[1分小説] 痴漢についての考察 - by OL
「あ、S美おつかれー」
「おつー。ランチ行ける?」
「行く行く。て言うかさ、今朝久しぶりに痴漢に遭ったの」
「まじで?山手線?」
「うん。電車のダイヤ乱れてたみたいで、死ぬほど混んでてさ」
「あ、たしかに今日しばらく電車来なかった」
「だよね。それでなんだか横に立ってるオッサンというか、もはや密着してるんだけど、その人が明らかに胸触ってくるわけ」
「げ」
「股間も押し付けてくるし」
「ないわ。で、どうした?」
「もう次で降りるしと思って、耐えた。何でこんなことで朝から耐えなきゃいけなんだろう。仕事だってつらいのに」
「たしかに。でも、言えないよね。言ったところで、駅員さんのとこに連れ出すのもめんどくさいし時間かかるし」
「ていうか私たちそのあと仕事だしっていう時に、そもそも連れてく時間ないよね」
「それね。会社遅刻するわ」
「あー、でもなぁ...。ぜんぜん納得いかない。電車乗るの怖くなるし」
「警察沙汰にしなくてもいいから、せめて慰謝料としてその場で相手から2,3万くらいもぎ取りたいよね」
「はは、お金で解決!
気持ち悪いけど、3日分の給料払ってくれるなら許す、か」
「うん。3万って結構大きくない?」
「通勤ラッシュ時に走行してる山手線全車両で起こる痴漢の件数に、×3万して上がってくる金額算出してみたいよね」
「お、さすが経理!」
♡
(370文字)
(610文字)