きのぴー先生

子育てナッジ、授業ナッジの研究をしています🪴

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  • 子育てナッジ

    ナッジ、SFAの考えを取り入れた子育てを発信しています

  • 生徒指導ナッジ

    行動経済学を学んだ私が、生徒指導への転用を提案をするシリーズ。「人間は不合理な生き物であるという認識を出発点とし、一種の恵みへと変換する」視点で理論から実践まで幅広く紹介します。

  • 長髪の頭の中

    長髪の個人的な考えです。適当にお読みください。

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    行動経済学を学んだ私が、授業への転用を提案をするシリーズ。「人間は不合理な生き物であるという認識を出発点とし、一種の恵みへと変換する」視点で理論から実践まで幅広く紹介します。

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「ナッジで変わる掃除の時間」:教師が強制しない指導法/小学校/清掃

もう悩まない「掃除指導」をナッジ5月、新学期のわくわくも落ち着き、子どもたちは クラスにもすっかり慣れてきました。 そんなある日、彼らの掃除の様子を見ていると、 友だちとふざけ合いながら掃除に取り組む姿が 目につき始めました。 過去いろいろな掃除指導を試しましたが、 いまだピンとくるものがありませんでした。 そこで「ナッジ」の手法を掃除指導に 取り入れることにしました。 2つのことを決め、継続するだけ です。 ナッジ①子どもたちによる目的の共有5月の朝、子どもたちに、 「掃

    • 子育てナッジは親に何を与えてくれるのか?【子育てナッジ♯7】

      子育てというのは、いつも迷いと不安がつきまといますよね。「このやり方で合っているのか?」「もっと良い方法があるんじゃないか?」と、自分を責めることもしばしば。 しかし、そこに子育てナッジの信念と仕組みがあれば、親としての迷いが少しずつ晴れてきます。 ナッジは、ただのテクニックではなく、子どもの自由意思を尊重しつつ、親が安心して手を引くことができる土台を築くものです。 不安を解消し、確かな指針を得る「子どもを手放す」ということは、言うのは簡単ですが、実際にはかなりの不安を

      • 子育てにおける1番の魔物は疲労【子育てナッジ#6】

        心身の疲労本記事でお話ししたいことは、育児の疲労についてです。育児本ではあまり触れられませんが、この疲労が原因で親が怒りっぽくなること、これがいかに問題かをお伝えしたいと思います。 皆さん、仕事で疲れたときのことを想像してみてください。普段は優しい上司や同僚でも、忙しさが重なればちょっとしたことでイラっとしてしまうこと、ありますよね。そんな状態が、家の中で起こるわけです。本来、家は安心できる場所のはずが、親が疲れているためイライラしてしまう。社会構造上の問題ですが、国や企業

        • 体に刻み込まれた子育て法【子育てナッジ#5】

          図らずも、某呪術アニメのようなタイトルになってしまいました。 体に刻み込まれる子育ての経験値「また、いつものことをやってしまった…」 子どもに対してイライラしている自分に気づいた瞬間、ふと「あれ、私が子どもの時に親がしていたことと同じだ」と思うこと、ないでしょうか? 親から受けた子育てが、気づかないうちに自分の中に染みついていて、いつの間にかそれを無意識に繰り返してしまう。人はどうしても、自分が経験してきたものを正しいと思いがちな機能をもっています。 これは心理学で「ヒ

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          子育て崩壊マニュアル【子育てナッジ♯4】

          ある家庭のお話朝6時、目覚ましが鳴り響く。子どもたちはまだ布団の中。私は思わず声をあげてしまう。 「早く起きなさい!」幼い頃、母は毎朝こうやって私を叱って起こしていた。だから、自然と私も同じ言葉が口から出てしまう。子どもたちは渋々起き出すが、どこか不機嫌そう。ふと、何か違うなと感じる瞬間がある。 朝食の時間。長男はゲーム機を手にしながら席についている。「ゲームばかりしてないで、早く食べなさい」と私は言う。返事はない。ただ黙って画面を見つめる息子。 私が子どもの頃には、こ

