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息子への思いを作品にしてみたら
我が家の小学2年の繊細息子が学校に行かなくなってから、約1年半が経つ。
最初の頃は、学校に行っていない間、何か!何かやらなければ!と、とても頑張っていた。
ペアトレ受けたり
勉強促したり
学校に何とか行くようにあれこれ考えたり
一緒に公園に行ったりでかけたり
一緒に工作したり
一緒に絵を描いたり
何かしていないと「ダメ」な気がした。
でも1年半が経ち、私もだいぶ変わった。
何もやらなくなった。
本人の「学びたい」の気持ちが芽生えるまで勉強を促すことをやめたし、
学校に行かせようとすることもやめた。
同時に
一緒に何かをしようとすることもやめた。
正確には、「何かしなければならない」という思考を手放した。
私は、子どもができるまで、自分は子どもと遊ぶのが得意だとばかり思っていた。
きっと、楽しみながら全力で子ども目線で遊ぶことができると。
でも、実際はまるで違った。
ごっこ遊びがものすごく苦手だ。
私は芝居をやっていたので、きっといろんな役になりきって、子どもをめちゃくちゃ喜ばせることができるだろうと思っていた。
実際は、めんどくさくて仕方ない。
それでも、頑張っていた時代もあった。
ウルトラマンごっこで、なぜか私がウルトラマン役。息子が怪獣役。
ビームを浴びせども浴びせども、全然倒れない怪獣。
「早く、倒れてや!」
と、関西弁でツッコミ入れる疲れきったウルトラマン。
もう、ほんとイヤイヤやってた。
プラレールで電車ごっこも、トミカレースごっこも、釣りごっこも、何もかもとにかくやりたくなかった。
こんなはずじゃなかったのにな。
ごっこ遊びを始めると途端に睡魔が私を襲い、遊んでいる最中にコックリコックリ。何度息子に起こされたことか。
私の脳みそ、ごっこ遊び、全力拒否。
工作もお絵描きも、息子につきあった。
一緒に昆虫の世界を段ボールで作ったり、牛乳パックで新幹線、折り紙でお花、絵の具で色んな絵も描いた。
ものすごく、いつも眠たかった。
こんなはずじゃなかったのにな。
頑張っていた時代が過ぎ、もうなんだか疲れちゃって。今はもう頑張るのをやめた。
頑張らずに一緒に楽しめればよかったけど、なぜかそれができなかった。
息子も息子で、お母さんに言っても無駄だとわかったみたいで、あんまりもう誘ってこない。
ところが。
学校に行っていないいつものある日。
息子が、珍しく誘ってきた。
「お母さん、前みたいに一緒に何か作ろ!ほら、前はさ、よく一緒に作ったよね。昆虫の世界とか、新幹線とかさ、牛乳パックで」
息子は、覚えていた。
あんなにコックリコックリ眠たそうにしていたのに。
たぶん、あんまり楽しんでないな、って伝わってしまっていたはずなのに。
それよりも、「お母さんと一緒に作った」という記憶の方が強く残っているんだと思うと、何だか嬉しかった。
駄菓子菓子
それとこれとは話は別でして。
相変わらず、えー、、、めんどくさいな、、やりたくないな、、って思っちゃう自分がいる。
渋っていると、
「ほら、ビスケット食べてやる気出して」
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と、目の前にビスケットが数枚のったお皿をスッと差し出す息子。
笑っちゃう。
なんなん。
なんか、成長感じる。
ちょっと前なら、「一緒に何か作ろうよぉぉぉぉぉ」と、ゴネゴネ言っていたはずなのに。
毎日家にいるけど、いつの間にか息子はちゃんと成長していた。
母の好きなビスケットをスッと出してくるなんて。
やるじゃねぇか。
駄菓子菓子
それとこれとは話は別でして。
あー、、全くやる気が出ない。
サクサクビスケットをかじっても、何にも浮かんでこない。
そんな母の横で、息子はどんどん進めていく。
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「ほら!お母さんも!!!何か作ろうよ!」
あー、、、
やりたくない。やりたくない。めんどくさい。
サクサクサク。
「お母さん!!!」
あー、もー、わかったよ、、仕方ない。
よっこらせっと。
私は重すぎる腰をあげて、とりあえず工作グッズの中から、ガサゴソガサゴソ使えそうなものを適当にチョイスし、机にドカッと置いた。
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「お母さん、何作るのぉぉぉ」
キラッキラな目で見てくる。
いや、ノープランなんで。
はぁ。
何にも浮かばん。
見事に浮かばん。
サクサクサク
サクサクサク
サクサクサク
サクサクサクサクサクサクサクサク
とりあえず、ビスケットを全て平らげた。
グビッとコーヒーを飲み、私は選んだアイテムを目の前に置いていった。
チラチラ見てくる息子の視線を感じながら、その作業を続けていくうちに、私はピカーンと思いついた。
そうだ!
