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本との出会いを綴る vol.1『私たちの結婚/磯部玲・磯部理美』


本が届くまでの話

2024.12.20。運命的にX(まだTwitterと言いたくなるね)のツイートが流れてきた。理美さんの言葉に惹かれた私は、いくつかのツイートを遡っていった。心がときめき、わくわくした。理美さんの紡ぐ言葉から感じられるお人柄にも、理美さんが語る旦那さんのお人柄にも心がキラキラと輝いた。怒涛の1年の末に訪れた最高の出会いである。理美さんの『西の魔女が死んだ』に関する小レポートを読みたかった。なんと、結婚式で配った記念品の一冊の中にあるらしい。しかも販売している!
すぐにDMを送り、あたたかなやり取りを終え、2024年最後の最後に贈り物のように私の元へやってきた。

光と影が柔らかく混じり合っていた朝

以下、理美さんの締め付けられるほど胸がきゅっとなったときめきのツイートを。


ページをめくった初日の日記より

2024年の大晦日に届いた一冊を持って、『雨に花』へ向かう。そのお店、昼間は溢れんばかりの光に包まれる。至る所で光が輝き本当に綺麗なのだ。
最高の光に包まれながら、心待ちにしていた一冊のページをめくっていく。
今の私を形作っていると断言できる、梨木香歩文学と英国児童文学の研究をなさっている磯部理美氏の『私たちの結婚』という一冊。

この日、『雨に花』はカフェではないので料理が届くまでの間だけページをめくった。おもしろい。家に帰りたくなくて、二度目の高倉町珈琲へ行った。元旦だから贅沢してもいいなという気持ちで。
お決まりのハーブティーと、気になっていたレモンチーズ。ハーブティーのレモングラスの香りは私を相変わらずほっとさせてくれたし、甘酸っぱいレモンチーズはとても好みで、特別な一冊のお供に最適だった。音楽は、セシル・コルベルの"Arrietty's Song"。イギリスではなく、フランスのブルターニュ地方出身の方だけれど聴きたくなった。
こうして私の元旦は、他の人とはちょっぴり違う形で終えた。自分の直感を信じて、ときめくものや場所を選択していきたい。知らず知らずのうちに誰かの顔色を伺ってばかりだった私は2024年で卒業したい。周りが何を言ってこようと、馬鹿にされようと、自分が信じたものを貫いていきたい。そのために自分で立てた目標をこつこつとこなしていくこの小さな日々が、1年後私を大きく変えてくれるだろう。

追記:なんと理美さんがこの日の日記を読んでくださったらしく。こんなあたたかいツイートを。ありがとうございます。


群馬の山の方なので車必須の『雨に花』。
昼間窓から差し込む光と写真家の店主さんのセンスが光るアンティーク小物や写真、数々の書籍に包まれた空間はぐっとくるものがある。いつかお二人にも昼間の『雨に花』の光と影を見てほしい。


読み終えた日

幼稚園の頃から絵本、児童文学が大好きな私が小学生になって、最初に手にした文庫本が『西の魔女が死んだ』だったことは今思えば必然だったのだろうと思う。
人生を支えた本ベスト5を聞かれたら確実に『西の魔女が死んだ』と『裏庭』が一位ニ位を争う私が理美さんのツイートに惹かれたのもこれまた必然だったのだろう。文学と人がもたらす見えない魔法のような縁を感じずにはいられなかった。

結婚にあまり惹かれないまま大人になってしまった私が今、理美さんのこの本に出会ったことには何か意味があったのかもしれない。周りがどんどん結婚していく中で、相手が意識していないような言葉でチクっと心の奥の奥が波打つ日もある。それでも結婚したいかと問われると即答できないでいるのだから我儘なのかもしれない。そういう私が感じていた世間の無意識の抑圧や抵抗感は、結婚を選択し式をあげたお二人にもまた別の形で降り注ぐ。それでもお二人らしい選択を積み重ねた素晴らしい式がこの日本で執り行われたことがとても、とても嬉しく思いました。
ーお会いしたことがないのに厚かましい思いかもしれませんがー

この本は、私の結婚に対する不安や絶望感を少し取り除いてくれた気がします。誰かとともに歩いていくことの厳しさの面を私は大きく捉えすぎていたのかもしれない。そうした私の視点が少し和らいだのはこの一冊の本の力のような気がします。

『梨木香歩文学 境界のむこうへ "異質性/普遍性へのまなざし"』を読み、私もいつか、"別の手の、別の温度がそこにあることを、たしかめながら生きてみようと"思える人に出会えた時、"すべてを理解しきれないその異なりをいとしく思"えたらと思わずにはいられませんでした。

2024年に決別し置いてきた出会いがあります。それはこういったことを願いながら、その願いとは裏腹に少しずつレールが分かれていくようにお互いの異なりをいとしく思うことが困難になっていくものだった。
ただただ、『すべてを理解しきれないその異なりをいとしく』真摯に手を取り合っていく2人でありたかったのだと、理美さんの言葉で気付き涙が出たのでした。

お二人の愛の形のあたたかさに文を通して触れて思う。これから出会う誰かの隣を私もそんな自分で歩きたいと。難しさと直面した過去も超えて、いまだにそういう自分でありたいと願い歩み続ける私のことは嫌いじゃない。

けれど『結婚=正解』という誰かの正しさに振り回されないでいたい。反発するのではなく、ひとつの選択として私の中にも持っていたいと思うだけ。だから私なりの物語を紡いでいく。隣に誰がいてもいなくても。その過程を面白がって楽しんでやるくらいの気持ちで、一歩一歩私なりに進んでいきたい。

痛みや悲しみはなくさなくていい、それでいい。胸に抱いたままでいい。
弱さ故の向上心で、私なりの物語のページを紡いでいく。

最後に

磯部理美さん、磯部玲さんへ

素晴らしい一冊をありがとうございました。
インタビューも、すばらしい御三方の寄稿文もあり、充実の一冊でした。
幼少期から児童文学が好きで梨木香歩文学に触れ保育という仕事をしながらも、高校卒業まで理系でやってきた私にはお二人のどちらの文もとても面白く興味深く考えされられ、且つとても楽しませていただきました。お二人のお人柄が沢山の縁を繋ぎ、この素晴らしい一冊が生まれたのだと思います。その縁の結晶をこうして手にできていることがとても幸せです。

『トムは真夜中の庭で』と『春になったら苺を摘みに』についてもいつかまたここに綴りたいと考えています。

お二人の日々に降り注ぐ光が、刺さるものではなくあたたかなものでありますようにと願い、このnoteをお二人へのお礼として残しておきたいと思います。

感謝を込めて。
2025.1.21 小鳥美月

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