          子育て崩壊マニュアル【子育てナッジ♯4】

          「子育てナッジ」ってなに?【子育てナッジ#3】

          ナッジってなに?「ナッジ」という言葉、何だか小難しい印象をもちます。 でも、実はこれ、私たちの日常生活の中で無意識に使っているものなんです。たとえば、スーパーで見かけるあのレジ前の足跡マーク。あのマーク、誰に「ここに並んでください!」って強制されるわけでもなく、自然と私たちはその足跡に沿って並んじゃいますよね。これこそがナッジなんです。ちょっとした工夫で、強制せずに人を良い方向に導く方法、それがナッジです。 子育てでも、この「ちょっとした後押し」が大きな鍵になるんです。親が

          「子育てナッジ」ってなに?【子育てナッジ#3】

          なぜ子育てナッジなのか?【子育てナッジ#2】

          なぜ子育てに悩む家庭が増えているのかどうしてこんなに子育てに悩む家庭が増えているのでしょうか?その理由は、インターネットにあります。いや、正確に言えば、インターネットを使えるデバイスの急速な普及です。スマホ、タブレット、パソコン、こういった機器が子どもの生活に入り込み、親も子どももみんなネットの世界に飛び込んでいるのです。 データを見れば一目瞭然です。どんな機器でもインターネットに接続できるようになり、しかも子どもがそれを使い始める年齢がどんどん下がっています。気がつけば、

          なぜ子育てナッジなのか?【子育てナッジ#2】

          子育てナッジ連載開始!【子育てナッジ#1】

          前書き 子育ての中で、どんなに「ほめ方」や「声かけ」に工夫を凝らしても、思うような成果が続かないと悩んだことはありませんか?私も、子どもたちに良い影響を与えようと、多くのアプローチを試してきました。しかし、ほめても叱っても、その効果が長続きしないというジレンマに、しばしば頭を悩ませてきました。 みなさんは、「児童自立支援施設」という施設をご存じでしょうか?これは、犯罪や不良行為の恐れがある児童、または家庭環境から生活指導を必要とする児童を受け入れ、自立を支援する施設です。

          子育てナッジ連載開始!【子育てナッジ#1】

          大声で子どもに注意するのを終わらせる方法【行動経済学×学校教育】

          大声で注意するのはもう終わりお出かけをした時に、 「こら!戻ってきなさい!」「なんでそういうことするのー!?」 と叫ぶ親御さんをよく目にします。 私も何度心の中で叫んだことでしょう。 これで言う通りに子どもが動いてくれればよいのですが、 大抵言うことを聞きません。そして、さらに戦いはヒートアップ。 確かに育児は大変です。私も生徒にイライラし、幾度となく声を荒げてきました。優しく言えるなら言いたいよ?怒っちゃいけないんでしょ?でも疲れて無理だよ。そんな風に思っていました。

          大声で子どもに注意するのを終わらせる方法【行動経済学×学校教育】

          「叱らない子育て」の勘違い【子育てナッジ】

          「叱らない子育て」という流行「叱らない子育て」という言葉が数年前に流行しました。メディアの浅い情報が垂れ流されたことで、迷える親御さんたちは額面通り「叱らない方が良い」という事象のみを切り取ってしまいました。そしていつしか「叱らない子育て」から「何も伝えられない子育て」へと変わってしまいました。 「叱らない子育て」とは?①不適切な行動ではなく、適切な行動に着目する 教員であれ親であれ、私たち大人はどうしても子供の「良くない行動」に注目してしまいがちです。反対に「良い行動」

          「叱らない子育て」の勘違い【子育てナッジ】

          学校で使えるナッジ理論のデフォルト【行動経済学×学校教育】

          こんにちは。 今回の記事では、普段なかなか詳細にナッジ理論を解説できないので、詳しくご紹介していきたいと思います。 今回は、私がよく使うナッジ【デフォルト】について解説を行いたいと思います。 【デフォルト】の有名な成功例 臓器提供の【デフォルト】 自分から臓器提供を申し出るタイプのデフォルト 臓器を提供したい人は自分から「提供します」と言わなければなりません。 日本やドイツではこの方式です。ここでは、臓器を提供したい人は、自ら提供する臓器を選択する必要があります。

