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どうすれば老化を抑えられるか。増えると老化が進む『AGE』とは何か?(読書メモ)

老化とは何か?

老化は端的にいうと、たんぱく質の劣化です。たんぱく質の劣化の引き金となるのが、「酸化」と「糖化」の凶悪コンビです。

酸化は以前から、老化を加速するものとして知られてきました。体に取り込まれた酸素が全身の細胞のエネルギー代謝に使われる過程で、一部の酸素が活性酸素に変化します。この活性酸素が細胞のたんぱく質を傷つけて劣化させます。

そして近年、老化を促進する要素として注目されているのが、糖化です。体内で過剰になった糖がたんぱく質に貼りつき、体温で温められてたんぱく質を焦がして劣化させ、形を大きく変えていきます。この劣化したたんぱく質が「AGE(終未糖化産物)」です。たんぱく質がAGE化してしまうと、たんぱく質の働きが劣化してしまいます。

AGE(終未糖化産物)とは?

体の中のたんぱく質は年を取るにつれて劣化していきます。劣化の最大の元凶が「AGE(終末糖化産物)」です。AGEは誰の体にも形成され、一生溜まっていきます。

AGEが引き起こす病気とは?

①慢性炎症
AGEは臓器や細胞に炎症を引き起こす原因物質であることが近年の研究で明らかになっています。炎症とは、内的・外的ストレスに対する生体防御反応で、急性炎症と慢性炎症があります。

目立った症状がなく長年にわたって炎症が続くのが慢性炎症です。「くすぶり型炎症」と呼ばれ、徐々に細胞や臓器障害を引き起こします。くすぶり型炎症は食事や喫煙、高血糖などによって引き起こされますが、おもな原因が活性酸素とAGEです。

②肌のたるみ(しみ・しわ)
たんぱく質のAGE化は肌のたるみにも影響します。

コラーゲンは細胞を下から支えるクッションの役割を担います。皮膚の下にあるコラーゲンが支えていることで肌は弾力性を保ちます。

皮膚はもちろん血管、目、骨・軟骨、脳などあらゆる場所にコラーゲンは存在します。コラーゲンがAGE化すると、細胞はコラーゲンが支えるクッション性を失い、ゴツゴツとした岩場の上で動くことになります。そのため細胞に機能障害が現れてきます。

AGEが体内にできる原因とは?

AGEができる過程は、大きく分けて2通りあります。

ひとつは、体の中にあるたんぱく質に貼りついた糖が体温で温められ、焦げた状態になる「糖化」により体内で作られるAGEです。糖化されたたんぱく質は元には戻りません。

もうひとつは、AGEが多い食べ物や紫外線、タバコなど、外から体内に入ってくるAGEです。体内に溜まったAGEのおよそ3分の1は、外から体に取り込まれたものとされています。体内にAGEをなるべく溜めないようにするには、AGEが少ない食べ物を食べて、糖を取りすぎないようにすることが重要なポイントです。

体内でAGEが増える原因

①高血糖
高血糖の状態が続くとAGEの蓄積が進行し、やがては肥満やメタボ、そして糖尿病やがん、心臓病といったさまざまな病気につながっていきます。

②高インスリン血症
AGEがインスリンの作用を弱め、インスリンが分泌されても血糖値を下げる作用が鈍くなります。すると、高血糖を抑えるためにインスリンが過剰に分泌される(高インスリン血症)状態になります。インスリンが過剰に分泌される状態が長く続くと、インスリンの作用はますます弱くなっていきます。

③睡眠不足
睡眠についても、AGEの増加と関連があるとされています。

睡眠不足が続くと、交感神経が過剰に反応してコルチゾールやアドレナリンといったホルモンを分泌します。コルチゾールはインスリンの働きを低下させ、アドレナリンは肝臓に蓄えた糖を体中にばらまきます。どちらも高血糖を引き起こし、たんぱく質を糖化させ、AGEが増える原因になるのです。

