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“さわり”…雑音を愛でる日本の感性

琴、篳篥や笙のような日本の伝統楽器のルーツは
中国や東南アジアだといわれています。

…が、改良されかた、用いられかたは日本独特です。

たとえば、琵琶は旋律楽器かとおもいきや
雅楽では、旋律を奏でるのではなく
和音や単音でリズムを明確にする役割を担います。

また、能や狂言などで使われる能管は
笛の内側の吹き口の近くに
「のど」という小さな竹の管がはめこまれ
あえてオクターブがズレるよう設計されています。

よって、一本一本で同じ穴を押さえても出る音が違うし
“ヒシギ”という、人間の可聴音域を越えて(!)
音程が特定できない、霊的な高音が出せるため
“神降しの笛”とも呼ばれているとか。

琵琶も、“さわり”と呼ばれる
「うねり」のような一種の雑音を醸しだすため
首の弦が触れるある場所に、あえて凸凹をつくります。

江戸時代に書かれた琵琶の教則本には
“蝉の鳴くような音で弾くこと”という記述も。。

日本人にとって、風の音、虫の声、さざなみの音…
すべては雑音ではなく、“音楽的な音”であり
私たちのご先祖さまは
静けさ、沈黙にも“音の魂”を感じていたのでしょう。

  ところで、“さわり”とは、、

「サワリだけでも聞かせて」の“サワリ”でもあり
「耳障り」「気にさわる」の“さわり”でもあります。

日本人は、障害や雑音すらも大切で稀有なものとして
味わったりいかしあったりするという美学を
自然に身につけているのかもしれません。

難聴に悩まされたベートーヴェンは
ふと、私たち日本人のような感覚になったのかも?…

つまり、聴きたい音は外側にだけあるのではなく
心のなかに響く音、静寂にひそむ音、魂の音…

そのようなものに耳をすまし、
自らの音楽に紡ぎだそうとしたのでは…という
気がするのです。

杜音おうちコンサート〜ルイジの伝言〜vol.3苦悩が糧に?ベートーヴェンメンタルの秘密 では

わたしたちが愛してやまない“間”や“静寂”の美を
ルイジがどんなふうに作品に昇華させたのかを、
ご一緒に感じるひとときを過ごせたらと願っています。

あと一週間後になりました。

ご参加を心からお待ちしております☺️

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