授業ナッジ②授業を受けなかった生徒が変わる「3つの力」【行動経済学×学校教育】
授業ナッジ第2話になります。第1話はこちらになります↓
なぜ学校で勉強をするの?
このように生徒から尋ねられた場合、みなさんは何と答えるでしょうか?
「将来やりたい仕事に就けるようにするため」
「豊かに生きるため」
私は今までこのような回答が精一杯でした。
そして、多くの生徒の正直な胸の内は「受験のため」ではないでしょうか。将来の夢がある生徒は明確な目的があるかもしれませんが、ほとんどの生徒はまだまだ模索中なわけです。
曖昧で抽象的な未来のために、粘り強く学習することは大人であっても難しいものです。
「なぜ学校で勉強するのか」
この難問に対する答えこそが「3つの力をつけるため」になります
「3つの力」とは
上記3つをまとめて「3つの力」と呼びます。
なぜこのさも普通な文言が、生徒の学びを動かすのか。
授業の先にある未来(イメージ)を共有する
教室での学びは、ただ知識を蓄えること以上の意味をもちます。自分の未来を切り拓き、夢や希望を実現するためには「3つの力」が欠かせないということを、生徒たちといかに共有できるかが重要です。
ここで、2人の生徒の事例を紹介します。
ボクシング選手を目指す生徒
夢のない生徒
このように生徒の興味や夢を理解し、それに沿って3つの力を育てる提案をすることにより、強制的な学習から離れ、自然な形で学びに対する動機付けを高めることが可能になります。
小学校でも変わりません
小学2年生でも同じ指導をしています。3つの力を「自分で考える力・きょうりょくする力・あきらめない力」という言葉に変換して指導します。
皆、素敵な夢や興味を語ってくれます。
なかなか勉強が進まなかった子が「将来パン屋になりたい」と照れくさそうに語ってくれました。パン屋さんの仕事を一緒に調べ、パンを作るのにも「3つの力」が必要であることを確認していきます。そうすると見違えるように自ら勉強に取り組むようになります。
この考えは教師側にとっても大きな変化をもたらします。
「全然問題に取り組まない、あぁ何でこの子はいつも不貞腐れるの」から
「素敵なパン屋さんになれるにはどのように支援すれば良いだろうか?」
という視点の変換が起こり、教師の声かけに大きな変化をもたらします。この辺りは、そうじナッジにもあいさつナッジにも通ずるところがあるのではないでしょうか。
まとめ
正直なところ、勉強自体は目的ではなく、人生を充実させるための手段にしか過ぎません。究極、「自分で考える力」「協働する力」「調整する力」を育てるための一つの方法として「学校での勉強」を利用しているイメージです。
勉強の旨味などは、あとになって気付けば良いです。私が「国語ってこんなに楽しいんだよ!」と高らかに話していた頃より、今の方が「国語が楽しい」という子供が圧倒的に多いのは、皮肉なものです。
「自分が自分の人生を生きるための授業」のベースとなる観についてのお話でした。
次回は第3話、
4月からの実際の実戦の様子 をご紹介したいと思います。
お読みいただきありがとうございました。
次の記事↓
そうじナッジ↓(これで掃除指導の悩みから救われました)
あいさつナッジ↓(ナッジの中で一番簡単かつ楽しいです)
サポートナッジ↓(課題のある子が自ら変わる、画期的なナッジです)