④紫外線
紫外線が肌にダメージを与えることはよく知られています。

肌が光老化によってダメージを受けると肌内部に存在するコラーゲンやコラーゲンの線維を支える役割を持つエラスチンといったたんぱく質にダメージを与えます。ダメージを受けたたんぱく質は糖化・酸化しやすくなるため、容易にAGEが増えていってしまいます。

AGEが外から入ってくる原因

体内で作られるAGEのほかに、喫煙やAGEの多い食べ物といった外から入ってくるAGEがあります。良質な食材を選び、調理法をエ夫することで、AGEの蓄積をコントロールできる可能性が高まります。

・動物性タンパク質・高温調理
動物性たんぱく質はAGEを多く含みます。高温で調理することが多く、調理によってAGEが増えるという特徴があります。

食事に含まれるAGEの7%は体内で吸収されます。また体内に存在するAGEの約3分の1は食事に由来するといわれています。

動物性たんぱく質の取りすぎは腎機能に負担をかけ、がんのリスクが高まると多くの研究から明らかになっています。またAGEは魚より肉のほうが多く含まれます。

脂の多いサバのほうが、脂の少ない牛ヒレよりも含まれるAGEは少ないのです。一方、ベーコンは牛ヒレの約4倍のAGEが含まれています。

たんぱく質については調理方法も大きく影響します。「生、蒸す・ゆでる、煮る、炒める、焼く、揚げる」の優先順位で調理するとよいでしょう。食材は加熱することによって糖とたんぱく質が結びつき、AGEが増えます。調理温度が10℃上がると、AGEは2倍に増加するというデータもあります。

AGEの増加を抑える食材

①酢
酢には、腸管の動きをスローにし、糖の吸収をおだやかにしまする働きがあります。また、酢の酸性が糖とたんぱく質との結びつきを抑えるため、AGEを溜め込まない働きがあります。

②レモン
レモンにはクエン酸が豊富に含まれており、その酸味でAGE化を抑えることが期待されています。また、レモンは柑橘類の中ではトップクラスのビタミンC含有量を誇ります。

AGEを溜め込まないためには、高温調理はなるべく避けるようにする。どうしても食べたい場合は、肉を焼いたり揚げたりする前の下ごしらえで、レモンや酢、ワインビネガーなど、酸味の強い液体でマリネしてみてください。加熱調理した際に過剰に得られるAGEの約40〜60%が抑えられることがわかっています。

③魚・鶏肉・野菜
食材によってもAGE量は異なります。「肉→魚」、「加工肉→牛肉→豚肉→鶏肉」の順に少なくなることを覚えておきましょう。野菜類は基本的に少なめです。

『AGEデータブック数字でわかる老けない食事」(万来舎)

AGEの増加を抑える調理方法

高温で長時間調理することはできるだけ避ける、それだけです。「生→蒸す・ゆでる→煮る→炒める→焼く→揚げる」の順にAGE量は増えます。

体内では、たんぱく質にまとわりついた糖が体温で温められ、焦げた状態になるとAGE化されますが、調理についても、加熱によってこんがり焼けて美味しそうな食べ物ほど、残念ながらAGEが大きく増えています。

電子レンジは焦げた状態にはなりませんが、マイクロ波で食品の分子を振動させて高温にするため、AGE量を大きく増やします。長時間の加熱や温め直しはなるべく控えましょう。

AGEは生活習慣病や肌の老化など、体にさまざまな悪影響を与える!

AGEはさまざまな病気を引き起こします。

  • メタボ

  • しわ・しみ

  • 動脈硬化

  • 白内障

  • 老人斑

  • がん

  • 心筋梗塞

  • 脳梗塞

  • ED

  • 不整脈

  • 脂肪肝

  • 更年期障害

  • 不妊

  • 骨粗しょう症

  • 関節炎

  • 歯周病

  • 薄毛

  • 認知症(アルツハイマー病)

  • うつ

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