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手しごととおいしいごはんがすごくよかった金沢旅
2023年春。石川県にある金沢駅に降り立った私は、まるでヨーロッパの駅に着いたかのような錯覚に陥りました。その理由は、見渡す限りの外国人観光客。香水と体臭が混じり合った独特の匂い。肌の色も聞こえてくる言葉も、英語やフランス語、スペイン語など海外のターミナル駅かと面食らいました。そう金沢はいま東京、京都に次いで人気の観光名所なのです。
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今回の旅の目的は、家族の用事だったのですが、じつはコロナ禍中にも仕事の視察で訪れており、その時の情報もあわせてご紹介できたらと思います。
1日目 金沢で鮨をたべたい
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金沢1泊、富山1泊の2泊3日ツアー。テーマは「手しごととごはん」です。私は日本のものづくりをセレクトしたネットショップ「CRAFT STORE」の広報もつとめているので、ものづくりが息づくまちは何度も行きたくなるもの。
2回目の金沢だったのですが、コロナ禍で閉店してしまったお店もあったり、やはりいつまでもあるわけではないなと改めて行ける時に行っておくことの大切さを感じました。そして旅を通して地元の人と会話できたことも大きな収穫に思えました。
ざっくりとした旅程表は以下の通り。それでは詳しく旅の様子をレポートしていきます。
【旅程表】
1日目 金沢で用事を。鮨を食べる
2日目
パン屋「nior」に行き絶品のクロワッサンを食べる
〜富山へ移動〜
富山に住む友人と合流する
富山でおだしの効いたカレーを食べる
サスティナブル施設「トトン」でトレジャーハント
地元のデリカッセンとお酒を買い込んで彫刻のまち井波へ
「Bed and Craft」でおうちごはんを楽しむ
3日目 山奥にあるオーベルジュ「L'évo」で地産地消のランチを食す
手しごとを感じるホテル「SOKI KANAZAWA」
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今回のお宿は近江町市場のすぐそば。2022年秋にオープンしたばかりの「SOKI KANAZAWA」です。東京にある「由縁別邸 代田」など、まちの価値を高めるUDS系列のホテルだったので「これはみてみたい」と思い宿泊しました。しかもオープン記念でとってもお安かったのです。
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金沢は漆器のまち。客室内の木のカップやトレイ。そしてコースターは地元「soil」の珪藻土コースター。ほかにもメイドインジャパンの「MOHEIM」の雑貨など、日本の手しごとを感じさせてくれる什器にはその土地に対するリスペクトが感じられます。
私にとっていいホテルとは、マテリアルと光
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大浴場もこれまた素晴らしくて。ほどよい暗さの大浴場は石と光の質感が非常に柔らかくメディテーションにもぴったりの空間演出。リッツカールトン日光の大浴場と同じくらいの感動がありました。
私にとっていいホテルとは、マテリアルと光だなと。
金沢は石の採掘も盛んです。そのせいもあってか、表情の変わった石がホテルの至る所で見られて嬉しかった。癖に刺さるというかなんというか。石すごく好きなんですよ。
「SOKI」の大浴場はアメニティが日本のオーガニックコスメ「OSAJI(オサジ)」だったのも嬉しかったです。
さて大浴場を出ると、瓶入りのコーヒー牛乳や地元・福光屋 酒蔵仕込みの純米 シルキー糀甘酒も無料で飲めたり、日本の銭湯カルチャーを体験できるのも外国人観光客を見越した戦略に思えました。いい体験ですよね。
体験もできるホテル
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さらには、ヒバの匂い袋をつくれるコーナーも。クラフトの息づくまちならではのアクティビティーですよね。『SONY』の「グラスサウンドスピーカー」も可愛いな〜。
こちらも外国人観光客の方たちが楽しそうにつくっていました。
というかホテルで私たち以外日本人を見ませんでした。ヨーロッパの方が多い印象。そのくらいインバウンドの波を感じました。おしゃれなスニーカーとスウェットにバッグはちゃんとブランドものを携えて、おしゃれなお客さんが多かったです。
やっぱり鮨がすき「鮨木場谷」
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さて夜ごはんは「鮨木場谷」へ。私は大の鮨好き。鮨はひとりでも入れること。そして高級鮨からファーストフードとしての立ち食い寿司まで、幅広い「すし」という概念が好きです。何より「手で食べるものはうまい」という説を唱える身としては鮨はお気に入りの食べ物です。
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「鮨木場谷」のコースターはやはり「soil」の珪藻土コースターですし、器も可愛くて……。つまみは蛍烏賊やカワハギに乳化させた肝醤油など、どれも素晴らしいのに、なぜか料理の写真がなく器の写真しかない(笑)そのくらい器が珍しいものばかりでした。
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「このために仕事がんばってるんだ〜!」と思わせてくれるご褒美飯が私にとっての鮨。また来れるよう日々鍛錬です。
2日目 金沢でパンをたべる
さて2日目の朝です。この日はあいにくの雨模様でしたが、どうしても食べたいパンがある。ということで金沢駅あたりからバスで30分ほど野々市市にあるパン屋「NiOR」へやってきました。どうしてもここのクロワッサンをもう1度食べたかったんです。
私的世界No.1「NiOR」のクロワッサン
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私にとってここは夢の国。焼きたてのパンの香りが漂う店内は、インテリアや抜け感、お行儀よく並んだパンたちがどれも美人さんで嬉しくなってしまいます。
