身体に深い影響を与えるトラウマ
いきなりですが、痛みとトラウマは深い関連性があります。
トラウマは、脳と身体に深い影響を与えるからです。
それはおいおいご説明していかなくはなりません。
さしあたり、TIME.COMの最新記事に興味深いものが流れてきましたので、
以下、その要点です。
「なぜトラウマはまだ誤解されるのか? ベストセラー『身体はトラウマを記録する』の著者ベッセル・ヴァン・デア・コーク博士は語る」
People Still Misunderstand Trauma, Says ‘Body Keeps the Score’ Author Bessel van der Kolk
米国でトラウマを専門とする精神科医で脳科学者ベッセル・ヴァン・デア・コーク博士は、
トラウマが社会と医学界の双方で誤解され、十分に認識されていないことを強調しています。
彼の研究は、トラウマ、特にそれが身体と心に与える深刻な影響について、
より包括的な理解と治療を提唱しています。
1.トラウマの深い影響
ヴァン・デア・コークは、トラウマが脳と身体に深刻な影響を及ぼし、
しばしば、個人が説明したりコントロールしたりできない行動につながることを、強調しています。トラウマ体験者が、完全に回復するためには、身体感覚とのつながりを取り戻す必要があります。
2.医学界の誤算
ヴァン・デア・コークは、医学界が小児期のトラウマを十分に深刻に受け止めておらず、
戦争のような経験によるトラウマの長期的影響に対処していないと批判しています。
3.トラウマの再定義
彼は、現代の言説の中でトラウマがしばしば誤って定義され、
乱用されることで、その真の意味や深刻さが希薄になっていると指摘します。別れのような出来事は人生の一部であり、トラウマではありません。
4.型にはまらない治療
ヴァン・デア・コークは、MDMA(現在は法律上の問題からケタミンを使用)や、
ヨガ、ドラム、演劇療法のような身体的・感情的同調を促す活動など、
型にはまらない治療法を支持しています。彼は、これらの方法はトラウマ被害者の狭められた現実を広げ、
彼らがより完全に生きることを、可能にすると主張しています。
5.本の影響力と論争
ヴァン・デア・コークのベストセラー『身体はトラウマを記録する』は、医療などの制度では認められていない領域にも踏み込んでいるにもかかわらず、とくに臨床家の間で大きな影響を与えました。
この本は、多くのセラピストにとって基礎となるものですが、
その詳細な記述のためにクライエントにとっては引き金となることがありますので、その点は、注意を要します。
医療機関への批判
ヴァン・デア・コークは、医療機関が彼のアプローチを受け入れようとせず、
言葉主体のカウセリングや、薬物療法のような伝統的な方法に焦点を絞っていることに批判的です。彼は、学校や刑務所のような場所での、トラウマ・インフォームド・モデルを提唱し、共同学習や体験学習を重視しています。
これは、パンデミックが人々の孤立化と疎外を生みだしてしまったことによります。
個人的および専門的な課題
ヴァン・デア・コークの見解は、いじめ疑惑の中で
自身のトラウマセンターを解雇されたことなど、
個人的な経験に影響されています。彼は、PTSD以外のトラウマを適切に扱っていないDSMに批判的であり、自説を広めるための他の方法に力を注いでいます。
結論
アメリカのトラウマ専門の精神科医ヴァン・デア・コークは、
トラウマとその治療について、
より広範で微妙な理解を求めています。
ヴァン・デア・コークは、伝統的な医療機関や学術機関からの
挑戦に直面し続けていますが、
彼の研究はトラウマに関する議論を大きく変化させましたが、
まだまだ誤解が多く、正しい理解が不十分だということになります。