息子に向けて、息子のために何か作品を作ってみよう。
思いつくままどんどん手が動いていく息子に対して、私は「テーマ」みたいなものがないと何も作れないんだなーっと、思った。
子どもってすごいな。
私は、息子に向けてある「思い」を作品に込めることにした。
着々と手が動いていく。
うん。
いい感じだ。
息子がチラチラ見てくる。
何か言いたげだ。
「え、何?」
せっかくノリノリなのに!と思いつつ聞いてみた。
「えっとぉぉぉ、、、なんか、楽しそうに作っているところほんとゴメンなんだけどぉ、、それ、、、」
「お墓に見える」
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はい?
「今まで、ありがとう、みたいな」
待て待て待てーーーーい!!
ゾウさんがお花集めて楽しそうに遊んでる風なこの作品が!
あなたのために、あなたのために作っている母の思いを込めたこの作品が!
お墓に?!
お墓に見えるだって??!!
・・・
見えるな。
言われてみれば見えるかもーーーー!!!
私までなんか、ゾウさんがお墓にお花を供える風に見えてきた。
あかん。
作品を見て、どう捉えるかなんて個人の自由だけど、だけど、
お墓はあかん!
息子のために作った作品なのに、息子にそんな風に伝わってしまうとは!
これは、デザインを変えなければ。
デザイン変更。
私は一からやり直した。
配置かな。
配置がダメなのか。
切り株の上にお花を置くからお墓感が出てしまうのかな。
「切り株の上にゾウのせてみたら?」
息子のナイスなアイデア即採用。
さすがです。
試行錯誤の上、ついに完成した。
私が、息子を思い、心を込めて作った作品。
『enjoy your life』
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一度きりのあなたの人生。
あなたらしく
めいいっぱい楽しんで欲しい。
そんな思いを込めた作品。
我ながら、結構いい出来だ。
私は満足気に作品を眺めていると、
また息子が何か言いたげだ。
「え、、、何?」
「あのさ、ほんとなんか嬉しそうなところ、ほんとゴメンなんだけどさ、、、このゾウさ、勝手にお花摘んで遊んじゃってるけど、いいの???だってさ、きっとそんなに綺麗にお花がたくさん咲いてるってことはきっと管理人とかいるわけじゃん?怒られるんじゃない?」
まじめーーーーーー
「大丈夫だよ!いいんだよ!いいのいいの!そういうね、作品なんだから!ゾウさんめっちゃ楽しそうやん?管理人とかいない世界だから。大丈夫!」
「ふーん」
なんか、納得いっていないご様子。
決まりごと、しっかり守るタイプ。
「いいでしょう!この作品。我ながらうまくいったわー!」
「まぁ、でも楽しんでたよねお母さん」
ここで、「いーじゃん!」って褒めてくれないのが息子である。
でも、母の姿が息子の目には楽しそうに見えたのならばそれで十分だ。
「この切り株の周りにある白いビーズは何を表現しているでしょうか!」
「シャボン玉!」
「正解っ!」
最初は、めんどくせぇと思いながらのスタートだったが、なんだかとても楽しくていい時間だった。
全然眠たくならなかった。
「よくやったね」と、頭ポンポンしてきた息子。
キュン
母、息子の頭ポンポンに胸キュン。
母はね、褒めて伸びるタイプなんです。
だから、褒めるとまた次回も作りたくなるかも・・・よ。
『enjoy your life』
あなたらしく、人生を楽しむんだよ!