人の命は長さですか?
「人の命は長さじゃない。密度だ。」
今の私は、こう信じてしょうがない。
退職前に亡くなった父。お腹の中で息を引き取った我が子。
長さだけでは決めらない。
そう信じていないと、愛する我が子を否定されている気持ちになってしまう。
前にもよく聞いたものだ。
「明日死んでもいいように生きろ」だなんて。
ちょっと言っている意味が分からないなと思っていた。
明日死ぬことを仮定して生きる人なんているの?辛くない?って。
まあ、この言葉は今も反対派だけど(笑)
産声のない天使たちという本を読みました。
医療が進んだ令和という時代にも、50人に1人は死産という形で分娩をする。つまりは、50人に1人のママは、産声のない出産をするのだ。
これから出てくる我が子の息はしていない。それを知りながら、出産をする。これは、どんなに辛いことか。
わたしは31週での死産だった。
31週間お腹の中で育てた我が子。
つわりもあった。後期になるにつれて、足もつったしむくみもした。
でも、お腹に我が子がいるという事実だけで、どんなことも頑張れたし、すべてが愛しかった。
親に妊娠の報告をした日。泣いて喜んでくれた。
性別が分かった日。未来の妄想をしてた。
胎動が分かった日。生きていることを実感して、毎日娘と秘密の会話が楽しかった。
私は、妊娠発覚と職場復帰が重なったから、お腹の子にはかなりストレスかけちゃったかもしれない。たくさん泣いたけど、一緒にいてくれたから、職場で一人だと思っても、一人じゃなかったよ。
当たり前に産まれてくてくれると思っていたんだ。
それが、一瞬で無くなった。
この世にこんな深い悲しみがあるのかと知った。こんな辛いこと経験したことがなかった。
こんな辛い気持ちを年間1万6000人近くのママが経験している。
…やっぱりママって強いなあ。
この本の中で、心に残った言葉を紹介しようと思う。
①「傷つけてしまうのが人ならば ちょっとした心遣いで救うことができるのも人だ。優しい想像力」
死産後、人の言葉にたくさん傷ついた。会ってかけられる言葉に、勝手に傷ついてしまうから、誰にも会いたくなかった。
「思ったより元気そう。」だなんて、そんなわけないでしょ?
「気持ち分かるよ。」だなんて、経験したこともないくせに、気持ちわかられてたまるか。
「次の妊娠に向けて治療は進んでるの?」だなんて、娘が亡くなったばかりで、そんなこと考えられない。勝手に無かったことにしないでほしい。
「いつまでも泣いてたらだめだよ」だなんて、泣かせてよ。悲しませてよ。娘が亡くなったんだよ。
「また来てくれるよ。意味があったんだよ。」だなんて、娘の死を勝手に正当化しないで。
「前向かなきゃ」だなんて、前なんて、向けないよ。
みんな嫌いになっていた。人が嫌になっていた。
でも、私の尊敬する方にかけてもらった言葉は、嬉しかった。
「伝える言葉が見つからない。」とだけ言い、あとは何も言わずに一緒に泣いてくれた。
「どんなに深い悲しみか、私には想像もできない。」と、私の深い悲しみを、自分では想像もできないくらい辛いと捉えてくれた言葉の方が嬉しかった。
「いつでもみおさんのことを思っている。」「みおさんの心と体が心配でならない。」など、自分を大切にしてくれている言葉も嬉しかった。
自分のせいで…と絶望している中、楽しみだった未来が消えて心が空っぽの中、自分のことを思ってくれる人、自分の存在を大切にしてくれている人がいるというだけで、どんなに救われたか分からない。
「娘ちゃん、素敵な名前だね。いい名前プレゼントしてもらったね。」「かわいいお手々だね。」などの声掛けも嬉しかった。自分達がどれだけこの子を大切にしているか認めてもらったようで、産声をあげなかなったけれど、きちんと産まれたこととして我が子の存在を認めてもらったようで、うれしかった。
傷つく言葉を書けた人を悪いとは思わないし、そうは言わない。
しょうがない。だって、経験がないのだから。
そっちにピックアップはしない。
ただ、少なくない人数の天使ママがこの世にはいる。
無常にも、なくならない。
だとしたら、私には何ができるだろうと思うのだ。
優しい想像力をもって、同じ経験した人の力になりたい。
そう、思うのです。
この辛さは、一人じゃ乗り越えられない。
私自身、主人はじめ、人に助けてもらった。
同じ天使ママを探してはつながった。
経験を語り合う会をさがして足を運んだ。
だから、次は救う側になりたいと思うのです。
まずは、当事者じゃない人にも、こういう世界線があるということを知ってほしい。50人に1人なら、生きている間に死産を経験した方に出会う確率は高いだろう。
その時に、救う言葉をかけてあげられる側になっていただきたいのです。
傲慢とかそんな思いではありません。
ただ、この事実を知っていただけるだけで、当事者になったときに出てくる言葉は違うのではないかなと思うのです。
今日は、産声のない天使たちという本から、心に残った言葉を抜粋し、自分の思いを書かせていただきました。
ありがとうございました。では、また♬