛生法違反となります。これは人の体内に入り生命に関わる問題だから要注意です。また野菜を熱湯でボイルすると細菌が死滅するとか、乾燥させると死滅すると思っている人もいるようだが、一度作ったモノは必ず生菌検査をしてください。ちなみに”たたみもやし”の3回の生菌検査結果をお見せします。
常温81日保管後の検査結果万全を期して作った最初の検体を81日保管して検査を実施。何と想像も付かなかった菌数が検出された(一番上)。その後、この結果をふまえて製造方法を再考して再検査した結果が2番目。一般生菌は多少減少したが、大腸菌群は増えている。3回目の検査でクリアしたのは、根本的に製造過程を変えた事、昔の文献を調べていたら酢等を使った殺菌方法をみつけて、アレンジしてみた結果でした。
この”たたみもやし”は10kgのもやしから1kgも出来無い、しかも乾燥に20時間前後かかってしまい、乾燥機に入れるまでの殺菌行程にも手間がかかったので製造を休止した。少人数で商品を開発し、製造販売をしているとどうじても効率を重視しないと経営が成り立たないのです。”たたみもやし”を10km頼まれたら、生の”もやし”が100kg必要です!保管するだけで冷蔵庫1本でも足りません。でも、楽しい商品でした。
子供の目を持って料理や食材を見たら、きっと何かを感じると思います。
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