夏の音
noteに"スキ"が押せなくない?
アプリでダメならプラウザで、と思って試してみたけれどダメだった。
noteの唯一の欠点はアプリが使いづらいことだと思っている。
下書きが消えていた....なんてことはもう嫌なのでパソコンで書くようにしているけれどね。
🔁
いつもとはちょっと系統が違うような文章を書いてみる。
GreeeeNというアーティストの楽曲の中に、「雪の音」なんていう曲がある。素敵な恋愛ソングである。
もちろん「夏の音」という曲もある。雪の音、ほどは印象に残っていない曲だけれど。
私の住む県は海に面していないので、海に人が集まってワイワイしているのを見て、夏を感じるなぁとは思わない。
賑やかな声に、"夏休み"を感じることさえもない。
私にとって夏の訪れを感じさせる音は、風鈴でも花火の音でもお祭りの音楽でもない。
そう、その音は他でもない、"氷"の音である。
実家の冷蔵庫は夏の間しか氷を作らない。
氷ができて冷凍庫に落とされる時、夏を感じる"音"がする。
暑い時に冷たい氷を口に含みながら、縁側で風を感じる時間がとても好きである。
田舎だから外は程よく真っ暗だ。
時にはカエルの鳴き声に邪魔されながら、静かに揺れる風鈴の音に耳をすます。
口の中に含んだ氷の冷たさが、感覚を研ぎ澄ませるようお手伝いをしてくれているかのようである。
言葉では表しきれないような空間で、真っ暗闇で小さな光が輝いている空間で、ふわふわと浮遊している気分になりながら、その冷たさに感覚を研ぎ澄ませるのも好きである。
暑ければ暑いほど氷はすぐ溶けて無くなってしまう。儚いものである。氷が口の中で溶けていき、あと少しで完全に溶けて水になってしまう、という瞬間が好きである。
東京の大学に進学してから、水道水を飲む機会なんて1ミリもない。
でも実家のただの水道水で作った氷の後味みたいなものは、水の美味しさをぎゅっと閉じ込めているような感じがするのだ。
これを書きながら私は今日も氷を食べている。今は"食べている"のである。
氷をガリガリと噛んでその食感を感じながら、冷たいという感覚の中、キーボードの上で指を滑らすように動かしている。
冷たさというのは意識をその部分に集中させる。熱い時は反射でパッと手を離したりするけれど、冷たい時はむしろ逆だ。
体が「ギュッ」と縮こまるような感覚がする。あるいは「キーン」という音が頭の中で聞こえるような気がする。
この感覚が好きである。氷が自分の中で溶けて、自分がスッとした気持ちになる瞬間が好きである。
ある意味でハッとなって、目の前のことへの集中を取り戻す瞬間が好きである。
ただの氷のおかげで自分の中に吹いてくる一筋のそよ風は、夏の暑さの中でもわずかな心地良さを感じさせてくれる。
また冷凍庫に氷ができる音がした。
ゴロゴロっていう音はなんとも気が抜けるような音かもしれないが
この氷ができる音がした時こそが、私にとって夏の始まりである。