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そして例のクロワッサンです。以前はじめて食べた時にその美味しさに心奪われたというか、半ば衝撃を受けたクロワッサン。2回目の実食です。
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う、うまい……。やっぱりうまい! バリバリと頬張った一口目に目を丸くするような美味しさ。尾を引くように後からやってくる甘みの余韻。やっぱりここのクロワッサンが私の中で日本1だなと確認が完了しました。
全ては好み。なぜか私の好みのクロワッサンは金沢にあります。みなさんもぜひ金沢に行かれた際には「NiOR」へ足を運んでみてください。
バケットに発酵バターと生ハムを挟んだシンプルなサンドイッチも、とても美味しいのでおすすめです。
焼きそばパンやビリヤニパンといった惣菜パンも食べてみたかったのですが、朝イチだったためゲットできず。またの機会を楽しみにしています。
【おまけ】金沢観光〜美術編〜
今回家族の用事で金沢に行き、仕事も立て込んでいただめ観光ができず……。なので前回行ってよかった場所をおまけとしてご紹介させてください。
錦山窯のギャラリースペース「嘸旦 MUTAN」
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ものづくりに関わる人にぜひいってみて欲しい場所が、九谷焼の窯元・錦山窯のギャラリースペース「嘸旦 MUTAN」です。
職人さんから直接お話を聞ける場として、九谷焼を実際につかってお茶やお料理をいただけるイベントスペースとして。
住宅街の畑に突如現れる神殿のような建物は、周りの蔵と同じ「観音下石(かながそいし)」でつくられているため調和がとれています。
石の質感とやさしいベージュトーンの柔らかな空気感。デザイン監修はSIMPLICITYの緒方慎一郎さんが手がけられているときいて納得。
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美術館のようにスポットライトを使わず、自然のまま見られるってありそうでないですよね。
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見ることに時間の経過が必要。買うためにはお金も必要。でも気づくことは私にもできるから、なるべく意匠に気づけるだけの知性を持っていきたいなと思いました。
「九谷茶譚」というYouTube動画も素敵なので、よかったらぜひ見てみてください◎。
はぁ〜予約してまた行きたい!
何度行ってもいい空間美「鈴木大拙館」
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禅と哲学の庭「鈴木大拙館」は、ひたすら自分と向き合えるぼーっとできる場所。建築家・谷口吉生による設計で、歩いて「水鏡の庭」に至るまでも好きです。
美術館巡りするなら「国立工芸館」へ
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金沢の美術館巡りといえば「金沢21世紀美術館」「KAMU KANAZAWA」が有名ですが、2020年に東京から金沢へ移転してきた「国立工芸館」がおすすめです。展示の内容もさすが国立レベルと唸るキュレーションの良さ。見応え満載で、大興奮&大満足の展示でした。今回も時間があれば行きたかった……。
まち歩きで買えるアート「SKLO」
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香林坊にあるアートギャラリー「SKLo」は、街中にありながらも「ここはどこ?」と思わせてくれるアンティーク雑貨のセレクトショップ。
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旅先でモノを買うのが好きなのでセレクトショップも要チェックです。
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同じ並びにギャラリースペースもあって、石川県能登島で活動されているガラス作家・有永浩太さんの展示会も開催中でした。
【おまけ】金沢観光〜ごはん編〜
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香林坊は街歩きが楽しいエリア。水路沿いにイケてるショップが立ち並び、お洋服から雑貨までいろんなものがあります。休憩がてら入った「ジェラテリア リトルタ」は、地元で採れる加賀野菜を使ったジェラートがとってもおいしかったです。
アートとごはんのいいとこどり「四知堂 kanazawa」
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「四知堂 kanazawa」は老舗油問屋の町家を改装した店内で、台湾料理を楽しめるお店です。空間設計が美しすぎ&センス良すぎて感動しっぱなしでした。
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台湾で人気のレストラン「四知堂(スーチータン)」のオーナーが、先述したアンティークギャラリー「SKLO」の常連だったそうで、そこから金沢への出店が決まったそう。なるほど「SKLO」のセンスだったのですね。中庭も素敵だったので、いつか夜もいってみたいお店です。
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九谷焼でいただく中華「西華房」
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「西華房(さいかぼう)」はシェリー酒と中華のペアリングが楽しめる中華料理店。ものづくりが好きなら九谷焼で料理を出してくれるところに……ということでお伺いしました。よだれ鶏おいしかったな〜。ここもまた行きたいお店の一つです。
おまけも書いてうっかり長くなってしまったので、【2日目 富山編】は次回のnoteでご紹介いたします。
いつも読んでいただきありがとうございます。しゃけ(ねこ)にチャオちゅーる買わせていただきます。