本当に泣いた友情物語『ルドルフとイッパイアッテナ』児童書紹介⑨
今回紹介するのは、
私の大好きな先生が大好きな一冊、
『ルドルフとイッパイアッテナ』です。
のらねこになった2匹のねこのお話なのですが、
前半は2匹の日常を楽しく展開されるのだけれど、
後半からの展開にドキドキハラハラ。
特に、残りの3分の1は、
一気に読み進めてしまうほどのめり込む友情物語。
陳腐な言葉しか出てこないけれど、本当に
子どもにも大人にも読んでほしい一冊。
子どもたちには、
友達との友情とは何かを考えるきっかけになり、
大人にとっては、
これほど友達のために全力になれるのか、
多忙ゆえに、日々を惰性で生きていなかったか、
と日常を見つめ直すよいきっかけになること間違いなし。
読書になれていないお子さん、大人に、
自信を持っておすすめできる本です。
書籍紹介📝
あらすじ
カバーの袖部分(カバーの折り返しの部分)に
書かれている通りですが、
2匹ののらねこの生活を描いた心温まる物語です。
タイトルの意味
『ルドルフとイッパイアッテナ』というタイトルは
耳に残りやすいこともあり、
一度聞いただけで覚えてしまいやすいですが、
その意味は何だかくすっと笑いが出ます。
2人が初めて出会ったシーンの抜粋です。
このなんともいえぬ会話がかわいらしい。
子どもたちの会話でも本当にありそうで、
そんな様子を思い浮かべると思わず微笑んでしまいます。
ルドルフを文字を勉強し始めた5歳くらいの少年、
イッパイアッテナを少し先輩の8歳くらいの少年、
と思って読み進めると、
とてもリアリティが出て面白いです。
物語の中盤で、イッパイアッテナが
様々な呼び方をされる理由が紹介されています。
それはまさに、のらねこの〝生きる知恵〟
が詰まっていて、
ねこ側からみるとこんな世界が広がっているのかと、
とても興味深いシーンです。
おすすめ箇所
実はイッパイアッテナは読み書きができます。
以前の飼い主から読み書きをじっくり教わり、
その後は一人で本を読んできたので、
様々な言葉も知っています。
まだ何も知らないルドルフに
教養とはなにかと説いたり、
「知識に対する冒涜」「絶望は、愚か者の答え」
といった難しい言葉を使ったりするのが面白い。
難しい表現なので、子どもには意味が分からなかったとしても、
同じく言葉の意味の分からないルドルフと一緒に、
首をかしげながら読み進めても楽しめます。
また、イッパイアッテナがルドルフに教えている
生きる上で大切なことは、
のらねこの世界だけでなく、
人間の世界でもとても役立つことばかり。
文字を覚えたてのルドルフは、
文字の読めないのらねこをからかいます。
その事をなぜか知っていたイッパイアッテナは、
それを諫めたのです。
ルドルフが昇ってくる朝日を拝みながら
決意をするシーンもとても印象的です。
この後に、イッパイアッテナがどれほど
ルドルフのことを大切に思っているかが分かるシーンが続きます。
ここも読みどころです。
友情シーンといえば、
3匹ののらねこたちが自分の損得関係なしに、
ただただ、無心に喜び合うシーンがあるのですが、
そこも圧巻です。
きっと、それぞれ、自分にも同じような経験があったなぁ……
何て思いを馳せながら読み進めるのではないかと思います。
こんな人におすすめ
ルドルフがひらがなから始まり、
カタカナ、小学校で習う漢字をコツコツ
勉強していく様子が書かれているので、
文字の勉強を始めたお子さんに読み聞かせするのも、
好奇心をくすぐりとてもおすすめです。
また、小学校中学年くらいの子には、
ねこの目線にたつと、
物事がこんなふうに見えているのかと、
新しい視点を得るきっかっけになります。
もちろん、大人にも読んでほしい。
最近忙しくてワクワクを忘れてしまった人
読書が得意でない人
心を熱く燃やしたい人
男性・女性関係なくおすすめです。
最後に
私は本当におすすめできる本を紹介しているので、
あまり発行部数などには囚われたくはないのですが、
『ルドルフとイッパイアッテナ』は
シリーズ累計発行部数100万部を突破する
快挙を成し遂げられています。
100万部を突破したことを「ミリオンセラー」と
呼んだりもしますが、
Wikipediaに便利なまとめがあったので、
リンク貼り付けておきます。
余談ですが、改めて調べる中で驚いたのは、
斉藤洋さんの筆の速さです。
いまも毎年、何作品も新作を
出され続けていることに驚きを隠せません。
シリーズものもあれば、まったくそうでない物語もあり、
小学生向けのファンタジーがあれば、
大人までをも魅了する物語があったりと、
その幅の広さにも感銘を受けます。
じつはまだ積読本になっていますが、
斉藤洋さんが手がけられた
「魔術師マーリン」シリーズは
これからゆっくり読んでいきたいと思います。
その他、著作がたくさんあるので、
ぜひ他の本も読んでみてください。