          学校で使えるナッジ理論のデフォルト【行動経済学×学校教育】

          授業ナッジ(自由進度)への不安を考える【行動経済学×学校教育】

          授業ナッジへの不安 授業ナッジは「1つの観と5つの手立て」で構成されます。 基本的に、勉強を強いることはありません。 ナッジは、個人の行動・選択の自由を阻害せず、かつ「より良い結果」に導く考え(リバタリアンパターナリズム)のもとに活用されます。 という不安の声が聞こえてくるかと思います。そうじナッジやあいさつナッジとは異なり、「失敗にも価値がある」などと悠長なことは言ってられませんね。自由進度学習でも、よく似た不安の声を聞くことがあります。 目の前の1問を捨てる覚悟

          授業ナッジ(自由進度)への不安を考える【行動経済学×学校教育】

          授業を受けない子がいなくなるベイビーステップ【行動経済学×学校教育】

          授業を受けない子、なんとかしたい授業を受けない子には、いろいろなパターンがあると思います。自分の世界に入ってしまう子、学力が低くやりたがらない子、やろうとするけれど分からなくて拗ねてしまう子、いわゆるヤンキーで学習に取り組もうとしない子、さまざまだと思います。 上の記事にあるように、授業を受けることが難しい子達が集まった特殊な学校で、私は授業をすることになりました。彼らはそう長く施設にいることはできません。1年ほどすると、元の場所へと戻っていきます。彼らとの出逢いと別れを繰

          授業を受けない子がいなくなるベイビーステップ【行動経済学×学校教育】

          学校の清掃指導、もう悩まないそうじナッジ【行動経済学×学校教育】

          そうじ指導を通して考える教師像そうじを静かに集中してできる学級は良いクラス? 「給食を完食できるクラスは良いクラスである」と同様に「そうじを静かに集中してできるクラスは良いクラス」という教育界の常識を、教師であれば誰もが一度は耳にしたことがあるかと思います。 そしてこのような「謎の常識」に囚われ、教師は「子供はこうあるべき」という指導に陥り、教師の言うことを聞く子どもが「良い子ども」として評価されるようになります。 そもそも、子どもは教師の評価の道具ではない そもそも

          学校の清掃指導、もう悩まないそうじナッジ【行動経済学×学校教育】

          そうじ当番の掲示物、何がいいの?【そうじナッジ】

          新学期に頭を悩ます、そうじ当番の掲示物新学期が始まる直前の4月、我々教師はできるだけ学級運営がスムーズにいくよう、思いを張り巡らせながら準備をしている時期です。 本記事は、そのうちの1つ「そうじ当番の掲示物」に対する考えを明らかにしたいと思います。「1人1役で掲示物をつくるのか」「どれくらいの周期で掃除場所を交代にすべきなのか」など、そうじ指導に悩まれている方にもぜひ読んでいただけたらと思います。 そうじナッジで掲示物を考える結論、掲示物は「趣味」であり、何だってよいです

          そうじ当番の掲示物、何がいいの?【そうじナッジ】

          授業ナッジ⑥7月の様子(3種類の振り返り)【行動経済学×学校教育】

          本記事は、授業ナッジ第6話になります。 前回の記事(第5話)⇩ 授業の「振り返り」が建前になっていない?昨年度「振り返り」に関するアンケートを取りました。 児童自立支援施設に併設された我が校の子どもたちは 「先生のために書いている」 「すでに理解している内容をなぜ書く必要があるのか」 という非常に素直な回答をくれました。 学んだことを「振り返る」活動が、 子どもたちにとって 「有益である」「成績の向上に役立つ」と 実感できるような内容の作成が必要だと考えました。 いわゆ

          授業ナッジ⑥7月の様子(3種類の振り返り)【行動経済学×学校教育】