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【読書記録】ミカンの味/チョ・ナムジュ


女の子の集団が苦手だった。
でも、女の子を見ているのは好きだった。
いつも鏡を見ている子も、机に突っ伏してばかりいる子も、
好きな男の子の話をしている彼女たちも、
女の子って可愛いなあと思って見ていたが、
いざ、彼女たちの視線がこちらに向くと
「怖い」と思う時があった。
派手な女の子も、そうでない子も
どの子の視線も時々キッと強くなる瞬間があった。


特に思春期、小学生高学年から中学生の頃は、
思い出すたびに
「あの時、どう振る舞うのが正解だったんだろう」と
思い出して震えるようなことが多々ある。

あそこで一歩間違えていたら、
あの時、間違った返答をしていたなら、
私は彼女たちの攻撃の対象になっていたかもしれない、と
思うことが多々ある。
そう、「正解」がわからない。
今でも「正解」がわからない。

彼女たちは時に残酷になる。
意味があるのかないのかはわからない。
時々、攻撃的になる。
束縛をしたり、突き放したり。
翻弄されて、どう受け答えをしていいかわからず、
それでも一人は怖くて、
ただ笑みを浮かべてやり過ごした思春期が、
心苦しく思い出される。

「ミカンの味」に出てくる4人の女の子たち。
そう、彼女たちは私たちだ。
過ぎてしまえば、どうってことのない選択も、
けれど、その時は精一杯で、
それしか世界がないように思えた。
その選択が自分の将来に及ぼす影響よりも、
ただ、「今」をやり過ごすことで精一杯だった。

笑っている時は楽しい。
今が一番楽しくて、最高だと思える瞬間が確かにある。
けれど、不安に思うこともある。
あの子は私をどう思ってる?
私は一人にならない?
私はあのこといて大丈夫?

チョ・ナムジュさんは「82年生まれ、キム・ジヨン」の著者。

何が正しい?
それって本当?
そうやって静かに心に問いかけられる気がする。
自分の経験してきた中で笑ってやり過ごしてきたけれど、
本当はどうだったの?と、
問い直されているような気がする。

「ミカンの味」はせらせらさんの記事を読んで
「読みたい!」と思い手に取りました。
noteによって出会える本があること、
いつも感謝しています。



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朝月広海
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